共和党のドナルド・トランプ前大統領は民主党のカマラ・ハリス副大統領に圧勝した。トランプは開票過程で一貫してハリスに明確な差をつけ、激戦州も次々に制して早い段階で「当確」が出た。9日、最後まで勝敗が決まっていなかった西部アリゾナ州でも勝利を確実にし、全州の勝敗が確定した。
選挙人全538人のうちトランプ氏が312人を獲得し、民主党のハリス副大統領は226人にとどまった。アリゾナは激戦7州の一つに挙げられ、トランプ氏は7州全てで勝利した。(共同)そこで問題になるのが、「史上まれに見る大接戦」と”虚報”を流し続けた日米メディアの責任である。
ブログ子はテネシー州ナッシュビルに女性牧場主の知己がいる。義兄がここでタイヤメーカーの社長をしていたのでゴルフや馬に乗るためよく行っていたせいだが、彼女は「流れ込んでいる移民問題はもはや危険段階だ」と早くからトランプ優位を伝えていた。ただ、この地は「風と共に去りぬ」の舞台で、南軍の拠点だったことからわかるように、共和党の岩盤である。上流白人層の意見ととらえていた。
だから、「大接戦」になるという報道の方を信じていた。日米の主要メディアからトランプに対して「民主主義の敵」とか「ヒトラー」「ウソつき」という激しい言葉を浴びせ、カマラ・ハリス本人もトランプへ汚い言葉で個人攻撃しても、さもありなん、と受け止めた。
だがトランプに投票した七千数百万の米国民の意思は圧倒的だった。結果が示すのは、日米メディアは終始「ウソ」を流してきたということだ。ハリスがトランプに対して互角か、互角以上に健闘しているかのように報じてきた主流派メディアによる恣意的な印象操作だったのだ。この際、なぜそうなったのかはきちんと分析して、報道する責任があるだろうに、日米ともいまだになんの反省報道がない。
アメリカの主要メディアは日本と違って「中立」を装わない。ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト…みな、骨の髄まで民主党一辺倒である。例えば、投票直前の10月23日、ロサンゼルス・タイムズの編集委員が辞任を表明した。理由は「同紙のオーナーからハリスを支持するという編集側の決定が阻止されたことへの抗議だ」という具合。
アメリカメディアは「接戦」ではないことは事前調査で分かっていたはずである。だから、危機感を煽って民主党への票を掘り起こすべく、「接戦」報道をしたのではないかという疑念がぬぐえない。一方、日本のメディアだが、どこの新聞社の特派員も事前調査する金も力も持ち合わせないし、政界に食い込めていないから、これら主要紙の「丸写し」を常とする。NHKも、金はあるだろうが3,4年で異動するサラリーマンだから右へ倣えである。これを機に、「NYタイムズは…」とか「ワシントンポストによると…」というお決まりのニュースを見直すいい機会だ。
トランプ勝利の第一要因は上述したように、リベラル左翼と化した民主党がすすめた「移民に甘く、過激なLGBDや女権、環境問題への肩入れが過ぎる」ことへの嫌悪感だが、第二の要因は「SNS」(ソーシャル・ネットワーク)の使い方でトランプ陣営の方が上手を行ったことが挙げられる。
前回の大統領選挙では、SNSでのトランプ側の情報発信は厳しく制限された。トランプ自身がTwitterから排除されて、情報発信できなかった。今回は、イーロン・マスクがそのTwitterを買収して、Xに切り替えた。そればかりかトランプ陣営に巨額の献金をして選挙活動を支えた。これにより、トランプはXでの情報発信が自由になったばかりか、主流派メディアが隠している情報がXで簡単にわかるようになった。
例えば、最終盤でトランプがマクドナルドでバイトをしている映像が話題になったが、これはハリスが高校生の時にマクドナルドでバイトしていたというウソを拡散するための手段だった。ハリスは上流階級の出身で、バイトなどとは無縁の生活をしてきたのだが、庶民派ぶってウソをついていた。だが、反トランプの主流派メディアはこうしたハリスに関するマイナス面を報じなかった。Xでトランプのパフォーマンスが流れて、ハリスの裏側が知れ渡ったのだ。
イーロン・マスクは移民問題を持ち出し「トランプが勝たなければ、この選挙が民主的な最後の選挙になる。激戦州に不法移民を大量に入れて、彼らに選挙権を与えれば、激戦州を民主党の州に変えることができる。そういうことをさせないためには、どうしてもトランプに勝たせなければならない」と訴えて共感を生んだ。
トランプの勝利は移民問題への危機感だったといって間違いない。これは明日の日本の問題でもある。身近に川口のクルド人問題があるが、そもそも、中東の「国を持たない民族」がなぜ、いつの間にか日本に何千人と入ってきたのか。移民に甘い国と知って陸続とやってきたのを誰も問題視しなかったからではないか。トランプの勝利を聞くとき、日本も他山の石として、移民問題を真剣に考えるべきである。