大阪地裁が4日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の原子炉設置変更許可を取り消した。「規制委の調査審議および判断の過程には、看過しがたい過誤、欠落がある」と言う。原子力規制委員会は、平成23年の東京電力福島第1原発の事故を踏まえて設置された機関である。反対運動に押されて、「そこまで電力会社に過重なハードルを課すか」と思うほど、防波堤を高くせよ、活断層がどうのと注文をつけている。専門家が審査してやっとこ認可したことを素人の裁判長はあっさり否定して「看過しがたい過誤、欠落がある」というのだからあきれて物が言えない。
最高裁は平成4年、伊方原発訴訟の上級審判決で安全基準の適合性については「科学的、専門技術的知見に基づく行政側の合理的判断に委ねると解するのが相当」との見解を示している。今回の大阪地裁森鍵一裁判長(51)の下した判決は、こうした最高裁の判断にも背く異様なものだ。
原発を止めた裁判官はこれまでにも例があって、別表のように2003年1月、高速増殖炉「もんじゅ」にダメ出しした名古屋高裁金沢支部の判決に始まって、今年1月、伊方原3号機の運転差し止めを認めた広島高裁判決まで7件、今回の大阪地裁で8つ目である。原発を止めろという訴訟は福島事故以降50件ほど出されているから、相当な確率である。
中には首を傾げる司法判断もある。個人の生命、身体が侵害される具体的危険がある場合、その個人は人格権に基づき侵害行為の差し止めを求めることができると認めたもの(金沢地裁)や、原発のある福井県高浜町から65キロ離れた大津地裁の山本善彦裁判長(当時61歳)は、「一旦事故が起これば琵琶湖が汚染され、滋賀県民が被害を受ける。その環境破壊の及ぶ範囲は我が国を越えてしまう可能性さえある」と高浜原発の再稼働禁止を言い渡している。福島原発事故でも概ね避難指示は「30キロ以内」だった。この論法を持ってすれば日本中「一旦事故が起これば‥」が適用されることになる。
さすがに、これらの判決はつぎつぎと上級審で覆されてはいるが、現状は下級審では「やりたい放題」である。
以降は証拠を突きつけることもできないのでブログ子の独断ということになるが、多くの裁判官は青法協(青年法律家協会)傘下ではないかと思う。青法協とは、1954年、日本国憲法を擁護し平和と民主主義及び基本的人権を守ることを目的に設立された。弁護士・学者合同部会、裁判官部会、司法修習生部会からなり、左派的な主張が多く、原水爆禁止、安保改定反対、ベトナム反戦運動などを繰り広げてきた。公安筋からは日本共産党の指導下にあると見られている法律家集団である。
この内、裁判官部会のメンバーは220名ほど。1970年には岸盛一最高裁判所事務総長が、「裁判の公正性を疑われかねないので、政治的色彩を帯びた団体に裁判官は加盟すべきではない」との談話を発表、1984年に青法協裁判官部会は青法協本部と分離して如月会となり,青法協の裁判官組織は消滅したものの、水面下で活動している。
ブログ子は40年ほど前に名簿を手に入れようとしたことがあるが、ほとんど近づけなかった。共産党内でもガードは固く、トップクラスしか知らないという、元参議院議員で日本共産党幹部だった筆坂秀世は「日本共産党のナンバー4」と目された人物だが、セクハラで中央委員を罷免され、常任幹部会委員・幹部会委員など党の要職も解任された。それほどの幹部でも青法協名簿は知らないというからよほどガードが固いのだろう。
青法協会員の裁判官が再任を拒否される事件が生じたりしているから、最高裁は名前を把握しているようだ。人事に反映されていて、こうした一癖ある判事は地裁、簡裁など地方に配属されている。定年までドサ回りで、不服を上に上げたら処分を食ったなど定年退官後に語っている人もいるからまず事実であろう。
電力という「あらゆる産業の米」とも言える基幹が、こうした判事の「最後っ屁」みたいなものに弄ばれるのは看過できない。