24日夜、湯川遥菜さんの処刑写真を持つ後藤健二氏のメッセージが流された。同時に「金はもう要らない。ヨルダンのサジダ・リシャウィ死刑囚が釈放されれば、後藤氏も解放する」とイスラム国からと見られる音声メッセージも流れた。多くのメディアでは写真にモザイクが掛けられているが、切断された湯川さんの首から下には以前から着せられていたオレンジの衣類が掛けられていて判然としないが、間違いなく殺害されたものと見られる。メッセージは英語で、強制的に言わされているようだが以下の様な内容。
私はゴトウ・ケンジ・ジョゴだ。あなたがたは私の同房、ユカワ・ハルナがイスラム国の地において殺害された写真を見た。あなたがたは警告と期限を聞いた。われわれを捕捉した人々は、その警告に沿って行動した。アベがハルナを殺害した。あなたは警告を深刻に受け止めず、期限の72時間内に行動しなかった。愛する妻よ(夫人の実名をあげている)。愛している。2人の娘に会いたい。どうか、私にも同じことが起きないようにしてほしい。あきらめるな。あなたは私の家族、友人、同僚たちとともに政府に圧力を加え続けなくてはいけない。彼らの要求は易しく、またフェアになった。彼らはもはや金は要求していない。だから、テロリストに金を渡すことを心配する必要はない。彼らは、ただ獄中にある彼らの姉妹、サジダ・リシャウィの解放を求めているだけだ。それは簡単だ。あなたがたはサジダを釈放すれば私は解放される。日本政府は石を投げれば届く距離にいる。日本政府代表団は皮肉なことに、彼らの姉妹が獄中にあるヨルダンにいる。私は強調したい。私の命を助けることが如何に簡単なことか。これがこの世での最後の時間になるかもしれない。この言葉をあなたが聞く私の最後の言葉にしないでほしい。どうかアベに私を殺させないでほしい。
つまりイスラム国は湯川さんは期限通り殺害したが、ここで2億ドルの身代金要求は取り下げてきた。ヨルダンにいる自爆テロの実行犯の女と交換に作戦を変更したのだ。日本から見ればヨルダンの主権下にあることを曲げさせなければ後藤さんは釈放されないというハードルがさらに上がったことになる。ヨルダンは親日国ではあるがサジダ・リシャウという大量殺人犯を日本の為に釈放することなど考えられないことである。
もっとも水面下の交渉で、イスラム国に拘束されているヨルダンのパイロットと後藤さんをセットにして女死刑囚と交換するという手段はかすかだがないわけではない。日本としては藁にも縋りたいところだが、第三国の主権がからむことだけにこちらの都合だけで進められるわけではない。
映像は以下のURLにあるが、後藤さんが写真を掲げてメッセージを読み上げているあいだ、画像としては上に掲載した1枚の写真と同じである。
http://www.geenstijl.nl/mt/archieven/2015/01/japanners_onthoofd_door_isis.html
それにしても、こうした無残な人質テロを前に日本の国会議員たちときたら、馬っ鹿じゃなかろかという発言を繰り返している。
維新の党の江田憲司代表は、事件の一報直後に「野放図に自衛隊を出して米軍や他国軍と協力すると、日本人も日常的にテロと直面することになる」と「イスラム国」の広報担当者のような発言をした。みんなの党の渡辺喜美代表から金をもらいながら党を割り、維新の共同代表におさまった裏切り行為を多くの国民は忘れてはいない。おかげで
渡辺氏先の総選挙で落選してただの浪人生活である。
民主党の徳永エリ参院議員は「(首相が)なんと言おうが、集団的自衛権の行使容認、憲法改正、武器輸出三原則の変更。国際社会は日本は変わってしまったと受け止めている」とアホな発言である。岡田克也代表が「政府の足を引っ張るようなことはしない」と言うが、何を考えているのかというお粗末ぶりだ。
同じ民主党の大野元裕参院議員は24日のTBS番組で「人道支援はやるべきだが、やり方、言い方は、悪意で待っている人たちにいい口実を与えた」と語り、具体例として、首相が事件直後に「テロに屈しない」と表明した21日のイスラエルでの記者会見を取り上げ、「イスラエルの国旗がすぐ横にあった」と指摘。その上で「政府が不用意なことをやるときには、われわれはしっかりただしていく」と語った。ただ目立ちたいがための馬鹿らしい発言だ。
毎度お騒がせの山本太郎参院議員は「2億ドルの支援を中止し、人質を救出して下さい」と言ってのけた。政党助成金欲しさに 小沢一郎代表は4人に細って助成金がもらえなくなった生活の党の名前を「生活の党と山本太郎となかまたち」という屈辱的な名前に変えてまで招き入れた結果がこうである。、
官房副長官補まで務めた柳沢協二氏は「(首相)本人が辞めるというのが、大きな可能性としてやってみる価値がある」と発言するに至っては、何をか言わんやである。
共産党の池内沙織衆院議員いたっては、ツイッターに「こんなにも許せないと心の底から思った政権はない」と、安倍晋三首相を批判、さらに「首相が「テロ行為は言語道断であり、許し難い暴挙だ」と述べたことを念頭に「『ゴンゴドウダン』などと、テープレコーダーの様に繰り返し、「安倍政権の存続こそ、言語道断。本当に悲しく、やりきれない夜。眠れない」と続けた。
その後、投稿は池内氏のアカウント上では閲覧できなくなった。池内氏が削除したとみられるが、ツイッター上では削除理由を明らかにしていない。
イスラム国による「国難」といってよい事態だが、同時にろくでもない人物をあぶり出すことにもなっている。政府はこうした雑音にとらわれず、毅然と交渉にあたることだ。その結果が悪かっても仕方がない。人質2人は自分で自己責任を明言してあの国に入っているのだから。