24日早朝NHKテレビをつけたら「日本の話芸」をやっていた。笑福亭鶴笑の「あたま山」という上方落語である。落語家も演題も初めてで何となく聞いていたら引っかかった。
ぼんやり聞いていたので前後の脈絡はわからないが、こういうことをしゃべった。「馬の背を分けるざざ降りで、ザアー、ザアーと・・・」身振り手振りも上から下へとやっていた。関西弁でいう「ざざ降り」は「土砂降り」のことだから、どうやら大雨のことで使っている。
ご承知のように「馬の背を分ける雨」とは、馬の背の片方に雨が降り、もう片方には降らないの意で、ごく近い地域で降る降らないの差ができる状態のことで、誤用もいいところだ。
「夕立は馬の背を分ける」というふうに使う。例えば右は昨年8月31日午後5時22分、我が山墅前の道路で撮影したまさにセンターライン左右で「降り分ける」夕立である。
「日本の話芸」はかなり評価が高い番組である。新聞でいう校正もしっかりしているはずのNHKだからひとこと落語家に注意してやればよい。でないと誤用をあちこちに広めることになる。
ついでにいうのだが、この早朝の時間帯には「演芸図鑑」というのをやっている。若手の落語家などの登竜門のような意味合いもある番組だが、司会者がいただけない。先日は林家正蔵だった。いつもはへらへらと芸能人相手にやってるがその時は柳家小三治だった。数段格上の相手だけにこんどはやたらへいこらするばかりで「どうしたら落語がうまくなれますか」なんて聞いていた。
ブログ子は新聞社の同僚が富山の寺に隠棲したとき、やってきた永六輔と小三治の話芸を寺の本堂で一晩ゆっくり聞いたことがある。翌日、二人を30キロほど離れた城端(じょうはな)町までクルマで送ったが車中の二人の芸談の面白さに驚嘆した。林家正蔵なんて大した名跡をもらったものの芸はまだ「こぶ平」のままである。その時の会話の受け売りだが「一二も二にも古典落語に精進しろ」。
弟の三平もさっぱり面白くない。ブログ子が新聞記者生活を送った夕刊フジの創刊と同じころスタートした番組なので、ほぼ半世紀も我が家では夫婦で見続けていたが、近ごろやめた。三平が入ったのと馬鹿キャラのラーメン屋、トンチの才があるのに歌丸と春風亭昇太へのからかいが鼻につき出した。