「男らしさ、女らしさ」が否定される時代

ブログ子が子供の頃「男はつまらぬことで泣くな」と教わった。以来、肉親の死や新聞記者として、社会正義に反する事象以外泣かないことにして今に至っている。

一、至誠(しせい)に悖(もと)る勿(な)かりしか
一、言行(げんこう)に恥づる勿かりしか
一、気力に缺(か)くる勿かりしか
一、努力に憾(うら)み勿かりしか
一、不精(ぶしょう)に亘(わた)る勿かりしか

まるで守ることができず、反省ばかりだが、江田島海軍兵学校の「五省」を座右の銘として万分の一でも近づきたいと心がけてきたが、今では「男らしさ」自体が非難の的となってきた。

例えばここ1週間ほどで目にしたり記事を見たりしたことを並べてみても違和感ばかりが残る。
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○28日の日曜日の朝NHKテレビで「男らしさ、女らしさに縛られない社会をNHKは考えていきます」とやっていた。

○ファミリーマートは26日、新たに発売したプライベートブランドの女性向けのキャミソールやショーツなど衣料品の色の表記で「はだいろ」となっていたのは不適切だったとして約22万5千枚を回収、ファミマ広報は「再発防止とチェック体制の強化、社員教育の徹底をはかる」と反省の弁。

○東京ディズニーランドと東京ディズニーシーは3月18日から、園内アナウンスの「Ladies and Gentlemen, Boys and Girls」という文言を、性的マイノリティーの来園者などにも配慮した表現「Hello Everyone」などに変更した。

○テレビ朝日が22日、報道番組「報道ステーション」のCMで「不快な思いをされた方がいらしたことを重く受け止め、おわびする」とコメントを出した。問題の0CMは若い女性が「どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかってスローガン的にかかげてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」「いい化粧水買っちゃった! 消費税は高くなったけど」などと笑って話し、最後に「こいつ報ステみてるな」と字幕が出る。これにツイッター上で「こいつって何様?」や「女性蔑視があふれている」と批判が相次いだという。

○3月22日の朝日新聞には「『男だから泣かない』に感じたモヤモヤ 性差別の防ぎ方」という記事があった。「これからの男の子たちへ」(大月書店)の著者で男の子2人を育てた視点からジェンダーの課題を考えた弁護士の太田啓子さん(44)の話として「長男が赤ちゃんだったころ。泣いている息子に親戚が『男の子なんだから泣かない! おっとこっのこ! 偉い! 強い!』とあやすのを見てぎょっとしました」。「森喜朗前会長の女性蔑視発言などを機に、ジェンダー意識の低さが改めて露呈した日本。性差別のない社会に変えていくには何が必要なのか考えます━とある。
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「男らしさ、女らしさ」の延長線上だが、今月17日、札幌地裁で 同性婚を認めないのは憲法違反とする判断が示されたのにも驚いた。男と女が結婚するというのは法的にも常識で、憲法24条にも「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」と書かれている。同地裁の判決はこれを覆すもので、同性愛に結婚を認めないのは差別で、憲法14条の「法の下の平等」に反するというのだ。憲法違反と言うがそもそも憲法起草時にLGBTなど想定していないのは明らかだ。

もともと日本は明治以前から同性同士の性愛行為を認めてきた寛容な歴史を持つ。その上でなお法律上も、「同性の結婚」まで認めよというのだからブログ子など、結婚の意味もわからなくなってきた。

さらに「夫婦別姓」をめぐる動きが加わってきた。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の首を取ったことに味を占めたのか、野党やマスコミ(主に朝日新聞)による男女差別解消問題という錦の御旗になっている。

昨年12月の朝日新聞社説「夫婦別姓 社会の要請に耳澄ませ」のようにどうしても、夫婦を別姓にしようという下心が見える。現に日本は、選択的夫婦別姓で、同姓を選ぶ人が大多数であり、仕事上の理由で別姓を使いたければなんの妨げもない。それでいいではないか、と思うのだが、彼らの理屈は奇妙である。

 「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない。そこでまた一つの差別化が行われるわけじゃないですか」(『ザ・フェミニズム』(上野千鶴子・小倉千加子著)という。

リベラルという名の左翼の人たちは、今や個人の性差、信条という個々人の内面にまで手を突っ込んで「思想・言論検閲」に躍起になっている。それは彼らが戦前の言論統制に最も反対してきたことではないか。最も憎んできたことをいま自分たちがやっている。それに気づかないことが恐ろしい。

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