浅田真央に感動

main_G20140220TTT0700791G10ソチ五輪のフィギュアでの浅田真央の演技には感動した。21日朝、もらい泣きした人が多かったのではないか。ショートでのリンクには魔物が棲んでいたとしかいいようがないが、打って変わってのフリーの演技には世界中の人が心を震わせ涙を流したことだろう。彼女は順位など超えてフィギュアの「レジェンド」(伝説)を作った。「浅田真央の五輪だった」といっても過言ではない。

フリーの演技は、浅田真央のスケート人生の集大成となった。冒頭のトリプルアクセルを成功させると、その後のすべての演技を完ぺきにこなした。142.71点は彼女のフリーでの自己ベストだ。SPで16位の浅田真央(中京大)はトリプルアクセル(3回転半)など、コンビネーションも含めた6種類8回のジャンプを全て成功させ、フリーで自己最高となる142.71点、合計198.22点で10人抜きで6位に入賞した。最初に挑んだトリプルアクセルは回転も足りて3回転半として認定され、出来栄えの加点もあった。信じられないスケーティングだった。

中国中央テレビ(CCTV)でも生中継されたが、解説者の陳氏は、「初めてジュニアでトリプルアクセルを成功させた選手であり、初めて1つの試合で3回のトリプルアクセルを決めた選手」という言葉で浅田を表現。「浅田はずっとこの高難度のジャンプをあきらめなかった。今日、彼女は戻ってきた。すごいことだ。こんなに難しいジャンプを、彼女はあきらめなかった」と述べ、演技直後、浅田が涙を流すと、陳氏ともう一人の解説者ともども感動の涙を流したという。

中国版ツイッター「微博」では「感動して涙が出た」「息が止まるほど素晴らしかった」と絶賛する書き込みが相次いだ。また浅田選手の最高の演技に「あきらめない五輪精神を示した」「どれほどの人が私のように泣いたことだろう」「表彰台に上れなくても、あなたの精神に敬服します」などの賛辞が送られた、という。

浅田真央は「これが自分がやろうと思っていた構成なのでよかった。今日の朝の練習もよくなかったので、自分のことに集中して、自分がやりたい演技をしようと思った。いろいろあったが、これまでもひとつひとつクリアしてきた。昨日の演技はとても残念で悔しくて、取り返しのつかないことをしてしまった。五輪という大きな舞台で、日本代表としてメダルは取って帰れなかったが、自分の目指すフリーの演技ができた」と振り返った。

特に心に響いたのは、「笑顔が見たい」というメッセージだった。演技後、浅田はうれし泣きしたが、「笑顔になろうと思って」すぐに泣きやんでスタンドに向かってほほ笑んだ。テレビに登場する町の人たちも「いっしょに感涙にむせんだ」「心が揺すられた」「最高の演技で締めくくられて本当によかった」というもので、日本人はスポーツを見る目が本当に成熟していると感じられるものばかりだった。

隣の韓国では「キム・ヨナ銀」に不満たらたらだそうだ。生中継した韓国MBCは、演技終了後も録画映像を繰り返し放映。実況担当の男性アナウンサーは「完璧な演技だったが、キム・ヨナの得点評価がロシア選手よりもこれほど低いのは理解ができない」と繰り返し、演技解説の女性も、審判への不満を繰り返し表明した。

自分たちで不満を述べるだけでなく、外国メディアの片言隻句を借りて文句をいうのもいつもの手口で、米紙USAトゥデイが「ホームアドバンテージでスケーターが利益を得るのは初めてではない」と指摘したと伝えたうえで、仏AFP通信や英BBC放送の報道を引用して「判定に強い疑問を提起している」と指摘。判定への不信感が韓国だけのものではないことを強調するのにやっきになっている。スポーツを見る目がどちらの国が肥えているか、そんなことも考えさせられた。

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