パリ近郊のサンドニのアパートで18日早朝、警察特殊部隊が突入した際、テロ容疑者らとの銃撃戦で、奇襲作戦に参加した警察犬のディーゼルが犠牲となった。
フランス国家警察のツイッターによると、ディーゼルは7歳のメスで、爆発物探知犬として訓練を受けていた。同日早朝から現場に急行し、犯人の女に撃たれて命を落とした。銃撃戦で警察側は5人が負傷したが、ディーゼルが唯一犠牲になった。ディーゼルはベルギー産の牧羊犬マリノワ種。18日の早朝、テロ容疑者を急襲した際、アパートで爆発物を探す任務に当たった。しかし女の容疑者が自動小銃で発砲した末に自爆した際、死んだ。フランス国家警察は「ディーゼルは奇襲作戦実行中に、テロリストに殺害された。ディーゼルは作戦に不可欠だった」と功績をたたえ、インターネット上では殉職を惜しむ声が相次いでいる。
中にいたのはパリ同時多発テロの首謀者とされる過激派組織「イスラム国」(IS)メンバーのモロッコ系ベルギー人、アブデルハミド・アバウド(27)といとこでパリの居酒屋で女給をしていたアスナ・アイトブラセン(26)の二人。女はパリ生まれのモロッコ人とされるが、真っ先に飛び込んだ警察犬に自動小銃を浴びせたのち体に巻いていた爆薬で自爆した。
ディーゼルの殉職をきっかけに「#JeSuisChien」(私は犬だ)というハッシュタグが生まれ、「こういう動物への感謝の気持ちは永遠」など感謝と追悼の気持ちを書き込んだ人で異例の5万件もの書き込みが殺到、同じく自爆した犯人の女については、「煙草を吸いドラッグの売人をしていたあばずれ女」 など罵倒の書き込みがあふれている。
*ハッシュタグとは #記号と、半角英数字で構成される文字列のことを Twitter上ではハッシュタグと呼ぶ。発言内に「#○○」と入れて投稿すると、その記号つきの発言が検索画面などで一覧できるようになり、同じイベントの参加者や、同じ経験、同じ興味を持つ人のさまざまな意見が閲覧しやすくなる。
ディーゼルの殉職はさらに波紋を広げ、22日、ロシアはフランスとの連帯を示すため、ジャーマン・シェパードの子犬1匹をフランスに贈ると発表した。
ロシアのウラジーミル・コロコリツェフ内相が、子犬の贈呈についてフランスのベルナール・カズヌーブ内相に書簡を送ったと語った。子犬は生後2か月で、勇者として知られるロシアの民話の登場人物「ドブルイニャ・ニキーチッチ」にちなみ、「ドブルイニャと名付けられているという。