東京都知事選が大詰めを迎えている。ここ2、3日でガラッと変わる”タマ選び”のさなか、明日にも変わる時点でこうした記事を書くのは新聞記者の世界では愚の骨頂とされるのだがあえて、書くことにする。
自民党は、来月投票が行われる東京都知事選挙で支援する候補者について、7日夜、東京都連の会長を務める石原伸晃環境大臣や幹事長を務める内田茂都議会議員ら7幹部が対応を協議した結果、舛添要一元厚生労働大臣が立候補する場合、都議会と信頼関係を築くことなどを条件に、舛添氏を軸に調整を進めていくことになった。6年後のオリンピック開催に情熱を傾け、都議会と信頼関係を築くことなどを条件に、舛添氏を軸に調整を進めて行きたいとしている。
これが本当なら、自民党は3年前、民主党に大敗した愚をまた繰り返すことになるのがわからないのだろうか。「舛添候補」がだめな理由は2つある。
①自由民主党に離党届を提出し、新党改革を結党したことで自民党は党紀委員会で舛添を除名している。一番重い除名処分にした人間を迎え入れる理由をどこに見つけるのか。②は過去現在、山ほど女性問題を抱えている「舛添候補」が蜂の巣のような十字砲火を浴びるのは必至である。誰もが知っている多くのスキャンダルを抱えていてはとても大量得票などおぼつかない。それをわかって「舛添氏を軸に調整を進めて行きたい」とは笑わせるではないか。
奔放な女性関係で知られ、2度の離婚歴がある。最初の妻は留学時代出会ったフランス人。2度目の妻は官僚時代の片山さつきだが、結婚生活3ケ月後には片山が弁護士に離婚相談、調停を経て89年に離婚した。1996年6月に現在の妻である元秘書の女性と3度目の結婚をし、2児をもうけている。他に日本人女性2人との間に婚外子が計3人いる。 かつての盟友栗本慎一郎は舛添の女性遍歴について「あいつは女の胸を揉んだ手で翌日に仕事で善人面して握手をしている」と痛烈に批判したほどだ。
昔政治部で出回っていたある筋の書類を見たことがあるが、「異常性欲者」とあったのに驚いた。まさかと思ったがその後の展開をみると本当のように思える。昨年末の週刊誌を見ていたら彼の女性関係と隠し子の件が大きな活字になっていた。政治の世界では「臍下三寸人格なし」と大言壮語がまかり通ってきたが、今は違う。女性スキャンダルを抱えたらまず当選は難しい。政界ではすでに誰もが知っているこうしたマイナス要因を考えて選んだとしたら愚の骨頂でしかない。石原伸晃都連会長の鼎の軽重が問われる話である。親父を口説いて担ぎ出す算段したほうが賢明ではないか。
「舛添候補」は早くもオリンピックを控え、首都東京の防災対策の重要性を指摘したり、母の介護体験から高齢社会への備えをぶちまくっているようだがこれとて「母親の介護をしていたのは亡くなるまでの3年間ほど週1回程度。日々の介護は三番目の姉が行なっていた(近所の老人談)。舛添氏が介護に携わるまで長年、長姉夫婦が一緒に暮らしていたが、母親の死も知らされなかった、など早くもバッシングが始まっているのを見てもわかるが、この手の話が今後わんさと出てくるのは必至である。
その他の候補者もぱっとしない。これまでに共産党と社民党が推薦する日弁連=日本弁護士連合会元会長の宇都宮健児氏と航空自衛隊の元航空幕僚長の田母神俊雄氏が立候補を表明している。日本維新の会は7日、都知事選の対応について「自主投票」とすることを決めたが、元知事の石原慎太郎共同代表は、田母神俊雄氏の支援に回り、今後維新内での「東西対立」の新たな火種になりかねない。
民主党も候補者不足が悩みの種で、一部には舛添支持の動きがあるともいう。何を考えているのか、初めから戦意喪失である。公明党とて自民党の擁立待ちで、とうに自民党にくっついていくしかない「下駄の雪」状態ときている。東国原英夫前宮崎県知事もしたたかに模様眺めをしでいて土壇場で出馬してきそうだが、世間は”宮崎限定商品”としか見ていない。
毎度おなじみの「ホーマツ」諸氏も8日出馬宣言したドクター中松を先頭にマック赤坂ほか勢ぞろいするのだろう。こうして顔ぶれを並べてみると、全員「ホーマツ」にしか見えないのだが、諸兄は如何。