公職選挙法違反の罪に問われた元法務大臣の河井克行被告が議員辞職したことについて、自民党の二階俊博幹事長が「他山の石」と発言したことをめぐり野党が騒いでいる。
①立憲民主党の枝野幸男代表は23日の党会合で、「日本語を理解されていないのか、ちょっと意味不明の発言であり、まさに自民党のど真ん中で起きた事件だ」と批判した。
②立民の福山哲郎幹事長も「自民党にとっては他山の石ではなく『自山の石』ではないか」と強調した。
③蓮舫代表代行は「使い方が間違っている。コロナでの政治不信はあってはならない」と誠実な姿勢を強く求めました。
④テレビのニュースでは、安住淳・国対委員長や共産党の小池晃書記局長も「ついに他人と自分の区別もつかなくなったのか。紛れもない『自山』だ」と、同じ意味で使っていた。
⑤外野では、不倫のあと各種コメンテーターとしてご活躍の乙武洋匡氏も「『他山の石』の意味を知らないのか、それとも河井氏が昨年まで自民党に在籍していた記憶を失ってしまったのか……」とツイッターにあきれたようにつづった。
ブログ子は二階幹事長の発言をテレビで聞いた。氏は克行議員の裁判について「どのように受け止めるか」と質問され、「議論の余地のないことだから、本人も大いに反省しているだろうが、党としても他山の石としてしっかり対応していかなくてはならない」と答えていた。なにも違和感などなかった。
「他山の石」の意味だが、出典は「四書五経 にある「『他山の石以(も)って玉を攻(おさ)むべし』で「(よその山から出た粗悪な石でも,自分の宝石を磨く役には立つという意味から)自分より劣っている人の言行も自分の知徳を磨く助けとすることができる」(「広辞苑」第6版)
「よその山から出た粗悪な石も自分の玉を磨くのに利用できるの意から、他人のつまらぬ言行も自分の人格を育てる助けとなりうることのたとえ」(「大辞林」第3版)
このように「他山の石」は,他人の誤った言行やつまらない出来事でもそれを参考にしてよく用いれば,自分の修養の助けとなるという意味である。二階幹事長はなにも間違ってなどいなくて、無知なのは①から⑤まで挙げた連中なのである。
日本人の国語力は毎年落ちていて、本来の意味とは逆の使われ方をしているのは毎年文化庁が実施している「国語に関する世論調査」からも明らかである。
例えば「敷居が高い」の意味は「相手に不義理などをして行きにくい」だが、正しく使っているのはわずか29・0%で、「高級すぎたり上品すぎて入りにくい」が56・4%である。
今回問題の「他山の石」も2004年の調査で取り上げられていて、正しく「他人の間違った言行も自分の行いの参考となる」を選んだのは、26・8%で、誤答である「他人の良い言行は自分の行いの手本とな る」が18・1%だったという。
野党が「余所の山とは何事か。自分の党内で起こっ た事だ」とほざいているのは、逆に、己の常識不足、国語力不足を露呈しているだけのお粗末なのである。