ブログ子は少しゴルフをやる。仕事上の付き合いもあって年間58回プレーしたこともあり、八ケ岳の山墅と同じ標高にある近所のゴルフ場で毎夏親戚・友人とコンペを開くのが通例だったが、ここ2年ほど遠ざかっている。我流で少しも上達せず「110番」が多いのに嫌気がさした。
しかしマスターズだけは毎年見ている。長女の連れ合いがTBSでこのマスターズ担当だった時期があり、ケイタイのトラップももらったマスターズ記念のものということもあるが、一番の理由は加齢とともに早起きになり放送時間が合うという点だ。
石川遼は史上最年少で賞金王になってマスターズに招待されたときは、タイガーウッズ並みのスーパースターを予感させた。事実、見事なショットを見せて唸ったこともあるが、その後はどうしたことか競り合いに脱落するは国内外ツアーを問わず予選落ちが多く、ただのプロゴルファーになった。マスターズも特典で初出場から3回くらいは招待されていたがそれも切れた。
あれだけの期待の星がここまで堕ちたのはなぜか。どこのメディアも書かないし放送もしないのは電通が仕切っているので、広告出稿が止められるのが怖くてだろう。近く新聞社の先輩の偲ぶ会があり、そこに知り合いの電通の幹部が数人来るようなので聞いてみようと思っている。
その前にネットを覗いてみたら、昨年は27戦して、実に11回もの予選落ち。「かつての”ハニカミ王子”が”予選落ち王子”のわけ」といった類の分析が百花繚乱だった。その中できちんと名前を出しての批評を拾ってみると以下のようなものだ。
石川をサポートするのは、いわゆる「チーム遼」の面々。コーチの実父・勝美氏(56)を筆頭に、大手広告代理店のマネジャー、用具契約をするヨネックスのスタッフ、キャディー、トレーナーなどで構成される。中でも父親の横暴ぶりはひどいという。
「象徴的なのは、石川のプロ転向後、全試合でキャディーを務めていたK氏との不和です。アメリカでのツアー5戦の直前、勝美氏はK氏に『お前は何も役に立っていないからクビだ』と言い渡した。今季の低迷の原因は石川自身ではなくK氏にある、という言いぐさだ」。「月刊ゴルフレビュー」編集主幹でゴルフジャーナリストの宮崎紘一氏は、この「責任転嫁」は大きな勘違いである、と主張する。
「通常、ゴルファーが雇うプロキャディーは、契約するゴルファーからの給料の他、優勝したら賞金の2.3%の手当も手にします。その代わり、事前にゴルフ場のコース状況や距離、芝の具合のチェックなど、さまざまな仕事をする重要なパートナー。状況に応じて心理的なアドバイスも行います。ところがK氏はプロキャディーではなく、アマチュアなんですよ」
K氏は石川が契約するシャフトメーカー・G社の社員であり、会社の指示により石川のキャディーを務める、いわば「素人」。G社から「チーム遼」への出向のようなものである。もちろん、給料はG社が出している。
「アマチュアキャディーをアメリカに連れて行っても役に立つわけがない。現地の環境に精通しているわけでもなく、コースや芝、風のことも知りませんから。なのに勝美氏は石川がミスをしたら『お前はどこに目をつけてるんだ、このバカが!』とK氏をボロクソに言う。本来、ミスはプレーヤーの責任であり、勝美氏は息子をどなりつけないといけない。石川本人も『(石川が食べたものを)片づけておいて』と命じるなど召し使いのようになっています」(宮崎氏)
不協和音が鳴り響く「チーム遼」でもう一人、攻撃の的となったスタッフがトレーナーのN氏。業界では名の知れた人物だが、予選落ちのショックや体力的な問題もあり、N氏が『(石川を)1週間休ませてください』と勝美氏に頼んだのに父親はゴルフ場でのCM撮影を入れた。N氏がそれに苦情を言ったところ、勝美氏は『誰のおかげで飯を食えてるんだ。偉そうなことを言うな!』と罵声を浴びせた。
こうした「環境」に加え、決定的なのはコーチ問題。現在のコーチは、一介のアマチュアゴルファーである勝美氏だ。宮崎氏が言う。「一度、テレビ番組の企画でラウンドする勝美氏を見ましたが、この人が教えているのか、と愕然としました。普通の素人のスイングですから」
それでも勝美氏はティーチングプロをつけない。「俺の言うことさえ聞いてりゃいいんだ。俺がいちばん、遼のことをわかっている」と受け付けないそうだ。
子どもにゴルフを教えこんでプロゴルファーに仕上げる父親という先例に横峯さくらの父、横峯良郎・元参議院議員がいる。マイクロバスを改造した自作キャンピングカーで各大会を転戦、キャディーも務め娘2人をプロゴルファーに育て上げた。名前が売れると今度は民主党公認で参議院議員に当選したものの、暴力団組長との賭けゴルフ、女性に酒を強要し、裸にして落書きして写真を撮った、愛人とのケンカで包丁を持ち出し、首を絞めたなど次々とスキャンダルを起こしで民主党に離党届を出し、新党大地に移ったものの2013年政界を引退した。
石川遼もまた、親に育てられ、親に潰されるプロゴルファーになるのだろうか。