有希ちゃんは17年12月1日、下校途中に自宅から約1キロ離れた三差路付近で何者かに連れ去られ、翌2日に現場から約65キロ離れた茨城県常陸大宮市内の山林で遺体で見つかった。遺体の状況、鋭利な刃物によるとみられる刺し傷が十数カ所あったことなどから県警は事件直後から「性犯罪前歴者、女児愛好者、猟奇・アダルトビデオやナイフのマニア」「連れ去り現場から半径5キロの範囲に住む20~40代の男」と、プロファイリング(犯人像推定)をしていた。
直後には勝又の義父から、そのような性癖があり事件現場に精通していることから、怪しいと通報があったのに裏付けを取ることができなかった。今回自供から改めて現場付近の防犯カメラを調べた所、当時目撃情報から手配していた白いセダンが写っていたことも判明して、もう少し捜査を徹底していたらもっと早く追い詰めることができたのではないかと思われる。
今回誰もが思い出したのは東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件だろう。1988年から1989年にかけて東京都北西部および埼玉県南西部で発生した、幼女を対象とした一連の事件で宮崎勤が逮捕された。部屋中幼女性愛の本などで埋まっていた。公判では「犯行は覚めない夢の中でやった」「ネズミ人間が現れた」「俺の車とビデオを返せ」などと不可解な発言をつづけ2008年6月17日死刑執行された。
数ある犯罪の中でも幼女性愛というおぞましいケースだけは許すことができない。いたいけな子供を巻き込み多くの場合残忍さを伴う。しかもこの性癖の持ち主には更生するということがない。これまでは病気として扱われてきたが許しがたい犯罪ということでやっと法改正の運びになった。
おりしも犯人逮捕の翌4日、子どものわいせつな写真や画像、動画などの所持を禁止する児童買春・児童ポルノ禁止法改正案がを、委員長提案の形で本会議に提出することが自民、民主、公明各党などの全会一致で可決された。個人が趣味で児童ポルノの写真や映像を持つ「単純所持」を禁止することが柱で今国会会期末までに成立する見通しだ。
これとて十分なものではない。出版の自由を叫ぶ漫画雑誌出版社の声に押されて、漫画やアニメを明確に規制の対象外とする修正でやっと合意にこぎつけたものだ。売らんがための猥褻な出版物に「出版の自由」を叫ぶ連中は、戦前戦後を通じての弾圧にあい、それこそ出版の自由を守るために血を流した先人たちに恥ずかしくないのだろうか。
この手の犯罪者に共通しているのは部屋中にそうした関係の出版物がうず高く積まれていることだ。ナイフ収集などとも重なる趣味もある。立ち入ることができれば犯罪予防の足がかりになるのだが、こういう手合に限って法律の保護下にある。
薄汚い性癖を持つ者、それに漫画を売りつけて商売にしている者。これらには人権も出版の自由も認めるべきではない。