森喜朗元首相が辞任に追い込まれた。気の毒でならない。ブログ子は何度でも言うが、これは朝日新聞を主犯とするリベラル気取りの一部マスコミとこれに便乗した者達による犯罪である。
彼らは「東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)の女性蔑視発言・・・」と声を荒げるが、当日の森発言の詳細を彼らは読んでから声をあげているのか、と聞きたい。前回このブログで少し紹介したが、何度読んでもメディアが言う「女性蔑視」とは無縁の発言である。いつものように、ある意図をもったメディアによる「切り取り」報道でしかない。
それどころか森会長は、女性を増やすべく努力してきた当の人である。スポーツ庁が示した指針「日本オリンピック委員会(JOC)の女性理事を全体の40%以上とする」目標の実現について、こうも発言している。「これは文科省がうるさく言うんで、(男性)理事をかなり削って女性の枠を増やすのに苦労した。(女性理事を増やすことに)理事の中でも反対があった」と述べているくらいである。
そうした経緯を触れもせず、いたずらに「日本は女性蔑視の国」と煽る。これはもはやメディアの犯罪でなくてなんであろう。
ブログ子の勝手な発言で、「女は1人だと可愛いが、2人だと女々しくなり、3人だと姦しいばかりである」と言ったとしよう。漢字文化圏にある日本語ならではの言葉の遊びで、普通の教養ある人なら笑ってくれるだろう。これを外人に英語で伝えて欲しいと言ったらどうなるか。そうそう通訳の名手はいないだろうから、これは間違いなく女性蔑視の発言と伝えられる。
今回、朝日新聞がまずNYタイムズに投げかけて「女性差別」という反応を引き出した手口はこれと同じである。森氏は仕方なく「不適切だった」と公開の席で謝罪 し発言の撤回もした。IOCも「わかった」と 認めた。我が国の通例ではこれで「一件落着」だったはずだ。
ところが朝日新聞は巧妙だった。立憲民主党を焚き付け、今井雅人他を押し立てて国会で責め立てた。菅首相は「組織委員会の人事に政府は介入できない」と正論を述べていたのに、彼らは室伏広治スポーツ庁長官に「辞めろ」と言わせろと迫っ た。いくらオリンピックで(繰り上げ)優 勝したと言っても、親子以上に歳が離れた元内閣総理大臣に向かって「貴方、お辞 めください」と直言できるものか、まさに無理難題である。
さらにどこから探し出してきたか「志高い市民のボランティ が何百人も聖火走者の辞退した」と畳み掛けた。IOCの掌(てのひら)返しはあるは、スポンサー企業からの森発言批判はあるは、日本中凄まじいばかりの 「森辞めろ」の世論形成を盛り上げていった。テレビ朝日はじめワイドショーの街頭インタビューではにわか正義のおばちゃん、兄ちゃんに口を尖らせての「不適切発言」と言わせる念のいれようだ。
小池百合子都知事も裏切った。予定されていた五輪の四者会談を欠席する理由として「皆様をあれほ ど不快な思いにさせた森氏が出られる会議ではポジティブな結果は出ないだろうから欠席す る」と得意の作業服姿で語ってみせた。
退席する小池都知事の後ろにはスカートと同じ色のジャケットをハンガー に掛けて持ち歩く女性が付いていた。コロナでは三密しないとかのフリップを掲げて登場し、それ以外では・・・TPOに応じてテレビ映りを変えるのである。この人が掲げた「7つの公約」のうち何一つ実現していないことなどどこ吹く風で、得意の「政敵づくり作戦」なのである。
本来五輪はそれぞれの国の一都市がアスリートを招請するものである。東京都と東京五輪・パラリンピック組織委員会会長は車の両輪であるべきなのだが、犬が水に落ちたと見るとすぐ打ちに行く、嫌な姿を見た思いである。
森会長が11日に辞任を決意したあと、すぐ後任を選ばなければ世界に恥をさらすというので自ら乗り出した。ほっておけばまとまらないという思いだったのだろう。後任に元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)の名前が挙がると、今度はSNS上は「まさかのさらに年上」「また80代の老人かよ」など、川淵氏の年齢や“老老交代”を問題視する声であふれた。無責任な一般人の意見を尊重するとこうなるのは世の常である。
年齢だけを見てダメというのは“女性だから話が長い”ということと同じ「差別」線上にあることを誰も気づいていない。森会長が正式に辞任を表明した際、怒りをあらわにした場面があった。「老人が悪いかのような表現をされることは極めて不快」と述べた。これはまっとうな意見なのにどこのメディアもそれには知らぬ顔の半兵衛である。
会長は「女性アスリートで若い人」であるべきだと彼らは信じているようだ。若いがスポーツしか知らない人が、調整力や指導力が必要でかつまた世界に通用する人格を兼ね備えた人物をどれだけ知っていようか。
後任会長は候補者検討委員会が決めるという。その会長は組織委の名誉会長でキヤノン代表取締役会長兼社長CEOの御手洗冨士夫氏(85)である。さぞかし苦労することだろう。しかしもう時間がない。若い者や無責任なメディアの意向を汲んでいてはまとまるものもまとまらないであろう。ここは「老害」扱いされる勇断の人の出番である。
国家事業でもある東京五輪を、次元の低い性差別問題にまで貶めて責任も取らないメディアの犯罪を私は永劫に忘れない。