オバマ米大統領を迎えての天皇、皇后両陛下主催の宮中晩さん会が24日、皇居・豊明殿で行われた。そのメインディッシュが羊のもも肉の蒸し焼きだったと聞いて我が意を得たりの感があった。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉行き詰まりの原因になっているため、豚肉や牛肉は出なかったということもあるだろうが、ともかく羊肉つまり我が家ではジンギスカン鍋の評価が高まったのである。
欧米では羊肉とりわけラム肉が高級食材で、一流料理店のメニューでは上にランクされるが、日本では、牛肉料理の下に位置付けられている。ブログ子はかねがねこれが気に入らなかった。こういうランク付けになった理由は、戦前めん羊は貴重な家畜で料理に出されたのは、毛がとれなくなる10~12歳まで飼った老廃羊の固い肉だったことがイメージダウンにつながった。学生時代、北海道で私が食べていた羊もこれに近く、固かった。しかし安いのと北海道の牛肉は乳牛のオスの肉なのでどうにもミルクっぽくて馴染めず、馬術の試合の後対戦相手との懇親会では牧草地で前夜自分でさばいた羊肉でジンギスカン鍋を囲むのを常としていた。
東京に居付いてからは毎年桜の季節に馬事公苑の八重桜の下でジンギスカンを囲むようになった。苑長がOBだったのともう一人、OB会長が今上陛下の皇太子時代に侍従、その後掌典長などを長くつとめられた方だったので、宮内庁大膳部から取り寄せたマトンがジンギスカンの素材で、学生時代とは大違いの驚くほどの美味さだった。
伺ったら栃木県の御料牧場で育てたもので、アブラを取るため飼料から調整されているということだった。今回オバマ大統領に出されたものもそうして育てられたものだ。
そこまでいかなくとも、現在では羊肉がすばらしくおいしくなった。羊肉はラム(lamb、子羊)とマトン(mutton、生後1年以上の大人の羊、めん羊種が主)に大別されるが、肉用のサフォーク種のラムやマトンがオーストラリアやニュージーランドから大量に輸入されていてジンギスカンは一般でもすばらしく美味しくなっている。しかも牛肉より安い。
ジンギスカン専用の鉄鍋と七輪を買い込み、毎年孫達に振る舞うことにしているが、ここでもう一段美味しくする秘訣を伝授しよう。札幌にいる同級生のジンギスカンの達人から教えられたのだが、タレが大事でいろいろ試みた結果「ソラチのたれ」が一番ということだった。毎年取り寄せているが、宮中晩餐会で出たところでさっそく注文しようと思っている。