近頃の取材記者は稚拙すぎる

images3UP8V922「男にかばんを奪われた」と虚偽の110番通報をしたNHKの警視庁担当の20代女性記者が、警視庁戸塚署から近く軽犯罪法違反容疑で書類送検される。この記者はその理由に「会社の携帯電話をなくしてしまったことを隠したかったという。

同署によると、記者は9日午後10時45分ごろ、東京都新宿区上落合の路上で、「20分ほど前に、自転車に乗った男に肩に掛けていたかばんを奪われた」と110番通報をした。同署が現場周辺の防犯カメラを調べたところ、記者が当時、かばんを持っていなかったほか、自転車に乗った不審な男の姿も映っていなかった。

この女性記者は報道局社会部所属で、今年8月下旬から警視庁を担当していた。今年の夏まで東海地方のNHK放送局にいて、現在は警視庁の下町方面を担当。警視庁担当記者の間では『ちょっと変わった人だね』と噂されていた。事件現場などで関係者を囲み取材している時、別の記者が質問しているのに割り込んで質問したり、店に対してしつこい取材をしてクレームを受けていたという。

それにしてもである、携帯をなくしたから言い訳に110番するという発想が馬鹿げているとは誰しもが思うところだろう。失くしたのなら上司に報告すれば済む話で、常識で考えても異常であるが、この女性記者はそういう稚拙な判断をした。

先般少し触れたが、東京電力福島第1原発の吉田昌郎所長(当時)が政府事故調査・検証委員会の聞き取りに答えた「吉田調書」報道で、朝日新聞は誤報として訂正謝罪したが、驚いたことにこの記事は、記者2人しか調書を読んでいなくて、なのにこの2人は上司のチェックも拒んで「所長命令に反して全員が退去」という、事実に反する「ストーリー(物語)」を書き立てた。もはや恣意的な虚偽報道である。

NHKの場合「報道記者」というが取材は新聞記者と同じである。以上の二つのケースを見ていて、取材記者の能力とか識見が劣化していると思わざるを得ない。

NHKの記者は以前は新聞記者からは余計者扱いされていた。NHKは人材不足でスタートしたせいで、為に新聞社から引き抜いたり、現地採用者を当てたりして急ごしらえの時代があって、活字主体の記者クラブでさまざまなトラブルを起こしたためだが、その後「キャリア」採用が増えて今では難関になっている。この難関というのが問題で、多くの中央紙でもそうなのだが偏差値時代の競争に生き残った頭でっかちな学生が入ってくる。試験をすれば成績は優秀な女性が上位を占めるから、安倍首相の女性重用論を待つまでもなく、自然、女性の採用が増える。

ブログ子も採用や新人の記者教育に携わったが、男女とも要領はいいが常識がないのである。ひところ「指示待ち世代」と言われたが、マニュアルにないようなことが不得手なのだ。言われたことはソツなくこなすが応用が効かない。ところが取材の現場はマニュアルにないことばかりである。

NHKの女性記者にせよ朝日の2記者にせよ、持ち場で最低限に要求される取材能力はあるのだろう。しかし本当に必要なのは時代の流れの中でその事象が意味するところとか、背景に潜む問題点をえぐることなのである。それはマニュアルには書いてなくて、本人の人間性とか教養とか社会を見る目に依存するのだがそれは誰も教えてはくれない。

少し前までは「鬼」と言われる記者がいた。社会部で言えばデカの家に入り込み家族に溶け込んで徹夜で酒を飲んで嫌がられない豪の者がいた。政治部で言えば、現在大手中央紙のボスに収まっているが、首相の側近として組閣の時に閣僚名簿を首相に代わって書き上げた記者もいる。文化部では文豪の葬式で正妻の前で愛人に焼香させるよう図らったり、大物女優に変わって次作をプロデュースしていた記者もいた。いずれも偏差値世代には真似ができないことであろう。

今のように頭でっかちの記者が増えればNHK、新聞社を問わずいずれ崩壊するのではないかと危惧する。

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