横田夫妻の「モンゴルの笑顔」に「もらい笑み」

北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父滋さん(81)、母早紀江さん(78)夫妻は、孫でめぐみさんの娘のキム・ウンギョン(ヘギョン)さん(26)とモンゴル・ウランバートルで10~14日に初めて面会した。外務省が16日発表した。3人の面会は、日本人拉致問題をめぐる懸案の一つとしてたびたび取り沙汰されてきた。実現したことで、中断状態が続く日朝政府間協議の再開につながる可能性もある。

自宅のある川崎での記者会見には報道陣約100人がつめかけた。モンゴルを訪れる決心をした経緯について、滋さんは、同じ拉致被害者の松木薫さんの母スナヨさんが亡くなったことに言及。「われわれもそういうことになるかもしれないので、できればその前に会いたいと」。早紀江さんも「前から、行きたいと言い続けていた。あそこの国(北朝鮮)に入るのは難しいと我慢してきたが何もわからないままではなく、何とかなればいいねと思って」と語った。

kor14031714100009-p1夫妻は10日にウランバートル入りし、その夜に短時間面会。11~13日は、日朝双方の通訳1人ずつのほかは横田さん夫妻と、ウンギョンさんと夫、その娘の生後10か月になる赤ん坊の計7人だけで過ごした。夫妻はひ孫のためにおもちゃのピアノと、子供用の薬を用意。「滞在中にもおなかが痛くなることがあり、さっそく役に立ちました」と話した。ウンギョンさんが持参した野菜をゆでて、スープのような料理を作ったといい、「とてもおいしかった」と早紀江さん。早紀江さんは2002年に孫の存在を知ってから願い続けた面会で「夢のようなことが実現した。希望していたことがかなえられた」と孫に会えた喜びを語った。

早紀江さんの「首を振って歩いているところが、小さいころにテレビの『ひょっこりひょうたん島』の音楽に合わせて歩いているめぐみちゃんにそっくりだった」という話に、ブログ子は、そうかそんな昔になるかと北朝鮮による想像を絶する期間の犯罪に思いを致したが、新聞に載った早紀江さんの笑顔はこの何十年間ではじめて見たものだけに、しみじみと共感にひたった。

16日に報道各社にあてた文書では、「ウンギョンさんとの対面は、本当に奇跡的なことで、大きい喜び」としながら、「日朝会談が何とか良く進められ、全被害者救出のためになることを切望しています」とコメントした。これまでも北朝鮮に行き孫娘に会うことを勧められても「北の思惑に乗るだけ」と被害者全員のためにガンとして拒否してきた二人だが、会いたい思いは誰よりも強かったことだろう。

日朝赤十字会談もひらかれて、確かに動き始めている。中国、韓国とギクシャクしているなかで、日本に活路を見出して接触を図っているようだ。ことここに至ったのも従来の制裁措置がじわじわと効いてきたからにほかならない。脱北者の話を聞いてももはやこの国は破綻している。もうひと押しで崩壊するに違いない。

なのに黒岩祐治神奈川県知事は先の県議会常任委員会で、県内の朝鮮学校5校に毎年約6千万円の補助金を出していたのをやめる代わりに、保護者の世帯収入に応じ、入学金や授業料の補助を行う方針を示した。「子供に罪はない」といった判断だというが北朝鮮を資金面で支える朝鮮総連を県費で養うようなものである。

隣の東京都では教科書の提出を求め、歴史教科書では「敬愛する金日成主席様」など、北の指導者を礼賛する記述が頻繁に出てくる。校長室や職員室には金日成、金正日父子の肖像画が飾られていた。学校施設の一部を、朝鮮総連が無償で使っている事例もあったーーなどを理由に打ち切っている。

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