「東京で五輪・パラリンピックを開くことが理にかなうとはとても思えない。人々の当然の疑問や懸念に向き合おうとせず、突き進む政府、都、五輪関係者らに対する不信と反発は広がるばかりだ。冷静に、客観的に周囲の状況を見極め、今夏の開催の中止を決断するよう菅首相に求める」とある。
朝日新聞が「上から目線」なのはいつものことだが、ブログ子は読むほどに「よく言うよ」と吐き気を催した。まず、この朝日新聞含め、読売新聞、毎日新聞、日経新聞、産経新聞、北海道新聞の6社は東京五輪のスポンサーである。五輪史上でもメディアがそろってスポンサーを務めるのは珍しいことだ。いわば、東京五輪の推進機関が突如裏切ってブレーキを掛けるということが許されるのか。
もちろん、世論の半数はここまでコロナ禍が拡大した現状では五輪開催は無理と考えているのは事実だ。しかし大ナタを奮って来日人数などを抑えることでなんとか開催できる方策はないかと関係者が日夜奮闘している。例えば、以下のように。
選手が1万5000人以上、コーチや関係者、メディアも含めて約8万3000人が来日すると予測されている。この人数を大幅に制約する方向で調整している。組織委と政府、東京都が連携する「対策会議」ではかなり厳格なルールを定め、
・海外から訪れる全ての大会関係者は、出発前の96時間以内に日本政府が指定する方法で2度の検査を実施し、指定の書式による陰性結果証明書を取得する。日本到着時は空港で検査を受ける。
・入国翌日から3日間は自室で隔離する。ただし、選手は陰性の証明など一定の条件を満たせば、入国後すぐに練習できる。
・日本滞在中は原則として毎日検査を実施する。2種類のスマートフォン向けアプリを活用し、検温結果や症状の有無などを毎日報告する。
・原則として行動は活動計画書に記した内容に限定し、観光地、店舗、レストラン、バー、ジムには行けない。移動手段は大会専用車両のみとし、原則として公共交通機関は利用不可。
・食事はウイルス対策が施されている施設やデリバリーに限る。
そして、「プレーブックの規則に違反した場合、資格認定証の剥奪などの懲罰的措置を受ける可能性がある」と規定されている。行動ルールを破れば、オリンピックへの参加資格が失われる、という意味だ。
そこまで厳しくしても、五輪開催を目指すのは、コロナ禍でも人類が五輪を開催したという克服の証明を世界に示すことに意義を見出すからである。何より、招致にあたって東京都が世界に約束した「平和の祭典」である。約束を果たすことは日本の責務である。
社説にはこうもある。「何より大切なのは、市民の生命であり、日々のくらしを支え、成り立たせる基盤を維持することだ。五輪によってそれが脅かされるような事態を招いてはならない。まず恐れるのは、言うまでもない、健康への脅威だ。 誰もが安全・安心を確信できる状況にはほど遠い。残念ながらそれが現実ではないか」
よくぞ言ってくれた。ならば、朝日新聞社が主催する夏の甲子園も当然中止するのだろう。何しろ社説には「十全ではないとわかっているのに踏み切って問題が起きたら、誰が責任をとるのか、とれるのか。『賭け』は許されないと知るべきだ」と書いているのだから、当然、夏の甲子園も「賭け」はできないはずだ。6月になると早、県大会である。それまでに中止の発表がなければ、社説との整合性が取れないが、どうなのか。
社説にはこうもある。「五輪は政権を維持し、選挙に臨むための道具になりつつある」。ブログ子の見るところ、この社説「中止の決断を首相に求める」で朝日が言いたかったのはこの下りに尽きるのだろう。つまり五輪を「政局」に持って行きたいのである。
5月17日の朝日新聞には朝刊一面左肩で嬉しそうに「菅内閣支持急落33%」と大きな見出し。小見出しは「『安全安心な五輪』納得できぬ73%」。それまでも、社説やコラムなどで菅義偉首相の武漢ウイルス対策、緊急事態宣言、蔓延防止等重点措置の適用、ワクチン入手に至るまで、批判してきた。
これより前に、日本共産党の志位和夫委員長が東京五輪中止を言いだし、立憲民主党代表の枝野幸男氏が賛同し、朝日や毎日が支持する構図が出来上がっていた。つまりリベラル・左翼である共産・立憲民主路線の「東京五輪中止」に同じリベラル・左翼メディアがコラボしただけの話である。
それにしても朝日新聞というのは、これが日本の新聞かと疑う。従軍慰安婦のフェイクニュースを流して記事は取り消したもののいまだに謝らないし、今回の「五輪中止」社説といい、日本を貶めることに専念して飽きない。
一方、今朝こんな記事を見かけた。【産経ワシントン=黒瀬悦成】米紙ウォールストリート・ジャーナルは28日付の社説で、7月23日開幕予定の東京五輪に関し、「米国は同盟国である日本を助けるためにもっと多くのことができる」と指摘し、バイデン政権が五輪開催に向けて菅義偉政権を支援すべきだと主張した。
社説は、米国務省が24日に新型コロナウイルスの感染拡大を理由に日本への渡航警戒レベルを引き上げ、「渡航中止勧告」を出したことについて、日本が何万人もの出場選手や関係者を受け入れ始める中で「誤ったメッセージを送ることになる」と批判した。
また、バイデン大統領が菅首相と4月の首脳会談の後に発表した共同声明で「安心で安全な五輪とパラリンピックを実施するための菅首相の取り組みを支持する」と表明していたと指摘し、「バイデン氏が本気なら、渡航中止勧告の撤回が(五輪開催を支援する)良い出発点になるだろう」と指摘した。バイデン政権が日本にワクチンの緊急支援を申し出ることも提案した。
さらに、中国が来年の北京冬季五輪を主催することを想起すべきだとし、「権威主義諸国は自国の政治形態(の優越性)を誇示する場として五輪を活用してくる。東京五輪の失敗は中国政府にとってプロパガンダ上の大勝利となるだろう」と警告し、開催の政治的重要性を強調した。同時に、東京五輪の開催は、1年以上のロックダウン(都市封鎖)を経て「世界が再び動き出したという重要なメッセージを送ることになる」と訴えた。
ブログ子は東京オリンピックは、学生時代、札幌での4年間熱中した馬術しか興味がない。今大会、札幌でのマラソン競技コースは馬術部のそばを2度も3度も周回するのでテレビを見ようと楽しみにしている。
野党と朝日新聞のように、五輪を政局に利用するのではなく、五輪を無事に完了させるべく惜しみない努力を続ける方々に深甚なる敬意を表する。