26日の朝刊の見出しに河野洋平元衆院議長が「大きな間違いを私は犯しました」と懺悔、とあったので一瞬やっと反省したかと思ったが違った。
東京・永田町の憲政記念館で開かれた土井たか子元衆院議長のお別れの会での発言で、誤りを認めたのは衆院選に小選挙区制を導入したことについてで「大きな間違いを私は犯しました。今日の日本の政治は、劣化が指摘されるが、そうした一つの原因が小選挙区制にあるのかもしれない」と述べたのだという。
衆院の中選挙区制廃止と現行の小選挙区比例代表並立制の導入は平成6年1月、当時、野党だった自民党の河野総裁と、細川護煕首相とのトップ会談で決まった。このとき土井氏が、小選挙区制導入に慎重な考えを示していたことを明かにして上記の発言となったのだが、確かに小選挙区の導入は間違いだったという面は多々ある。おタカさんが率いた社会党は中選挙区制のおかげで55年体制に甘んじていられたのが、小選挙区制のお陰でやせ細り今や消滅の瀬戸際である。議員が小粒になりリーダーらしき人物は与野党問わず見当たらない。
だが河野洋平氏が犯した「大きな間違い」は他にある。土下座しても取り返しがつかないくらい国益を損じ、今なお韓国が大統領以下こぞって居丈高に謝罪と反省を要求し続ける「従軍慰安婦」の虚構である。
慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野洋平官房長官談話」について、政府は原案の段階から韓国側に提示し、両政府は談話の内容や字句、表現に至るまで発表の直前まで綿密にすり合わせ、指摘に沿って修正するなど事実上、日韓の合作だったことは先に明らかにされている。談話の欺瞞性はすっかり露呈している。
「軍当局の意向」は「軍当局の要請」に書き換えられた。原案で慰安婦に対し「心からおわび申し上げる」とある箇所は、韓国側に「反省の気持ち」を付け加えるよう指摘され、その通り盛り込まれたのである。
こうした外交的卑屈を重ねた挙句、河野洋平官房長官は取り返しがつかない過ちを犯した。記者会見で記者から、強制連行の事実があったかと問われ、「そう考えてもらって結構です」と馬鹿げた受け答えをしたのである。外務省や官房副長官・石原信雄が苦労して作り上げた「河野談話」の基調である「強制連行は確認できない」とする一線を、河野洋平一人でぶち壊したのだ。この発言が以後21年にわたって韓国の反日プロパガンダの核になった。
朝日新聞が今年8月詐話師、吉田清治が関わった強制連行を認めた記事16本をずべて誤報と認め謝罪して取り消したが、未だに従軍慰安婦と強制連行はひとり歩きしている。張本人の河野洋平氏はこのことに触れないと約束したメディアとのみ会い、指弾している産経新聞の取材は今もって拒否したままだ。
小選挙区制導入で「大きな間違いを私は犯しました」と謝るのなら、一連の河野談話にこそ謝罪と反省の言葉を述べるべきなのである。