列車事故に見る台湾の「今も生きる日本語」

台湾北東部・宜蘭県で21日午後4時50分(日本時間同5時50分)ごろ、台湾鉄道の特急「普悠瑪(プユマ)」号が走行中、脱線した。台湾行政院(内閣)によると18人が死亡し、168人が負傷した。

8両編成のうち少なくとも5両が横転した。車両は日本製で6年前から使われているというので心配したが、「(特急は)急ブレーキを3度かけたあと急加速し、急カーブを曲がる際『ドン』という大きな音がして車両が横転した」そうだから制御系統の異常で車両に責任はなさそうだ。

ところで、テレビでは、血を流してぐったりとした乗客が車両内から救助隊に助け出される様子を流していたが、その際、救急隊員が「タンカ、タンカ(担架)」と叫んでいるのを聞いて、改めて台湾ではいまでも日本語が生きていることを実感した。

今月行われた国際観艦式への参加をめぐり、海上自衛隊の自衛艦の「旭日旗」が許せないと難題を吹っ掛け、日本が自衛艦の派遣を見送った韓国と違い、同じ日本統治時代を送った台湾では、多くの日本人の恩を今でも称え、多くの日本の建築物を大事にしている。今でも多くの日本語が日常生活に生きていることはかねてから聞いていたが、救急隊員が叫ぶ「担架」には、あらためて台湾への親しみを感じた。

台湾では今も使われている日本語がわんさとある。トラック、ビール、スリッパ、オートバイ、ネクタイ、かわいい、カラオケ、たたみ(畳)、あっさり、みそ(味噌)、パン、のり(海苔)、トロ(まぐろ)、運ちゃん、気持ち、(工具の)ドライバー、背広、ライター、タンス(箪笥)、ばか(馬鹿)、おしぼり、ばい菌、ラジオ、ちょとまて(ちょっと待って)、かばん、りんご、ライター、にんじん、トマト、シャツ、(車の)ハンドル、看板、バッテリー、弁当(便當)、風呂、おばさん、カタログ、酸素、カーテン、アルミ、名刺、おしぼり、(車の)バック、ピストン・・・数えきれないという。なかでもコンクリは固いことから(あんたのアタマコンクリ)と独自に発展した日本語もあるというから面白い。

日本の敗戦後、台湾に侵攻した蒋介石の国民党は日本語を使用禁止にしたが庶民はしたたかに使い続け、日本で教育を受けた李登輝総統が解禁したあと、街中の看板にいたるまで多くの日本語が使われている。

脱線転覆した事故車両を一晩で土中に埋めて証拠隠しをした中国と違って、原因究明を急ぎ正確に発表されるであろうからそれを待つとして、ブログ子も台湾の人たちに心からのお見舞いを申し上げたい。

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