「盲亀の浮木」の屁理屈を振りかざす腑抜け知事

秋田県の佐竹敬久知事は1日、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画断念を巡り、防衛省が秋田市で開く予定の住民説明会について「地元をだいぶ振り回したことへのおわびの言葉は絶対ほしい。防衛省側の出席者については、少なくとも政務三役に顔を出してもらいたい」と求めた。

30日午後6時10分ごろ、米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が青森空港に緊急着陸した。防衛省関係者によると、着陸前に燃料タンク2個を同県深浦町の道路付近と岩木山(弘前市など)周辺の山林に投棄した(写真右 見つかった2個目タンク)。青森県の三村申吾知事は三沢基地のティモシー・マーフィー副司令官と県庁で面会。「一歩間違えれば大変な惨事だった。深く反省してほしい」と抗議、原因が判明するまで同型機の飛行停止を求めた。副司令官は「県民にご心配、ご迷惑をお掛けしていることを改めておわびしたい」と陳謝。岸信夫防衛相は1日夕、記者団の取材に応じ、「住民に不安を生じさせる、あってはならないことだ。大変重く受け止めている」と述べた。

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緊急時のタンク投棄は戦闘機のマニュアルにあることで、着陸時の大炎上を避けるため当たり前のことだ。これが沖縄だと沖縄タイムス、琉球新報というメディアを先頭に共産、社民、立憲民主の「オール沖縄」勢力が「住宅地までわずか数百メートル」といった「恐ろしや」騒ぎがいつも繰り返される。青森、秋田というのはそれに比べればまだ「マシ」な部類だと考えがちだが、そこでも以上のような、「盲亀の浮木」騒動である。

盲亀の浮木というのは、大洋を泳ぐ盲目の亀が浮木にぶち当たる確率で、千に一つ、万に一つもないこと。ただ最近ではアメリカの原子力潜水艦が大洋で浮上したところ大型貨物船にぶつかって艦長以下当直士官が更迭される事件があって、「百に一つ」くらいの確率になっている。

地方への権限移譲が進んで知事の裁量がおよぶ案件は以前より大幅に増えた。ただ、安全保障の問題は知事裁量を超える国政の問題である。それを大声で言うと騒ぎがさらに大きくなるのが日本の現状で、米軍の副司令官は「お詫び」するし、防衛相は「あってはならないことだ」と言わざるを得ない。

その結果どうなるか。
上で「イージス・アショア」(陸上イージス)が迎撃する際、ロケットの弾倉が住宅地に落下する恐れがないとは言えないと拒否した秋田県や山口県(写真右は山口県の反対デモ)のような「盲亀の浮木」論が幅を利かすことになる。

ごねられて政府は陸上イージスの導入断念、代替艦「イージス・システム搭載艦」2隻の導入方針を昨年12月に閣議決定した。しかし計画当時の総コストは4500億円ほどだったのが、試算してみたら少なくとも2倍の9千億円、あるいは1兆円とも。

さらには洋上で2隻がミサイル防衛に従事できる期間は年にわずか126日と一年の三分の一。整備などに充てる期間が必要なためだ。米軍が実施した迎撃試験の確率が低いという説も出てきた。

「張りぼて」説もある北朝鮮の弾道ミサイルを撃ち落とす装備にしては高すぎる。その間、中国が超音速大陸間弾道弾の実験に成功との報道も伝えられた。イージスでは対応できない軍事技術の進歩を前に、イージス計画は頓挫に追い込まれている。

平和ボケした日本は左翼・リベラルが振りかざす憲法を盾にした「専守防衛」から抜け出せない。現代戦は先制攻撃で一巻の終わりである。未だに「敵基地攻撃」などもってのほかなのだから、何をかいわんや、である。

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