馬鹿は死ななきゃ治らない

小泉純一郎、鳩山由紀夫、菅(かん)直人各元首相は、東日本大震災、東京電力福島第1原子力発電所事故から10年となった11日、東京都内で開かれた脱原発集会に参加して気炎を上げた。集会には細川護煕、村山富市両元首相も脱原発を訴える「宣言文」を寄せたという。鳩山氏が「脱原発政党」設立のため、小泉氏に政界復帰を求めると、会場から拍手が湧いたそうだ。

この記事を見てタイトルにあるフレーズを思い出した。英語では「Once a fool, Always a fool」となる。日本は憲政史上、揃いも揃ってかくも情けないリーダーを担いだのかと潮垂れた。

元首相たちを馬鹿扱いとは・・・と森喜朗元首相発言を女性蔑視とあげつらって辞めさせた朝日新聞グループを筆頭とするフェイクメディアは矛先をこちらに向けそうなので言っておくが、このフレーズは二代目広沢虎造が語って有名になったものだ。

「石松三十石船道中」で「次郎長こそが街道一番の親分」と語る江戸っ子に、森の石松が寿司と酒をごちそうする。江戸っ子は上機嫌で次郎長の強い子分の名前を言い連ねるが、肝心の石松の名前がなかなか出てこない。出てきたと思うと「でもね、あいつは馬鹿だからねえ」。石松が「何かい? 石松は馬鹿かい?」と問いただすと、  「馬鹿も馬鹿、東海道で一番馬鹿!」

ブログ子に言わせると5人の元首相は 「馬鹿も馬鹿、日本国で一番馬鹿!」だ。

この集会は、小泉氏が顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が主催した。小泉氏は首相時代は原発推進論者だったそうで「原発事故で間違いだったと気づいた。過ちを改めざるを、過ちという。過ちては改むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ。それで原発ゼロを展開している」と語った。いい気なものだ。

鳩山氏は菅義偉(すが・よしひで)政権が目指す2050年の温室効果ガスの排出実質ゼロに触れ、「化石燃料を使わないやり方でも、十分に(脱原発を)実現できるということを数値が示している」と主張。菅氏も「この10年間で原発が発生した電力は全体のたった3%だ。将棋でいえば投了の場面なのに『投了しない』と“原子力ムラ”が頑張っているだけだ」と言った。現職のときからルーピー(馬鹿)呼ばわりだったが、今もそうなのだ。

彼らに共通しているノーテンキ(能天気)には呆れるばかりだ。今年の年末年始の寒波では関電を筆頭に「停電一歩前」の状況に追い込まれた緊迫事態を知っているのか。

まだおとそ気分の抜けきらない1月の3連休。「10年に一度」と言われる寒波の襲来で全国的に気温が低下、北陸地方では豪雪のため、北陸自動車道では車が立ち往生するなど、厳しい寒さが続いた。このとき、電力需要の急増で、供給力に対する需要の割合を占める電力使用量が99%に達する日もあったのだ。関電は他の大手電力から電力を融通してもらったり、ライバルの大阪ガスから発電燃料である液化天然ガス(LNG)の供給を仰いだりするなどしてどうにか非常事態は免れたが次に大停電が起きないという保証などどこにもないのである。

反原発運動で日本の原発の殆どは停止している。そんな中、関電ではたった2基とはいえ福井県にある高浜、美浜の原発再稼働の認可が下りていたもののまだ動かせていなかった。それを補う火力発電所も液化天然ガス(LNG)の燃料タンクが底を突いていた。

「どんなに高い値段で買ってもいい。とにかくLNGをかき集めろ」。関電では社長の指令のもと、LNGの取り次ぎをする大手商社などに確保を要請した。しかし、すぐに調達できるLNGはない。関電は最後の手段として、家庭向け電力の販売でしのぎを削る商売敵の大阪ガスに頭を下げ、LNGの融通を要請、やっとこ切り抜けたのである。

経済産業省・資源エネルギー庁と電力の業界団体である電気事業連合会(電事連)の幹部たちが休日にもかかわらず電話越しにやりとりしていた。

電事連は「国民への節電要請」を求めたが、経産省らは「節電という言葉は使うな」と拒否。「停電が起きてもいいんですか」――とやりあっていた。

電力は需要と供給が一致しないと停電してしまう。需要に供給が追いつかない事態が続く中、電事連は「電力消費を極力抑えてもらうよう、広く国民や企業に訴えてもらいたい。場合によっては節電要請を求めたい」と所管の経済産業省や資源エネルギー庁に訴えた。

官邸を恐れる経産省は大手電力会社間の電力融通や、石油・ガス業界からのLNGなど燃料確保の自助努力を押しつけた。電力大手幹部はこう憤った。「こうなったら停電させたらいい。電力改革と称して自由化を迫っていて、停電の懸念が出てくると、『業界で何とかしろ。電力会社は何をやっているんだ』と頭越しにどなりつけてくる。停電が相次ぐ米カリフォルニアなどで明らかになっているように、電力自由化にかじを切ることは、そういうリスクも抱えるということは子供でもわかるはずだ」

今、日本は世界最大のLNG輸入国だ。世界的にダブつき、長く価格が低迷しているLNGが、なぜ国内で不足しているのか。原発停止以降、石炭や石油より環境負荷が低いLNG火力へのシフトも進み、国内の発電総量の4割を占めるようになった。反原発の高まりで原発を止めたはいいが逆に日本ではLNG依存が高まったのである。

貯蔵期間が2カ月しかないLNGは、石炭や石油に比べて扱いづらい。LNGの調達難は即、電力危機につながるだけにその管理は徹底しているが、ちょっとの需給アンバランスで電力不足に陥る危険が高まるのが日本の現状なのである。
関電の危機のとき、九州電力ではJパワーの石炭火力発電所に石油を流し込んで急きょ、発電する慌てようだったのだ。

電力自由化という政策に9電力は振り回されている。それに加えて「発送電分離」政策ときた。自由化前のように、発電から配送電、小売りまで一社で一貫して手掛けていた体制では、小売り・営業部門から企業や家庭などの電力の消費動向がリアルタイムにあがり、それに応じて発電・送電部門が燃料調達や発電所の稼働を調整できた。

しかし、自由化後は発電、配送電、小売りがそれぞれ別会社になった。「各社間の情報連携がうまくいかず、供給責任をどこが担うのか、責任の押しつけ合いになってしまった面はある」(大手電力幹部)という。

かくも電力不足は深刻なのに、クルマの電動化という世界の流れは止められそうにない。 菅義偉政権は2035(令和17)年までに新車販売の電動化100%を実現する目標を掲げている。火力発電への依存度が高い日本では電気自動車(EV)の急速的普及が環境負荷を重くし、深刻な電力不足につながるのは目に見えている。トヨタの試算ではこの目標だと日本はさらに発電量の15%増が求められることになる。いまでも電力不足なのに、これはもう夢想というほかない。

東電福島第1原発の事故から10年。菅政権は選挙を気にして原発について正面からの議論を避けているから、上述のような5人の元首相のような、現実を見ないでやたら脱原発を叫ぶノーテンキを許しているのである。

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