NHK名古屋が10日「長野市の降水確率として発表してきたものは、実は名古屋市でした」と謝った。1年間も表示ミスを続けたというので驚いていたら、今度はNHK高知放送局が13日、高知県内ニュース番組の天気コーナーで、県西部の「晴れ」「雨」などを示す天気記号を、誤って表示していたと明らかにした。4年間、東部と西部が同一の天気表示だったことになる。
天気予報がいかに誰も見ていないかという証左で笑い話のタネにされるであろうが、実は大違いなのである。天気予報は気象庁が20キロ四方をひとつの区画(メッシュというが)として予報を出している(大都市では5キロ四方も)。今回NHKの失態が起きたのは、他に民放やケイタイで情報を取ることができる大きな都市だったから誰からも頼りにされていなかった。
しかし都市から離れた辺鄙な場所ではそうではない。天気予報は大事なものなのだ。例えば我が山墅がある八ケ岳である。放送で流されるのは「長野中部」という予報で松本、茅野のもの、週間予報ときたらはるか遠くの長野市のものである。間に標高が高い赤岳、横岳がありその東側にある野辺山、川上村の方ではころっと天候が違う。にも関わらず夏の一時期夕方の地方ニュースの時間に「夏沢峠」という10キロほど先の山の天気情報がチラっと流されるだけである。登山者や行楽、高原野菜農家のためにも「野辺山」に特化した気象情報が必要だと訴えてきたが、最寄りの村役場も、NHK長野放送局でも相手にされることはなかった。行政はそこまで思い浮かぶ知恵がなかったのだろう、NHKは面倒くさかったか「中部」には違いないのだから現状でいいと思ったのだろう。
しかたがないので民間の気象情報会社に頼んで「野辺山」というメッシュの予報を自前で流し始めた。右上の天気予報図がそうで1日3回最新の予報が更新されている。そこそこの役に立っているとは思ったがものすごいアクセスがあったことを昨年末知った。気象会社のサーバーの変更で更新が止まった。ブログ子は気づかなかったのだが、しばらくすると再開の要望が舞い込み始めたのである。
今度はポケットマネーをはたいてそこそこの金額で会社と契約をした。きちんと流れ始めたのを機会にアクセスログといって利用状況がわかる仕組みがあるので調べたら、このサイトを覗いた人の数がわかるページビューという数字が一日3万から5万という間を上下している中でその3分の一以上、1万から2万の人がこの小さい天気予報を利用していたのである。
登山者仲間の連絡でこのサイトのアドレスがやりとりされ「前日までにここの予報を見て判断して決行する」といった書き込みがあったり、ツーリングの行き先判断に使われていることがわかった。
余談だが天気予報は最大の軍事情報である。戦時では極秘扱いだ。日本はスーパーコンピューターを駆使して気象衛星の情報や最先端のレーダーで解析していてその能力は世界でも有数のものだ。台風の進路予想が次第に精度を上げていることはみなさんも気づいていることだろう。そしてこの観測情報を惜しげもなく韓国、あの中国にも流している。北朝鮮は独自に日本の放送を聞いているのだろう。これらの国々からは一言の礼も返って来ないが。
天気予報はテレビのコーナーでは刺し身のつまの扱いだが、重宝されているように、こうした地方の片隅の天気情報もまた求められているのである。4年も間違っていていいものではない。