新年恒例の宮中行事「歌会始の儀」が15日午前、皇居・宮殿「松の間」で行われた。今年のお題は「静」。天皇、皇后両陛下や皇族方のほか、天皇陛下から招かれた召人(めしうど)、選者、2万1680首の一般応募の中から選ばれた入選者10人の歌が古式にのっとった独特の節回しで披露された。
ブログ子が日本の新年をしみじみと感じるのは琴の演奏で「春の海」を聞くときと、この朗々と詠まれる歌会始である。前者は元旦の定番だったがこのごろNHKでも民放でもすっかり消えてしまった。馬鹿ばかしいお笑いバラエティーがテレビから消えるころに中継される「歌会始の儀」で日本のよさをかみしめる。
高校生や20代のみずみずしい感覚もいいが、せっかく旧かな遣いで詠んでいるのに「大事」「何でも」「エスカレータ」「実験室」など漢語、漢字、洋語が出てくるのがどうにもなじめない。かといって浅学菲才の身には言い換える和語も思い当たらないので仕方がない。
皇后さまは、伊勢神宮の式年遷宮で臨時祭主を務めた長女の黒田清子さんが、遷宮に臨むため伊勢に向かうのを前にあいさつに訪れた時の様子を「み遷(うつ)りの 近き宮居に 仕ふると 瞳(ひとみ)静かに 娘(こ)は言ひて発(た)つ」と詠まれた。さすがに和語だけで歌われていて味わい深かった。福島県、冨塚真紀子さん(32)の「嫁ぐ日の朝(あした)に母は賑やかに父は静かに食卓囲む」とともに、小津安二郎映画の1シーンが浮かんできた。
宮中の儀式ではあるが日本文化の「芯」のようなものが感じられて毎年気分がいい。しかし隣の国からは正月早々からいつもの騒がしい声が聞こえてきた。朴槿恵大統領は米CNNテレビのインタビューで「日本の現指導者は村山談話と河野談話の継承を明確にし、誠意を疑わせるような言動は控えた方がいい」と述べたという。また韓国の女性家族省は14日、日本統治時代の先の大戦中に慰安婦だった女性らに関連する資料を整理し、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産に登録する計画を進めているそうだ。いやはや。
隣のわずらわしいこの国は、漢字、演歌、茶道、さらには漫画「サザエさん」もすべて韓国が起源であると主張する。この突拍子もない発想は“ウリジナル”と呼ばれ、「起源はウリ(=我々)にある」とする主張はとどまるところを知らない。漢字から「ひらがな」や「カタカナ」を発明し和歌や俳句を作り出した日本人のゆかしい文化もウリジナルとやらの洗礼を浴びるのだろうか。
来年の御題は「本」である。「日の本」と詠んでもいいそうだから、ぜひ「日出ずる国」の麗しさを歌い上げてもらいたい。