防衛増税1兆円など中国から簡単にひねり出せる

ロシアのウクライナ侵攻はじめ中国の台湾有事の恐れなど相次ぎ、岸田首相は「防衛費と関連する経費を合わせてGDPの2%をメドに予算措置を講じるよう」指示した。当然と言えば当然である。しかし2027年度に1兆円の不足が見込まれる財源を確保するため、増税のほか国債の発行まで云々され、猛反発を受けるや、法人、所得、たばこの3税を「2024年以降の適切な時期に増税する」と先送りをして逃げる構えだ。

ブログ子はおかしいと考える。増税とか国債発行は本来、非常時つまり戦争という莫大な戦費を賄う場面でとられるものである。しかしいまは平時である。通常の財源をやりくりして充当しなければならないのが筋だろう。

防衛費倍増に便乗して財源を増やしたい財務省と、巨額予算を狙って水面下で激しい獲得競争を繰り広げている各省の族議員の思惑が渦巻いての愚行である。中国やロシアの脅威という現実を前に、「防衛費の増額は必要、あるいは増額もやむなし」という国民の声は大きく、従来の常識では考えられないほど増額の議論はスムーズに進んでいることに便乗しているだけで、本来の安全保障議論とは別な邪念からである。

日本は日露戦争など戦争を前にした時の協議の席に財務省(当時は大蔵省)を入れなかった。国の存亡がかかるときに「算盤屋」の理屈は有害以外の何物でもないからだ。

自民党・猪口邦子参院議員が正論を吐いていた。「(防衛費増の財源が)国債では、ウクライナに対して世界が示したような、あの共感を(日本が)取り付けることができないと思う。今、平時ですよ。戦時国債というのはあるけど、平時から国防を税金で賄えなくて、どうしますか」。まったく同感である。

「安保三文書」(国の安全保障に関する「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」)が閣議決定された。はっきり中国を脅威の対象とした画期的なものだ。中国の激しい反発ぶりを見てもその意義がわかる。

中国の名が出たところで、ブログ子は「防衛費1兆円の不足など中国から遺棄化学兵器処理事業を引き上げるだけでお釣りが出る」と断言する。

中国外交部の毛寧報道官は10月8日「中国で化学兵器を遺棄したことは日本軍国主義が中国侵略戦争中に犯した重大な犯罪の一つであり、長期にわたり中国の関係地域の住民の生命財産と生態環境の安全に対して深刻な脅威となった。『化学兵器禁止条約(CWC)』と中日両国政府の覚書の規定に基づいて、廃棄プロセスを全力で加速させ、旧日本軍が中国に遺棄した化学兵器という歴史遺留問題をいち早く徹底的に処理するよう日本側に促す」と偉そうに指摘した。

多くの人はなんのことかわからないと思う。遺棄化学兵器というのは、第二次大戦中に旧日本軍が対ソ戦に備えて、満州に用意した糜爛(びらん)剤(マスタード)など六種の化学剤を装填した未処理分の兵器である。ほとんどは満州・吉林省ハルバ嶺に埋まっていると見られるがその砲弾数は日本側の推定70万発(その後日本政府は30万~40万に修正)に対し、中国側は200万発が残存していると主張している。

1945(昭和20)年8月15日、わが国はポツダム宣言を受諾して降伏した。ドイツのように無条件降伏したわけでなく大本営が各地の派遣軍に命令し、ポツダム宣言の条項を遵守して整然と降伏、旧日本軍の武器・弾薬は、飛行機や戦車から銃や弾丸にいたるまでのすべてを引き渡した。したがって管理義務はソ連と中国にあった。

 中国が化学兵器禁止条約(CWC)を批准したときのこと、中国側がわざわざ付け足した「他の締約国の領域に遺棄した化学兵器は廃棄する」(第一条三項)との項目で、処理費用は遺棄国が負担することとされた。

このとききちんと突っぱねとけばよかった。しかし、日本の首相は村山富市社会党党首、外務大臣は河野洋平衆議院議長という「魔のコンビ」。1995年5月の日中首脳会談の席上、中国の李鵬首相に「遺棄化学兵器の問題には、誠実に対応したい」との旨を話し、河野外相も11月の日中外相会談で、「中国大陸に遺棄されている化学兵器について、日本側が責任をもって処理する」と銭外相に伝えて、この化学兵器の処理を易々と引き受けてしまった。

それがすべての発端で、日本が2007年までに兵器を全面廃棄する義務を負い「日本側が必要な資金や技術などを提供し、中国側が協力を行う」ことや、化学兵器による将来の事故についても日本側が補填することなどが決まったのだ。これに野中広務 福田康夫らの親中派も加わって新たな対中ODAとして遺棄化学兵器処理機構を作って1兆円以上の規模のプロジェクトをたちあげて中国にプレゼントしたものである。

中国はさらに図に乗ってカネがかかる事業を次々と押し付けてきた。化学兵器の処理には大電力を必要とするのだが、中国は当初の予定になかった5万kwの大規模変電所やヘリポートの建設まで要求してきた。遺棄化学兵器は日本側推計で30万発、その処理に必要な変電所はせいぜい数千キロワット規模なのにこの過大な要求は何か。

日本が1000億円かけて建設した化学兵器処理施設

何を意味するかというと、軍事施設への転用である。処理施設建設予定地の吉林省ハルバ嶺は、ロシアや北朝鮮国境に近い地政学上の要衝の地である。事業終了後に中国側は施設解体に応じず、人民解放軍の弾薬保管やミサイル格納などに転用する腹づもりだと言われている。処理施設建設予定地の周辺道路や施設内の道路は、すでに数十トン級の戦車や装甲車が通行できるほど頑丈に舗装されていることが判明している。

日本政府はこれまで数万発を処理しているが、中国政府は新たな遺棄化学兵器が見つかったと次々吹きかけて来る。どうやら自国の古くなったものまで日本に処理させようとしている疑いがある。

中国に加担する日本の左巻き弁護士も多い。在日中国人2人が、昔、中国吉林省敦化市蓮華泡地区の小川で毒ガス兵器を発見、その時漏れた液体に触って中毒症状が出た。これは日本の犯罪だと日本政府に6600万円の賠償を求めて東京地裁に提訴した(させたと言って良い)=2004年、棄却=。似たような訴訟はこれまで3件もある。

現在の中国の発展は「後進国」を装った中国に、日本が惜しみなく与えたODAのおかげである。北京国際空港、地下鉄、港湾施設、高速道路‥。だがその完成の記念式典で資金源の日本への感謝の言及はゼロだった。これを断ち切ったのは故・安倍晋三元首相だが、2022年3月末までの42年間に我が国が中国に与えたODAは外務省国際協力局と国際協力機構(JICA)によると、低金利で長期に資金を貸す「円借款」が約3兆3165億円、無償でお金を供与する「無償資金協力」は約1576億円、など総額は4兆円になんなんとする。

安倍元首相の英断で切られたあと、また日本をしゃぶりつくそうと言うのが、この遺棄化学兵器処理事業なのである。岸田首相は安倍首相を見習って、早急にこの馬鹿げた処理事業を打ち切ったらどうだ。財源不足1兆円など簡単に出てくる。

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