最終論告公判の記事を読みながら涙が止まらなかった。 昨年11月、埼玉県深谷市で、認知症の母親の藤田ヨキさん(81)と病気を患っていた父親の慶秀さん(74)とともに利根川に入り、2人を死亡させた殺人と自殺幇助の罪に問われている波方敦子被告(47)の裁判(21日)。
認知症の母親の介護にも懸命に取り組んでいたという波方被告。しかし、新聞配達の仕事をしながら家計を支えていた父・慶秀さんの病気が急激に悪化し、「一緒に死んでくれ。お母ちゃんだけ残してもかわいそうだから3人で死のう」と頼まれ、昨年11月21日、両親を軽乗用車に乗せて川に入った。
「右手に父、左手に母、足がつかなくなるまで歩いていきました」(波方敦子 被告)
「車の外に出てから母は『死んじゃうよ死んじゃうよ』と繰り返し、手足をバタバタさせていた。私は『ごめんね、ごめんね』としか言えなかった」「認知症の母でも死にたくなかったのに、無理やり私が殺してしまった」((同 被告)
決行した日は市役所から生活保護を受けることで民生委員が来ていたが、「父の収入がなくても何とかなる」と考えていたが、父の頼みを断らなかったのは「家族だから」。
一人生き残り、低体温症で保護された被告は、 公判の最後に親族への謝罪などとともに「お父さん、お母さん。こんな私ですがこれからもどうか見守っていてください」と述べ、これから生きていく心境を語ったという。
検察側は懲役8年を求刑。弁護側は「父親に心中を持ち掛けられ、母親を1人で残すわけにいかなかった」として、執行猶予付きの判決を求めていて判決は23日。
心ある裁判官なら間違いなく執行猶予をつけるだろう。