台湾と韓国へのこの温度差はどこから来るのか

台湾の地震で傾いたビル=6日(ロイター)

台湾の地震で傾いたビル=6日(ロイター)


6日午前3時(日本時間同4時)57分、台湾南部高雄市の地下約16・7キロを震源とするマグニチュード6・4の地震があった。この影響で、南部・台南市で17階建てビル1棟が倒壊し約100人が閉じ込められているもよう。

この一報が我が家のテレビニュースが伝えたとき家人の反応は「すぐ救助犬を連れてレスキュー隊が出発して!」というものだった。赤十字でもNHKでもいいから募金があればすぐ応じるとも。

東日本大震災のとき台湾の人たちは200億円というほかの近隣諸国とはけた違いの大金をいち早く届けてくれたことを、我が家をはじめ市井の人たちに至るまで今もって記憶にとどめているのである。

サイトの亭主は経営再建中のシャープに6千億円規模の拠出を提案していた台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘会長が来日して、優先交渉権を得たと語るのを聞いて、「台湾ならいいか」と素人ながら受け入れるにやぶさかでない心境だった。

サイン入りの文書を手にする鴻海精密工業の郭台銘会長

サイン入りの文書を手にする鴻海精密工業の郭台銘会長

シャープの落日は経営者の無能によるところが大きいが、皆が心配しているのは液晶分野でシャープが持つ先端技術の海外流出を懸念するからだ。

現在のアイフォーンのディスプレーは液晶パネルで、JDI(ジャパンディスプレイ)、韓国LG電子、シャープの3社が供給している。今後は有機EL(電気を流すと発光する有機物を画素に使用する。液晶と違ってバックライトが必要ないため薄型化が可能で、黒色の発色に優れる)に向かうとみられるのだが、有機ELの欠点は、画面が焼き付く恐れがあり、技術的な難しさから、不良品が出る確率が高いことが課題だった。この分野での技術を持っているシャープは中国、韓国からも狙われている。

技術流出を心配する政府の意向を受けて官民ファンド、産業革新機構が支援する話が進んでいたが、何せ拠出金が鴻海の半分程度でシャープが必要とする資金援助には足りなかった。先端技術を奪取するだけしたらあとは放り出す中国と韓国のこれまでのやり方は日本は骨身にしみて懲りている。

外国企業に先端技術を持っていかれる心配はホンハイ精密工業とて変わらないが、これまでシャープの別の部門で同社と協力関係を持ったことがあったが、技術流出は一件もなかったというのも安心させる。

まだ決まったわけではないが、仮にシャープが鴻海側の傘下に入れば、現在の液晶パネルでも、今後の有機ELでも日本勢の前に、資金力と技術力を併せ持つ強力なライバルとして立ちはだかることも考えられる。

それでもいいではないか、台湾なら。と思わせるところが中国や韓国と違うところである。日本人は、かくて、台湾南部の大地震を我がことのように心配するのである。

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