日本と英国、イタリアの3カ国は9日、2035年の配備を目指して次期戦闘機を共同開発するとの首脳声明を発表した。各国の技術力を集めて共通の機体をつくり共に生産する。共同開発によりコストを下げ、安全保障環境の変化に応じて柔軟に改修できる体制づくりも目指す。
平和ボケの与野党にはその重みがわからないだろうし、左巻きメディアはいつものように「攻撃力を持つと平和が遠のく」とほざくのだろうが、ブログ子は大いに驚いたのち、大歓迎する。
驚いた第一は、アメリカがよく首を縦にしたものだ、ということ。太平洋戦争(日本名は大東亜戦争)でゼロ戦に翻弄された米軍は占領時代、GHQを通して徹底的に日本の航空機生産能力を削いできた。民間機生産でも「三菱スペースジェット」(MRJ)の挫折をみても分かる通り型式証明取得にはアメリカまで出かけて取らねばならない。
日本を同盟国に「格上げ」してからもそうだ。軍用機、民間機ふくめすべてはアメリカから「買わされてきた」経緯がある。航空自衛隊の主力戦闘機であるF2戦闘機やF15戦闘機導入を見ても分かる通り、機密部分はみなブラックボックス内に収められて、日本は開けることも出来ない。修理するにもただアメリカに依頼するだけだ。例外は韓国で、この国はタブーのブラックボックスを覗こうとこじ開けた過去がある。いまだに軍事関係者の間では有名な話で、米国はじめ各国は韓国を信用していない。
今回も次期戦闘機開発はアメリカと組むことで話が進んでいた。日本側は開発後の独自の改修のために絶対必要なソースコードの開示を要求した。プログラムの設計図にあたるソースコードにアクセスできなければ、日本は後に改修の自由を奪われてしまう。この要求にアメリカは日本に開示しない方針を示したため、計画はご破産かと思われていた。
戦闘機は最先端の軍事機密技術の塊で、米国はたとえ同盟国といえども、日本に対しては厳しい態度をとってきた。ブラックボックスを開ける韓国ほどではないが、スパイ防止法もない日本で、アメリカの重要な先端技術が外国の手に渡れば自国の技術覇権が弱まりかねないと警戒してのことだ。
行き詰まっていた時、英国から日本がF2の開発時に苦しんだエンジンとレーダーの共同研究や基本設計での協力を持ちかけてきた。防衛省内では「英国とであれば、米国と違って対等なパートナーになれる」との期待があった。
今回の日英伊の共同開発を受けて、米国防総省(ペンタゴン)は「米国は、日米両国にとって緊密なパートナー国である英国及びイタリアと日本の次期戦闘機の開発に関する協力を含め、日本が行う、志を同じくする同盟国やパートナー国との間の安全保障・防衛協力を支持する」と声明を出した。
中露といった力を振りかざしあちこちで侵略やジェノサイドを行っている国々に対抗するためには、アメリカは自由や民主主義、法の支配といった価値観を共有する同盟国間の相互運用性と結束を高めるためにも、日本政府の決定を尊重し、歓迎したとみられる。日本が米国以外の国と主要な防衛基盤を開発するのは、第二次世界大戦後初めてとなる。
日英伊三カ国が共同開発へ舵を切れた理由に、それぞれが2035年までに次期戦闘機を開発せねばならない事情があった。日本はF2戦闘機の退役が見込まれる2035年までにFXの配備を目指していた。一方、英国も現行の戦闘機ユーロファイター・タイフーンの後継として、「テンペスト」を2035年までに実戦配備を目指していた。「テンペスト」は無人機(UAV)群との連携計画を含む、英国の「将来戦闘航空システム」(FCAS)の中核機である。このFCASはイタリアとスウェーデンの参画が決定していた。日英伊とも同じ目標があったのだ。
また次期戦闘機に求める性能が日英で同じだったことも合意形成に役立った。新戦闘機のコンセプトは、ともに海洋国としての航空優勢を確保するため、最新のステルス戦闘機F35にはない長い航続距離と、ミサイル搭載量に優れた双発エンジンを持つマルチロール(多用途)の大型ステルス戦闘機を必要としていた。
