能登半島地震の被災地に押しかけて炊き出し用のカレーを食べて帰ってきたれいわ新選組の山本太郎が「物資が乏しい中、作ってくれたカレーは普段の何万倍もおいしいものだった」と語っているのに辟易していたら、すがすがしいニュースに接した。
1月13日、滑川市の複合施設でおこなわれた、炊き出し約1600食分の準備作業。50人ほどが参加するなか、滑川市の水野達夫市長は随行職員なしで1人で参加。2時間ほど、黙々とネギを切り続けたという。
ボランティア会場だった施設の関係者がSNSで《野菜カットを手伝えるだけ手伝って、休憩時間に参加者と対話》《政治家の現場視察の手本だと思った》と、ネギを切る様子を投稿したことで、SNSで市長の行動を称賛する声が相次いだ。1月17日、北陸の地元紙「北國新聞」が伝えた。
さらに、富山県の地元テレビ局「チューリップテレビ」が1月17日に市長のコメントを伝えていて、水野市長は戸惑いながら「褒めすぎですよね。本当に当たり前のことを当たり前にやっただけで……」と語ったという。
先の山本太郎は一部の国会議員から批判されたことについて「先を越されたことを悪魔化しようという世界が永田町。私は自分がやるべきことをやった。行きたいんだったらさっさと行けよ」と語気を強めた。強引な現地入りで視察したことで分かったことは「次の日にも、総理大臣自身が空から視察することが可能だった。これまで様々なひどい災害があったけども、その中でもトップクラスのものだという認識を総理大臣自身が持てるはずだった。そういう意識を持たなかったからこそ、永田町周辺で官僚からの報告を受けるということだけを続けたんだと思います」と酷評してみせた。
とんちんかんなのは彼ばかりではない。TBS報道局記者出身の立憲民主党の杉尾秀哉参院議員は「百聞は一見にしかず」として、被災地入りして「こうして各所が寸断されていることが分かります。遠回りのルートで予定場所に向かいますが、手前に『この先通行止め』の看板を設置するなど案内がほしい」と侵入禁止を知らせる赤いコーンが横並びになった写真を投稿した。これには「道路の交通障害情報は開示されている。事前に調査もしないで行く方が悪い」と手厳しい批判にさらされた。
立憲民主党の蓮舫参院議員も負けていない。政府がまず被災地の要望を待たずに物資を送る「プッシュ型支援」として令和5年度の予備費から47億3790万円の支出を決めたら「能登半島地震の予備費使用がわずか40億円とは。大阪万博の、わずか半年使用されるだけのリングに344億円が投じられるのを比較してもありえない。予備費使用がこの額なのか。積算根拠を確認しています」と政府の対応に疑問符をつけた。
首相は当初からこの金額はあくまでプッシュ型支援を強化するための当面の経費であると説明していた。「当座」であることぐらいブログ子でも知っている。現に翌週には激甚災害指定で「1兆円規模」の復興予算になることが公表されている。国会議員でありながらそんなことも知らないのかと泣けてくるお粗末さだ。
道路が寸断されているので自衛隊員は支援物資をリュックに詰めて徒歩で山越えをして被災者に届けている。彼らの足は水でふやけてボロボロだという。靴下を新しいものに変えるのは自費だという。押しかけてくる「第二の山本太郎」は、行くなら替えの靴下でも届けたらどうか。