南太平洋の島国・トンガの首都ヌクアロファの北約65キロにある海底火山「フンガトンガ・フンガハーパイ」が15日超絶大規模な火山噴火を起こした。太平洋は広大だが地球規模で見ると「たらい」みたいなものだから、衝撃波によると見られる「津波」が世界中を襲い周辺国では死者が出たり、日本でも多くの漁船が転覆した。
これが原因となって今後、異常気象が確実に起こる。1,2年以内に日本でも大凶作に見舞われるのが目に見える。なぜなら前例があるからだ。1991年にフィリピンのルソン島西のピナトゥボ火山で起きた噴火では、火山噴火にともなう噴出物が成層圏まで巻き上げられて太陽光が遮られ(パラソル効果)、世界的に気温が低下、2年後、日本では東北地方を中心に米が大凶作となって、米不足からタイ米を緊急輸入した。
こういう地球の大地殻変動を目の当たりにすると、やれ脱炭素社会だ、ゼロカーボンだ、地球の気候変動を促してしまうから温室効果ガスの筆頭である二酸化炭素を減らさねば、と声高に叫んでいる脳天気な連中の罪深い行動がいかに世界に害毒を流しているか、いっそう際立って見える。
ブログ子は、CO2ゼロという極端な目標は、経済を破壊するばかりか亡国の理論だと思っている。環境大臣になった小泉進次郎が衆院予算委員会で「(二酸化炭素などの)温室効果ガス削減の先進地域を国内に作りたい」と持論を展開していたのはつい10ヶ月ほど前である。
環境先進国であるドイツや、ドイツに導かれたEUに倣え、というのだが、そのドイツはどうなったか。メルケル首相の脱原発で、ロシアからの天然ガスの輸入に大きく依存しているが、ウクライナを巡る軍事的緊張が暗い影を投げかけている。ロシアと直結する海底ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の建設を進めてきた。ノルドストリーム2は昨年9月に完成し、稼働前の認可手続きに入っていた。
しかし、米国は「欧州のロシアへのエネルギー依存が強まる」として反対の立場をとっていて、新たに就任したべーアボック外相(緑の党)と対談した米ブリンケン国務長官はロシアがウクライナに侵攻すればノルドストリーム2の稼働停止を排除しない」とも述べた。おかげでドイツでは電気料金が63%もアップ、国民は怒り出した。
輪をかけて、ドイツが主導してきた欧州連合(EU)域内の二酸化炭素(CO2)排出量取引制度も物価上昇に拍車をかけている。メルケル首相時代の産物で、発電所や航空会社などCO2排出量が多い事業者は、上限を超える量を排出する場合、その分の排出量を購入しなくてはならない。多くの企業はEUが求めるCO2削減目標に追いつかず、購入を余儀なくされている。昨年12月上旬に1トン当たり90ユーロと最高値を更新し、1年前の約3倍の水準だ。
エネルギー供給のリスクを前に、ドイツ、フランスなどEU内では「何のエネルギーソースがクリーンなのか」という議論を始める始末。結果、欧州委員会が社会や経済の脱炭素化に寄与するエネルギー源として、天然ガスと原子力を公式に認定する方針を発表。フランスは原発をクリーンなエネルギーと認定した。ドイツはメルケル前首相の原発全廃の政策の手前「脱炭素化に貢献するグリーンな投資対象であるとは認定できない」と拒否したものの、天然ガスだけで電力価格の高騰に対処するのはまずもって不可能だろう。彼らが、いままで積み上げてきた脱炭素、脱化石燃料、脱原発といった各種議論は何だったんだという惨状である。
日本も「対岸の火事」と言ってられない。寒い冬を越すのに電力の使用量は跳ね上がる。この年末年始、東京電力での発電量だけでは足りず、中部電力などから電力を融通してもらい、何とか急場をしのいだものの、SDGs(持続可能な開発目標)の名のもとに環境破壊に繋がるエネルギー政策は改めようという機運はまだまだ盛んである。
カツカツの電力事情なのに、「2050年までにすべてEV車に」、「2050年までにカーボンニュートラル」と威勢のよい掛け声だけ聞こえるが、ブログ子はまるっきり信用していない。ブログ子がいるのは超寒冷地の山の中である。バッテリーは寒ければ仕様書の半分も電力はないであろう。自宅から山まで片道100キロ以上あるが一回充電で200キロ走れるEV車はまだない。EV車に急坂を登る馬力はあるのか、供給する電力はどこから生み出すんだ、という問に答えてもらいたい。
流石というか、トヨタ自動車の豊田章男社長が、記者会見や文春誌面で、ブログ子と同じく、EV車に充電するための電力はどうやって創り出すんだと怒り狂っていたが、まさに正論で、全国に充電網を張り巡らせるのにさらに膨大な二酸化炭素を排出することになる。スエーデンの小娘・グレタ嬢がまなじりを釣り上げようとこれは避けられない必然なのである。
そこそこ強い風が吹き、長大な海岸線をもつデンマークやノルウェーでさえ風力発電でエネルギー需要の4割しか賄えない。土台、これらの国の人口は600万人もない。一億人を超える日本やアメリカや中国で全面的に再生エネルギーに移行できるなどというのは夢のまた夢なのである。
電力消費がますます増える時代に、化石燃料はだめ、再生エネルギーもすぐには代替できない、ではどうするんだとなると、原子力発電所を運用して、核のゴミがどうにかなる技術を何とか開発しながらやりくりするしかないではないか。
親日国・トンガは壊滅的な被害が出ているかもしれないが、まだシカとした情報はない。インターネットが全滅しているという。日本はじめ多くの大国の光回線海底ケーブルがみなトンガを中継しているから、影響は世界に及ぶに違いない。
トンガの大噴火で世界のエネルギー政策がいかに脆い基盤の上に成り立っているかを見せつけてくれた。環境主義者たちは地球のマグマの前に粉砕されたといってよい。