「アメリカのF35やヨーロッパのユーロファイターを超える戦闘機を造る。特にセンサーやネットワークの能力で秀でた戦闘機を造る」(防衛省防衛装備庁担当者)というコメントにあるとおりだ。
三カ国でまとまったもう一つの理由は、見込まれる開発費用の膨大さである。戦闘機の開発費はもはや一カ国では負担しきれなくなっている現実だ。1990年代に開発された欧州4カ国のユーロファイター・タイフーンやアメリカのF22の開発費は2兆円を超えた。F35の開発には米英など8カ国が参加したが、開発費は6兆円を優に超えた。現在は日英伊三カ国の共同開発だが今後スエーデンなどヨーロッパの何カ国が加わる可能性が大である。これで費用と技術リスクの低減を図ることができるというメリットがある。欧州では、「テンペスト」とは別に、フランスとドイツ、スペインの3カ国が新戦闘機の共同開発を進めている。英国は日本にある巨大な資本に目をつけたと言っても良い。
日本にとっても英国と組むことのメリットがあった。F2開発時に苦労したのがエンジンとレーダーである。英国はこの2点について共同研究や基本設計での協力を約束している。ロールスロイスのエンジンで飛べるわけだ。
なぜイタリアか疑問を持つ人もいるかもしれない。実はイタリアの軍事企業レオナルド社は電子工学の部門では世界のトップクラスの技術力があるところなのである。他にもエンジンメーカーのアビオ・エアロ、ミサイルメーカーMBDAのイタリア法人MBDAイタリア、電子機器メーカーのエレクトロニカなど高度の技術力を持っている国である。また2年前には英国とイタリアは、現在両国が運用しているユーロファイター・タイフーンを後継する戦闘機(航空戦闘システム)について、対等な立場で研究や開発を機協力していくための覚書に調印しているほど協調関係にある。
もう一つのメリットもある。上述したように戦闘機の開発には先端技術を注ぎ込んで数兆円単位の費用が必要になる。将来、日英伊三カ国は完成した先進戦闘機を他国に売ることができる権利を持つ。巨額の経費を売却益で賄うことができるのだ。英国とイタリアは欧州市場、日本はASEAN(東南アジア諸国連合)などアジア市場への輸出がそれぞれ予想される。
しかるに日本の現行法では「戦闘機などの攻撃型装備は共同開発国以外には輸出できない」ことになっている。日本が担う部品や技術を英国やイタリアなど第三国に輸出しようとする際の障害になりかねない。こうした平和ボケ日本のピントが外れた法律をまず改定する必要がある。これを機に与野党議員の意識改革が進めばいいのだが、ロシアのウクライナ侵攻という暴挙を前に旧統一教会問題にかかりっきりの議員諸センセイにそれができるかどうか。
軍事技術は裾野が広い。日英伊三カ国だけで1000社以上の企業の参加が見込まれる。日本で例を上げれば東レの炭素繊維技術がある。鉄のように固く、それでいて軽い。次期戦闘機の軽量化では他国にない技術である。なのに、日本だけいまだに科学者の軍事研究を問題視し、兵器は他国に売ることが出来ない。売れないから利益が出ないので企業は撤退するという悪循環である。
これをいいことに韓国は「死の商人」に躍起になって武器を売りまくっている。ポーランドがウクライナに武器を提供し、ポーランドの武器不足を解消するため、韓国がポーランドに多連装ロケット砲、戦車、自走砲などの武器・弾薬を輸出してすでに現地に到着したところだ。米国の曲射砲ストックがウクライナ支援のため手薄になるや、韓国が早速、アメリカまで売り込みに行くというえげつなさだ。
こと安全保障に関して日本の政治は無力であるばかりでなく、逆噴射している。これを機に日本人は意識改革が必要である。