どの面下げて日韓スワップ再開を言うか

案の定というか、誰もが見通していたとおり、韓国が日本に擦り寄り始めた。
何故か。このところのウオンの対ドルレートを見ればわかるが「危険ゾーン」の「1ドル=1200ウオン」を割り込むウオン安が続いているからである。

4月以降、韓国の経済専門家からは必要性を訴える声が相次いでいて、キム・デジョン世宗大経営学部教授は「新型コロナウイルス感染拡大による第2のIMF危機への対策として日韓通貨スワップを再開させなければならない」と主張、 丁世均首相が27日、「日本との通貨スワップは以前(失効するまで)長きにわたってあり、為替市場に多大な貢献をした。したがって(日本との)通貨スワップの締結は正しいといえる」と述べていた。

後述するが米国は韓国など9カ国を対象に通貨スワップを結んだ。韓国メディアは嬉々として報じているが「1260億ドル!。日本に頼る必要などない」というのだがそうだろうか。

上は最近、韓国が結んだスワップの一覧だが、一目瞭然、米国以外は「弱小国連合」にすぎない。しかもいずれも相手国通貨建ての契約だ。いざという時、ドル建て債務の返済には間に合わない可能性が大きい。

ドルの発券国である米国以外に、米ドルでスワップを結んでくれるほど外貨準備の豊富な国は日本しかないのである。ウォン売りが続く限り、韓国は何が何でも日本とスワップ協定を結ぶしか生きる道がないわけだ。

しかし、先の選挙で文在寅政権は反日を選挙公約にして議席の3分の2を獲得した。意気揚々というときに日本に弱みを見せられない。コロナに引っ掛けて日本に擦り寄るのである。例えばこうだ。

韓国政府が新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査キットを日本に支援することを検討していると朝日新聞が4月26日に報道した。韓国メディアでも韓国政府がマスクを日本に支援することを検討しているという報道があった。

韓国政府が日本にマスクや検査キットなど新型コロナ関連支援をするという報道は20日から出始めた。ウオン安が止まらなくなった時期と重なる。コロナを奇貨としてなんとか日本に振り向いてもらいたい韓国の切ない胸の内である。

しかし先の選挙で与党は3分の2の議席を獲得して意気上がる。弱みなど見せられないから「日本政府が要請しない限り先に検討はしない」という政府側のコメントが必ず付いている。苦渋の韓国はこうしたからめ手から攻めているのである。

のどから手が出るほどの日本とのスワップ再開だが、韓国政府と韓国銀行は、日本に公式な提案をしてはいない。少しは恥を知る国なら言い出せないのである。

菅義偉官房長官も27日の定例会見で、韓国政府内部の検討状況に対してコメントする立場にない。現時点で韓国政府との間で話は出ていない」
麻生財務相も「うわさには聞いているが、財務省として直接聞いたことはない」と、しれっとしたものである。

そればかりでなく、麻生太郎財務相は4月31日の参院財政金融委員会で日韓通貨スワップ協定消滅のいきさつをべらんめえ調の麻生節でぶちまけている。

 協定の残高が減少しつつも100億円残っていた2015年2月のころ、「向こう(韓国)の財務大臣に『大丈夫か』と言ったら、『そっちが借りてくれといえば、借りてやらないこともない』とぬかしたものですから、ふざけるなと思って、そのまま席を立って、『はい、さいなら』それが最後です」と答弁した。

今と同じように日韓関係が険悪化した昭和50年代に外務大臣を三度務めた園田直は侍(さむらい)だった 。昭和56年( 1981年 )8月の日韓外相会談の席上、韓国側は安全保障問題で、共産主義に対する盾になって日本を守っているのだから、日本に5年間で60億ドル( 当時の金で 2兆1千6百億円 )というべらぼうな政府借款 と技術移転を要求したことがあった。しかも、60億ドルについて「びた一文まからない」とまで言った。

それに対して園田外相は、「韓国では嫌いな相手からカネを借りたり、技術を教えてもらう社会習慣でもあるのか?」と 公式の席で発言している。

韓国はいつもこうなのである。上の表は日韓スワップ協定での韓国の「裏切りの歴史」である。歴代の首相はお人好し揃いで、どれも騙されても騙されても貢ぎ続けた。

ちなみにアジア通貨危機の時(1997年)、韓国は突然、破綻(デフォルト)に陥った。金泳三政権下だったが、日本はこのときも助けの手を差し伸べた。日韓スワップや借款などつぎつぎ与えて助けたが、感謝の言葉もなくほぼ皆踏み倒した。このとき、日本の対韓損失は実に3兆円にも及んだとされる。この時の損失より大きなダメージは、もはや東日本大震災と阪神・淡路大震災(それも長期の経済損失を含む)くらいしかない。

民主党政権でも同じだった。イラ管直人、ルーピー鳩山由紀夫と「悪夢の時代」と呼ばれ、3人目の野田佳彦首相が「少しまし」という評価だが、どうしてどうして。

2011年10月19日、野田佳彦首相は韓国の李明博大統領とソウルで会談し、日韓の通貨スワップの限度額を現行の130億ドル(約1兆円)から一挙に700億ドル(約5.4兆円)に大幅に拡充することで合意した。

その上、1910~1945年の日本統治時代に朝鮮半島から日本に持ち出された古文書のうち5巻をこの日に持参し、韓国に返還したうえ、年内に残る1200巻も返還したものである。

約束を即守った日本側に対して李明博の方はどうだったか。釜山の慰安婦像撤去ほか日本側の要求がいくつかあったのだが、何一つ守らず、翌年には竹島上陸して「日王(天皇)が韓国を訪問したいのならまず謝罪をしろ」とまで言ってのける有様。まさに裏切りの極致である。

 喉から手が出るほど欲しい日本とのスワップ再開だが、韓国政府と韓国銀行は、日本に公式な提案をしてはいない。当たり前だ。今度ばかりはタイトルのように「どのツラ下げて」と言われるのが目に見えているからだ。

元新聞社の同僚で週刊新潮で売り物のコラム「変見自在」を連載している高山正之氏によれば「韓国はユスリ、タカリで食ってきた国」だという。口ばかりで戦争があれば、上の者から真っ先に逃げるのを常とする。朝鮮戦争では逃げまくり、ために未だに朝鮮半島での指揮命令権は在韓米軍にある。レーザー照射事件で明らかなように、この国は政府も軍も嘘をつく。

おまけに徴用工問題で見せたように、日韓で結ばれた協定、つまり国際法を守らない、判決文など一つも書いたことがない男を最高裁判事に任命して判事を皆入れ替えて従来の判決をひっくり返して「法律は守らないと」といけしゃあしゃあと言ってのける国である。

加えて、経済記者に聞くと、韓国は 金融力強化のための国家的取り組みが絶無の国だという。このため韓国は簡単に国家破綻に瀕する理由の全てだそうだ。年がら年中『国家破綻する』とか『日本と通貨スワップを結びたい』と言い出す『原因』がここにある。

通貨スワップなど、そもそも日本にとってメリットは全くない。しかもこれまでの歴史を見ても裏切りの連続である。日本との通貨スワップ再開など夢のまた夢だと、韓国に思い知らせてやらねばならない。

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