軍事知識の欠如した与野党と左傾メディアで日本は滅ぶ

地政学的に日本は「不運」である。大陸側に接している4カ国、ロシア、中国、北朝鮮、韓国全てが敵対国ときている。そのうち3カ国は核を保有している。韓国は自由主義陣営ヅラ‏しているが、米韓同盟を危うくしてまで北と中国にすり寄って、航空自衛隊機に準戦闘行為とみなされる「ロックオン」をかけてくるくらいだから日本を「仮想敵国」とみなしているのは間違いない。

2020年の日本の防衛予算5兆3222億円に対し、韓国国防予算は約4兆7000億円。2026年には日本国防費を上回る見込みだ。北朝鮮を除き、戦闘機、陸上兵力、艦艇いずれも日本を上回る戦力を持つ国々に囲まれ、北朝鮮も核と長距離ミサイルで日本を狙っている。これほどの脅威を与野党もメディアも露ほども感じていない。その「豪胆さ」に呆れるばかりである。

ブログ子は昔で言えば連合艦隊司令長官、現在では横須賀艦隊司令をつとめた海将と親しかった。防衛庁時代で防衛課長をしていた海将を六本木に訪ねたとき、日本の潜水艦隊の父、と言われるこの人から、貧弱な日本の軍事力ながらかろうじてこれらの国々と対峙できているのは、潜水艦隊の力だと教えられた。日本のすぐれた造艦技術はなんとしても守らなければならないと以来、確信している。そうした彼我の戦力の差をノホホンとした国会議員と左傾メディアは全く理解していない。

 政府は12月18日、「敵基地攻撃能力」の保有について、年内に結論を出すことなく、「抑止力の強化について、引き続き政府において検討を行う」と結論先送りを発表した。その前には、河野太郎防衛大臣が、イージスシステムを地上に設置するタイプのミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画を停止すると発表している(6月15日)。

その理由というのが、発射される迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」(改良型)は発射後、ブースター(一段目、二段目の推進ロケット)が切り離される。地元住民はこれが「危険」として反対している。基地周辺の住宅などに落下させないためには設計変更がソフト面だけではダメで、ハードまで改修しないとダメ。とてもそこまでやるのはむりだから開発は断念するというのだ。

このミサイルは、日米両政府が共同開発中の迎撃ミサイルで、陸上自衛隊の新屋演習場(秋田市)と山口県の陸自むつみ演習場(萩市、阿武町)への配備を計画していた。イージス・システムはもともと、米海軍が空母の艦隊防空のために開発した技術で、海上だからブースターの地上落下など想定していない。それを陸に上げるというのだから、計画当初からそんなことはわかっていたはずである。「盲亀の浮木」の理屈の前に屈して新たにイージス艦2隻を建造して、海上迎撃体制をとるという。1000億円余計にかかることになる。国民の命を守るという安全保障は日本では地域エゴより低いのだ。

「敵基地攻撃能力」は憲法違反とする野党とメディアもどうかしている。「専守防衛」は彼らの金科玉条だが、このアメリカから与えられた憲法が書かれた当時なら、攻撃を受けてからはじめて反撃するというのもできたろうが、現代では最初が核なら、それでお終いである。反撃する間もないのが現代戦である。少し持ちこたえたとしても、戦場は常に日本国土ということになる。これがおかしいことは誰でもわかるであろう。

菅内閣が18日に閣議決定した「新たなミサイル防衛システムの方針」で、防衛省が開発を目指しているのは「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロから約1千キロ程度延ばす」程度である。確かに日本の領空から撃てば、北朝鮮やロシア、中国内陸部も射程に収める。しかし向こうはすでに数百発の長射程ミサイルを沿岸部に配置済みである。それにも関わらず立憲民主党の安住淳国対委員長は「使い方によっては専守防衛の考え方から逸脱する」という。もう馬鹿らしくなってくる安穏さである。

敵基地攻撃には、情報が欠かせない。北朝鮮は数百機の移動可能なミサイル発射機を持っているとされる。現在地を特定するには監視役の人物から情報や軍内部で交わされる通信の傍受も必要だが、今の日本にできることは、1日に1回程度の割合で北朝鮮上空を通過する情報収集衛星による画像情報と、防衛省情報本部の通信所・分遣班による北朝鮮軍の無線通信の傍受にとどまる。軍通信の傍受も情勢が緊迫すれば周波数を変えられてしまい、すぐ傍受不能になる。つまり敵基地攻撃の能力すら持っていない現実を安住淳国対委員長は知らない。

昭和31(1956)年2月29日の衆議院内閣委員会において、当時の船田中防衛庁長官が「我が国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、他の手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である」という政府答弁を行っている。

確かに敵基地攻撃能力の保持は憲法上認められているものの、自衛隊は現在、敵基地攻撃能力を保有していない。政府が過去の国会議論において野党の反対に配慮して敵基地攻撃能力を保有することを躊躇してきたからだ。まずここを是正しなければならない。

自衛隊は敵基地攻撃能力を少しは持とうとしている。敵基地攻撃は、戦闘機が空中給油を受けながら長距離を飛行し、AWACSの管制を受ける。敵基地が近づくと電子戦機が妨害電波を出して地上レーダーや迎撃機をかく乱させる。つまり複数の航空機を組み合わせる必要がある。

最後に敵基地への爆弾投下やミサイル発射となるが、航空自衛隊は2012年から衛星利用測位システム(GPS)衛星を利用した精密誘導装置付き爆弾(JDAM)を導入、より正確な爆撃のため、2014年にはイラク戦争で米軍が使ったのと同じタイプのレーザー光線で誘導するレーザーJDAMの導入を開始した。

これなど、安住議員に言わせれば「専守防衛」に反するというだろうが、そうなれば彼は自衛隊員に「死ね」といっているに等しい。どこの国の国会議員か疑う。

我が国の安保議論には、世界の標準からみて非論理的、非軍事的なものが目立つ。「専守防衛」、「相手に脅威を与えない防衛力」など、憲法第9条に起因する時代錯誤的な主張が大手を振ってまかり通っている。憲法改正が不可避だが、これまた周知のように至難の技ときている。

与野党と左傾メディアに言いたい。世界地図をもう一度広げて見よ、日本の置かれている、世界でもまれなほど危険な国々に囲まれている様をみてから「専守防衛」とか「敵基地攻撃能力」を口にせよ、と。

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