イタリアの老舗帽子メーカー「ボルサリーノ」が18日、破産手続きの申請を行った。
映画『カサブランカ』でハンフリー・ボガートが着用、あるいは映画「インディ・ジョーンズ」でハリソン・フォードが愛用しているハットなどを手掛けたところである。まだまだある。マイケル・ジャクソンは「ボルサリーノ」のハットを手放さなかったし、デヴィッド・ボウイは最後となった撮影で黒のフェドーラを着用した。
1970年の仏ギャング映画『ボルサリーノ』の題名は、人気俳優のアラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンドが着用した独特なフェドーラスタイルハットに由来する。などなどこの名店をめぐる話題には事欠かない。
おっと日本人を忘れていた。麻生太郎副総理兼財務相である。G20の財務相・中央銀行総裁会議などに出発するときの羽田でのいでたちがよく新聞に出るが、あの帽子を斜めにかぶった粋ないでたちが「ボルサリーノ」である。セレブの着こなしに無智なマスコミは「マフィアの親分のようないでたち」と評したが、あの帽子一つが最低でも3万円、親分のは多分10万円はくだらないという代物である。
ファーの襟付きの黒のロングコートに淡いブルーのマフラー、斜めにかぶった黒のボルサリーノ。粋なクラシックスタイルなのだが、あの人相では、たいていの人はイタリアのマフィアを連想してしまうのはまあ無理もない。ウォール・ストリート・ジャーナル紙も「粋なデビュー」としつつも、「ギャングスター・スタイル」と評した。
創業160年の歴史をもち、1920年には200万個ものハットを製造していた名門帽子店だったが、傾いたきっかけはオーナーのでたらめ経営。元オーナーであるマルコ・マレンコ氏は、2015年に詐欺と脱税によりスイスで逮捕されている。
傾いてからはイタリアの投資会社「ヒエレス エクイタが、3500万ドル(約39億4200万円)もの負債を抱え経営難で苦しんでいた「ボルサリーノ」を救うために経営権を握って再建をはかったが駄目だった。。