職業に貴賎あり

「職業に貴賎なしというのはウソである」と喝破したのは山本夏彦翁である。ついでにいうと、今は正業であるかのごとく振る舞っているが賤業であるものは、昔の言葉に言い換えれば見分けがつく。「高利貸し」は「銀行員」に、「三百代言」は「弁護士」に、「羽織ゴロ」は「新聞記者」に・・・とつづく。羽織ゴロとは羽織を着ているゴロツキという意味である。ブログ子は長く新聞記者をしてきたが、見事に「賤業」に分類されているわけだ。

東京都の新型コロナウイルスの感染者は9日の224人、10日の243人と過去最多を更新している。9日の224人のうち、ホストクラブやキャバクラなど夜の街関連は74人と依然高く、新宿エリアは52人、池袋エリアは4人。このほか、クラスター(感染者集団)が発生したとみられる鹿児島市のショーパブ「NEWおだまLee男爵」を訪れていた30代男性も含まれる。10日分についてはこの項を書いている時点で分析は出来ていないが、同じようなものだろう。

「夜の街関連」などとぼかすからわからないがブログ子ははっきり「スケベ産業」と呼んでいる。この期に及んで、なおも盛り場に繰り出す若者(中高年もいようが)のはた迷惑には腹が立つばかりだ。

大人数の飲み会などの参加者も目立ち、最近ではホストが40代の母親にうつすなど、家庭内で若年層から中高年の両親や祖父母の世代への感染も相次いでいる。感染が判明した若者に保健所が連絡を取れなくなるケースも増えている。

こうも野放しになっているのは憲法にも関わってくるが現在の特措法では「命令」は出来ず「要請」止まりだからである。若者=馬鹿者に甘い顔をしすぎて、何も言えない行政に問題がある。休業要請を巡っては、豊島区が7日、クラスター(感染者集団)が発生したホストクラブが区独自の休業要請に応じた場合、50万円の協力金を支給する方針を打ち出している。区から財政支援を求められた小池百合子知事も「豊島区の取り組みをモデルケースとしたい」と述べ、応じる姿勢である。

これはおかしいだろう。賤業に追い銭はいらない。

それにしてもクラブやホストクラブでなぜこうも感染者が増えるのか。新宿区の吉住健一区長が8日、TBS系「ひるおび!」にリモート出演し、「(感染が広がったのは)ホストが共同生活をしていることが大きい」との見方を示した。店を訪れた客に広がるよりも、ホストの間で感染が広がっている例が多いという。

 吉住区長は、感染したホストたちの多くは、勤務後も一緒に飲食し、共同で暮らしていると紹介。「店が終わった後にご飯を食べたり飲みに行ったりしてマスクを外したり、騒いだりして飛沫(ひまつ)感染している恐れがあるのではないか」と話した。

 また、番組出演者の八代英輝弁護士も「ホストがPCR検査を受けて陽性になると協力金10万円をもらえる、お互い移しあって10万円もらった方がいいんじゃないかみたいな話が蔓延(まんえん)していると聞いたことがある」と述べ、「見舞金目当てにホストが集団検査に協力している」とするネット上の噂も紹介していた。

政府は新型コロナウイルス対策として、関連法の一括改正を検討しているという。休業や検疫の要請拒否に対する罰則を設けるなど、国・地方自治体の権限強化が柱だが、成立は「遅くとも来年の通常国会に提出する方向」というのだから話にならない。

最後にもう一度山本夏彦翁の箴言を紹介する。

「大昔から食いものを捨てる国民、助平の限りを尽くした国民は滅びました。ギリシャ・ローマの昔から王侯貴族だけが独占できた贅沢です。それを100年に一回くらいずつ革命を起こし、人類は健康を保ってきたのです。ところが20世紀末の現在、大衆が食い物を捨て助平の限りを尽くしても倒す人がいなくなった。  まるごと倒れるほかなくなりました」(毎日新聞、平成10年7月2日付)

コメントは受け付けていません。