野党が喚問、喚問と騒ぎ立てての27日の佐川宣寿・前国税庁長官の証人喚問を見た。立憲民主党の辻元清美国対委員長が、この先に安倍晋三首相の昭恵夫人らの証人喚問実現を見据えていると豪語していたが、アホらしの一言だった。論客を並べた野党の質問者はいずれも「舌鋒鋭く」も「裏付けもない空疎な理屈」ばかり。ただただエリート官僚の模範的答弁の前に討ち死にをとげた。
立憲民主党の福山哲郎氏の質問は「非常に理解しがたい答弁がたくさんあります。もう本当に信じられません。あなたは先程勉強の成果で、安倍昭恵総理大臣夫人等の関与はなかったと言われました。ここは証人喚問の場です。あなたの勉強の成果を聞く場ではありません。ファクトに基づいたわけではないですよね。勉強の成果ということは、そこから一言お願いします」とわけのわからない論法で迫り、最後に「この証人喚問が逆に疑惑を深めている。あなたは火に油を注いだと、そのことを申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございます」。勝手に自分の感想を述べる場にしただけ。
自由党の森裕子氏にいたっては「あなたの答弁は上の指示がなかったと断定をしながら、肝心の動機、誰が、いつ、なぜということは答えない。結果として、この先もあなたの部下、後任の人たちが大変厳しい状況に置かれる。つまり下の人たちに責任を押しつけているという自覚はありますか」。なんのことはない、ことの理非を正す場で人情論である。
共産党の小池晃氏の質問は共産党いつもの舌鋒鋭く、恫喝、吊し上げ戦法。この日だけで佐川証人が25回繰り返した「刑事訴追のおそれがあるということでございますので、答弁は控えさせていただき…」に切れた。「これはね都合が悪いことは答えないっていうだけの話じゃないですか。こんなことやってたらこれは逆に偽証罪でね、あるいは本人の身分に関わらない証言拒否として告発しなきゃいけなくなりますよ。これを拒否するんだったらね、これね、進めるわけにはいきません」と座り込んだ。
これまた「まさに書き換えが行われた決裁文書に関わる問題でございますので、答弁を控えさせていただきたい」と逃げられた。「私はこの証人喚問で終わりにするわけには絶対いかないと思います。佐川さんだけじゃなくて、安倍昭恵さん含めてですね、野党が要求している証人喚問を全てやる、そのこと以外に解決の道はないということは申し上げて、終わります」と捨て台詞。
希望の党・無所属クラブの今井 雅人氏など、拘置所にいる籠池泰典元森友学園理事長に面会に出かけ、今日の喚問に「隠し玉がある」とテレビの前で豪語していたので注目していたが、最後まで何一つそれらしき爆弾もなし。ウソつき。
無所属の会の江田 憲司氏ときたら「私も官僚だったから分かるが、官僚答弁は逃げ道をつくる。断言、言い切り答弁は、あなたの判断? 資料に書いてある?」と迫ったが軽くかわされた。佐川証人が、理財局が全て主体になって行い、官邸や政府、与党の関与がないことを、何度も繰り返して主張していることに関して、「理財局限り…というのはウソでしょ」と疑問を呈されると、佐川氏は「国会担当部局から官房に上がるという手続き論はあるが、それは実務。官房に相談するというのはない」と答えた。元官僚もエリート官僚の前には手も足も出ななかった。
この人は13日付の自身のツイッターにこう書き込んだ。「昭恵さん、貴方も人間でしょ。貴方が(森友学園の)名誉校長になり校地予定地を視察し、講演で『何かお役に立てれば』と言い、感涙しなければ、人ひとり死ななくて済んだんですよ!良心の呵責というものがないんですか?」
立憲民主党の枝野幸男代表も21日、東京・新宿駅前での演説で「財務省の職員が1人、命を亡くし、空前の文書偽造問題にまで発展をしたこの問題のキーマンが安倍昭恵さんであることは、誰がどう見ても間違いない」
2人ともまるで昭恵夫人のせいで職員が自死したような言いぐさだが、そんな因果関係は警察の調べでも何ら証明されていない。悪意ある「忖度」をしているのは野党の方であろう。
だらだらと野党のだらしない質問を並べたが、この日、世間は国会など見ていなかった
。北京を電撃訪問した北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の動向にくぎ付けだった。野党も少しは国際情勢と安全保障というもっと重要なことに目を向けたらどうだ。