“下駄の雪”公明党 切るべし

自民党と公明党が連立を組んだのは1999年10月、小渕恵三首相のときだから、かれこれ22年余になる。連立誕生のきっかけは、98年参院選での自民党の惨敗だ。参院で過半数を失った同党は、政権を安定させるため、まず旧自由党、次いで公明党を与党に迎え入れた。その後、旧自由党が離脱して2003年から自公両党の連立体制が確立した。

“悪夢の民主党政権”3年3カ月の野党時代から脱出するという意味では効果があったことは認める。しかし、政権の「蜜の味」を知った公明党の“仏壇返し”は目に余る。たとえば、第二次安倍政権の末期、新型コロナウイルスの感染が拡大した20年4月、国民への現金給付をめぐり、山口代表は安倍首相に直談判し、「困窮世帯への30万円」から、かねて求めていた「全国民一律10万円」に変更させた。封印していた連立離脱カードを切る脅しをかけた。

昨年11月にも岸田政権下で「18歳以下のすべての子供に対する一律10万円給付」をゴリ押した。結局、岸田首相が山口代表と会談し、18歳以下への10万円相当の給付について、所得制限(年収960万円以下)を設ける方針で一致した。バラマキ批判に配慮した形だが、実際に給付対象から外れる世帯は全体のわずか1割程度にすぎず、ほとんど「一律給付」である。

何かというと「国の財布に手を突っ込んでバラまく」公明党の手口には飽き飽きした。自公連立の立役者だった野中広務が、「天下の愚策かもしれないが、(公明党に対する)国会対策費だと思ってほしい」と語ったのは有名な話である。

だが、ブログ子が許せないのは「度が過ぎた親中韓」と「憲法改正」という、現在日本にとっていちばん大切な政策への公明党の「逆張り」である。

習近平主席が中国全土に築き上げた監視カメラは約2億台。とりわけウイグル人の監視は厳しく、カメラにより24時間見張っているだけでなく、家族全員が地元警察によって「健康検査」を強要され、採血からDNAサンプルまでありとあらゆる身体検査で、考えられる限りの個人データを収集して弾圧している。

米国も欧州各国も、中国共産党のウイグル人弾圧をジェノサイド(大量虐殺)と認定し、日本の国会もようやく重い腰を上げ中国の人権侵害に関して抗議し非難する段取りにこぎつけた。ところが、公明党はこの非難決議案を徹底的に骨抜きにした。

例えば、非難決議案の元々のタイトルは「新疆ウイグル等における深刻な人権侵害に対する非難決議案」だったが、公明党は「人権侵害」を「人権状況」に変えた。「非難決議」から非難の二文字を削除してただの「決議」に修正した。非難される国として明記されたのはミャンマーだけで、中国は記載されなかった。

本文で「深刻な人権侵害が発生している」と断定した部分は「深刻な人権状況への懸念が生まれている」と柔らかい表現に直された。「弾圧を受けている人々からは」支援を求める声が上がっているというところは、「弾圧を受けていると訴える人々」と変えられた。弾圧を受けていると訴えているけれども、その訴えが本当かどうかはわからないというニュアンスにしたのだ。

原案には、衆議院としての決意も書きこまれていた。「(人権侵害や力による現状変更を)強く非難するとともに、深刻な人権侵害行為を国際法に基づき、国際社会が納得するような形で直ちに中止するよう」強く求める。「立法府の責任において、深刻な人権侵害を防止し、救済するために必要な法整備の検討に速やかに取り掛かる決意である」。公明党はこの二つの文章の全てを見事に削除した。(櫻井よしこ「日本ルネッサンス」1月27日号)

朝鮮半島への思い入れは創価学会の古くからの体質である。池田大作・創価学会名誉会長は東京都大田区の朝鮮人部落に生まれた。本名は成太作(ソン・テチャク)という。「大田区大森海岸の朝鮮部落の海苔の漁師出身」と本人が語っている。前創価学会会長の戸田城聖の元で、高利貸し会社「大蔵商事」の営業部長として辣腕を振るった。病気で寝ている人間を叩き起こして布団まで持って帰ったというエピソードが残っている。

朝日新聞が「地上の天国」と煽った北朝鮮帰還事業では在日朝鮮人9万3000人が海を渡ったが、実は「この世の地獄」であった。昨年には、脱北者5人が北朝鮮政府に計5億円の損害賠償を求めて東京地裁に起こした訴訟が今も審議中だ。これに対しても、池田大作は「北鮮帰還などというのも、やはり東洋広布の大前提なのですから」などと、創価学会の勢力拡大の機会として、帰国事業を肯定している。

憲法改正は自民党結成当時からの公約である。今ようやく「衆参議員3分の2」という大きな壁がクリアできそうな絶好の機会が訪れている。GHQでマッカーサーの腹心ホイットニー民政局長が1週間で書きあげたメモを元に、主語もない怪しげな日本国憲法ができたのだが、せめてまともな日本語の憲法に改正してもらいたいとブログ子など切望している。

安倍晋三元首相は任期中から憲法改正に執念を燃やしており、今も陰に陽に機会をうかがっている。ところが公明党は、憲法への自衛隊の明記などに慎重姿勢を崩していない。敵基地攻撃能力の保有にも否定的だ。

こんな公明党は切るべし、と思うのは私だけではあるまい。先の総選挙では日本維新の会が躍進した。次の参議院選でも躍進が予想される。今こそ「切る」ときだと思うのだが、何故か公明党は強気である。

 1月15日の地方組織幹部とのオンライン会議で、山口那津男代表は自民党との相互推薦を今回は行わない方針を伝えた。自民党幹部は慌てて修復に走り回ったものである。実に見苦しい。総選挙ではどこの小選挙区でも創価学会票が2-3万票ある。参院選でも力のない自民党候補にはこの学会票が欲しくてたまらない。その足元を見られているのだ。

実は公明党には大きな不安材料がある。遠山清彦元財務副大臣と太田昌孝元衆院議員の渋谷朗・元政策秘書の事件だ。貸金業の登録をせずに、新型コロナウイルス禍で経営が悪化した企業や個人の依頼を受け、日本政策金融公庫に融資を仲介。1000万円を超える手数料を得ていた貸金業法違反罪で昨年末に在宅起訴された一件だ。「クリーン」が看板の公明党のイメージにまるで反するダーティさだ。衆院議員の辞職に追い込まれたが、さらに東京・銀座の高級クラブに深夜に滞在、豪遊していたことが週刊文春の報道で発覚したことが創価学会婦人部を怒らせた。

加えて集票マシンとして強力だったその婦人部(今は女性部)が高齢化で力が落ちている。我が家でも家内の実家のお手伝いさんだった創価学会員は選挙前に住民票を関西から東京に移していたし、戻したあとの選挙でも必ず「よろしくね」と我が家の3票目当てに電話してきたものだが、いまは途切れている。

前回参院選の公明党の比例票は過去最低の約653万6000票で前々回から100万票以上減少。昨年の衆院選で比例票は増えたものの、投票率の上昇によるもので、得票率は低下している。

今こそ「下駄の雪」を振り落とせ。

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