13日の日経新聞によると東京都の築地市場の豊洲移転問題で、小池百合子都知事が豊洲移転を決断したようだ。このブログでも「さっさと豊洲へ行け!」と書いてきたが、最初からわかりきった当たり前の結論でここまで政治利用してきた「小池ファースト」の責任は重い。
同紙によると、小池知事は豊洲移転を前提に調整するよう都庁幹部に指示したことが12日分かった。豊洲に移転しつつ、「築地ブランド」を生かすため、築地も売却はせずに何らかの形で活用する案の検討を求めている。23日の都議選告示前にも小池知事が表明する見通しだという。
ただ問題は残る。豊洲は衛生管理に優れる一方、管理費がかさみ、運営は赤字を想定されるので、穴埋めのためにも築地は売却せず、民間ノウハウを生かすなどして利用し、定期借地などで中長期的な収益確保策を練るという。築地でさらに金を食う恐れがある。
また専門家が豊洲の安全・安心は現在でも確保されているとしているのに、地下水をくみ上げ浄化する地下水管理システムの揚水機能を強化。工事費20億~25億円で、年間維持費は現状の約2億4千万円に5千万~6千万円の上乗せになる見込み。また、気化した有害物質が建物の地下空洞に侵入し、1階部分に入ることを防ぐため、地下空洞の底をコンクリートか特殊シートで覆い、換気設備を整備する。コンクリート案だと契約から工事まで約8カ月を要し、工事費と65年間の維持費で総額40億~50億円。特殊シート案だと2年近くかかり、同85億~95億円、としていることだ。
小池知事が不安をあおっただけの後始末に、さらに金をかけるというのは許されない。都民は馬鹿ではない。
知事特命の「市場問題プロジェクトチーム」、庁内検討組織「市場のあり方戦略本部など3つも立ち上げて、いったん豊洲に移転して築地を850億円で改築、などアホらしい計画をつぎつぎ打ち出させてきた。あきれ果てた世論は5月下旬の世論調査(日経)では豊洲市場に「移転させるべきだ」が50%、「移転させるべきでない」が37%だった。毎日新聞の調査で、「都議選 投票先、自民が最多17% 都民ファースト11%」。あきらかに風向きがかわりつつあった。
このままいけば「都民ファーストの会」になだれ込んだ、票欲しさの民進党都議候補者なども圧勝どころか危なくなりそうだった。選挙協力する公明党は豊洲移転を掲げ、小池知事に早期の決断を求めている。小池知事と対立する自民党も豊洲移転を主張、小池知事を「決断できない」と批判していた。日に日に批判が高まっていた。
豊洲ばかりでなく、オリンピックの地方都市分散開催、競技開催都市の分担金問題、ことごとく政治利用のにおいが目立つ小池知事への風当りも強くなって、機を見るに敏な人が、とうとう折れたということである。あとは余計な出費をさせない算段だけだ。