TGV脱線転覆で浮かぶ、韓国KTX600キロ構想の無茶

スピード超過で打線転覆した仏TGV[/caption]パリ同時多発テロと時を同じくして発生したため、目立たなくなっているが、仏のTGVが脱線転覆して死者10人超を出した大事故はフランスが喧伝していたTGVの安全神話が一瞬にして吹き飛んだという点で、大問題である。とりわけ韓国ではこのニュースに真っ青になているのではないか。何しろこのTGVで日本のリニアの向こうを張って在来線で時速600キロを目指していたのだから。

TGVの事故は、フランス北東部ストラスブール近郊エクベルスハイムで14日起こった。試験走行中の仏高速鉄道TGVが脱線、 脱線した車両は、橋の下の幅約40メートルの運河に転落した。連結車両はバラバラになり、少なくとも10人が死亡、37人が負傷し、5人が行方不明になっている。一報では負傷者のうち12人が重体されていたが、その後死傷者が増えているのかもしれないが、パリ同時テロのニュースのため続報がない。
スピード超過で打線転覆した仏TGV
車両は来年春から営業運転に使用される次世代TGVの試験の一環で、高速鉄道路線を時速350キロ前後で走行していた。TGVの死亡事故は、約30年前の開業以来初めてで、日本の新幹線の50年間無事故に対抗して盛んに安全を宣伝していたが、一瞬にして吹き飛んだ。しかも、車両には試験走行のため技術者ら49人が乗っていて、当初それ以外の一般の乗客はいなかったといっていたが、なんと子どもを数人を乗せていたことや、カーブで350キロ以上のスピードを出していたと見られるなどでたらめな試験走行ぶりが明らかになってきている。

韓国の高速鉄道はKTXの開発段階から、仏TGVのシステムを採用していた。日本の新幹線も売り込んだが、例によって韓国政府の「反日政策」で新幹線システムは相手にされなかった。TGVはヨーロッパの起伏の少ない地形を前提としており、起伏が激しく湿度も高い韓国の風土には不向きだと指摘されていたのだが…。

中国も韓国も外国から導入した技術をすぐさま自国の技術として売り込む。韓国ではすぐさま世界の鉄道の速度競争に参画した。現在、鉄輪式鉄道では、今回事故を起こしたフランスのTGV(時速574キロ)、中国の和諧号(時速487キロ)、そして日本の新幹線(時速443キロ)なのだが、韓国では「HEMU-430X」、通称・ヘム(海霧)と呼ばれる車両が2013年春、試験走行で時速421キロの最高速度を達成、世界で4番目のスピード鉄道に名乗りをあげた。

そればかりか、韓国・国土交通省はこのヘムで、時速600キロ級の高速列車の開発を目指すと宣言した。新幹線の最高速度が443キロだから、それを上回るばかりか来月トンネル工事に着手する日本のリニア中央新幹線の最高設計速度・時速500キロを超えるという猛スピードである。しかもこれを在来線でやるというのだから、聞くだに恐ろしい計画だ。

それでなくとも韓国ではすでに新幹線事故が頻発している。2007年1月には高速鉄道車両として世界初の正面衝突事故を起こした。釜山駅構内で、ソウル行きのKTXと回送中のKTXが正面衝突し、乗客数十人が負傷した。2011年22月には光明駅近くで開業後、初の脱線事故があり、2013年8月には東大邱駅でムグンファ号と2台のKTXがからむ三重衝突事故が起きている。

他人事ながらこの国の新幹線にはとても乗る気にはならない。しっかりとフランスの事故原因を学んでほしいものだ。

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