AFP通信のこの写真を見て驚いた。エベレスト頂上にこの行列… まるで夏場の富士山登山と変わらない混雑である。
エベレスト(8848メートル)では今季の短い登山シーズン中にインド人4人、米国人、オーストリア人、ネパール人それぞれ1人が死亡し、さらにアイルランド人の登山者が山頂付近で滑落して行方不明となり、生存が絶望視されている。25日には新たにアイルランド人と英国人の登山者が死亡し、今シーズンの死者数は計10人となった。 山頂が悪天候に見舞われるようになるまで、あと2、3日あることから、犠牲者数はここ数年で最悪規模となる可能性もある。
英国人のロビン・フィッシャーさん(44)は25日朝、登頂に成功したものの、斜面をわずか150メートル下ったところで力尽きた。さらに、チベット側でアイルランド人の男性(56)1人が死亡したが、この男性は、登頂を断念し引き返すことに決めたものの、標高7000メートルのノース・コルに張ったテントの中で死亡したという。
中には世界7大陸最高峰を制覇した直後に亡くなったベテラン登山家もいる。米ユタ州に住む米国人ドン・キャッシュさん(55)で、今回、世界最高峰エベレストの登頂に成功したことで、夢だった世界7大陸最高峰を制覇した直後に亡くなった。キャッシュさんは7大陸最高峰制覇のために仕事を辞め、前回の登山では凍傷により数本の指を失ったが、夢をかなえることを諦めなかった。キャッシュさんの家族は、エベレストから下山中に心臓発作を起こしたのではないかと考えている。
1953年にエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイがエベレスト初登頂に成功して以来、ネパールでは登山が収益性の高いビジネスとなっている。
ネパール政府は今春の登山期間に、過去最多となる381人に登山許可証を発給。発給手数料は1人当たり約120万円で、貧しい同国にとっては大きな収入源となっている。登山が認められている期間はもともと短い上、悪天候で登山可能日が減り、晴天時には山頂までのルートで写真のような大混雑が発生した。
頂上を目指す人の大半にネパール人ガイドが同行するため、今季だけで750人以上が山頂まで同じルートを通行することが予想されている。チベット側からも140人以上に対して登山許可証が発給されており、今年の総登頂者数は過去最多だった昨年の計807人を上回る可能性もある。
ブログ子は富士山頂を目指したときは夜中5合目を出発したものの前の登山者の尻をこちらの頭が突っつくほどの混雑で、少し間が空くまで待つという余計な休憩で疲労困憊した覚えがある。エベレストでの死者は滑落や疲労によるものもあるが、半数近くがこの「混雑」により、疲労困憊したものと見られる。
登山基地がある2カ国の「登山営業」政策も今後問題になるだろうが、いやはや驚いた登山ラッシュである。