イスラエルVsパレスチナ紛争がまたも激化、 「全面戦争」の懸念が高まっている。
【カイロ=佐藤貴生】イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの軍事衝突は12日も続き、イスラエル有力紙ハーレツによると、同国軍はガザにあるハマスの拠点など500カ所の標的を空爆。ハマスは衝突発生以降、イスラエルにロケット弾850発を発射した。ガザでは子供14人を含むパレスチナ人少なくとも48人が死亡、イスラエルでは6人が死亡した。
双方の戦闘はガザでパレスチナ人ら2100人が死亡した2014年の交戦以来の規模。イスラエルのネタニヤフ首相が11日、ハマスなどに「非常に重い代償を支払わせる」と述べたのに対し、ハマスの指導者ハニヤ氏は「抵抗する用意はできている」と応じた。国連のベネスランド中東和平特別調整官は「全面戦争」に拡大しつつあるとして両者に自制を求めた。
ガザでは11日、空爆を受けた高層ビルが倒壊し、ハマスはこれを受けてイスラエル西部の商都テルアビブなどに攻撃範囲を拡大した。同国軍は9割前後のロケット弾を迎撃したとしているが、家屋などの損害も出ている。各地でイスラム教徒のアラブ系住民による抗議デモが起き、当局はシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)が放火された中部ロッドに非常事態宣言を出した。
交戦は10日、エルサレム旧市街のイスラム教礼拝所「アルアクサ・モスク」周辺でイスラエルの治安部隊と衝突したパレスチナ人330人超が負傷し、ハマスが報復にロケット弾を発射して本格化した。(2021.5.12産経)
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佐藤記者はブログ子が静岡支局長をしていた時に県政を担当していてカラオケ大好きな快男児でよく知っている。彼が「全面戦争」に発展しそうだというのだからその通りであろう。だがここでは別な面で思うところがあったので、イスラエルの軍事面での正確さに触れてみたい。
外電でみたのだが、ハマスが発射した850発のロケット弾を迎撃する様子を捉えたイスラエル側の市民が撮影した動画がすごい。(下記URLクリックで迎撃の動画へ)
https://twitter.com/i/status/1392185006966050817
イスラエル中部に住む人が5月11日夜にツイッターに投稿した動画には、夜空に閃光がまたたき、煙が上がる様子が捉えられている。平和なれした日本では花火と錯覚しそうだが、これはガザ地区から放たれた数百発のロケット弾を、イスラエルの防空システム「アイアンドーム」のミサイルが迎撃している光景だ。
イスラエル軍によると、イスラエルのミサイル迎撃用防空システムであるアイアンドームは、テルアビブの人口の多いエリアを狙ったロケット弾のうち90%の迎撃に成功したという。確かに映像では、おびただしい数のロケット弾が雨あられと飛来して来るが、画面左側(イスラエル側)に到達するのは殆どない。いろんな角度で飛来するがことごとく迎撃されている様子が分かるのだ。
佐藤記者のレポートは昨年12月4日のこのブログでも「暗殺もAIで自動化の時代」として伝えた。ボディーガードに護られたイランの核科学者の車列をモサドが郊外で襲撃、現場に停車していた日産のピックアップに据え付けられていた無人機関銃で「「25センチしか離れていなかった同氏の妻は撃たず、ファクリザデ氏だけに20数発浴びせて殺害した」、うえ、3分間で全員消え失せたという驚異の手口だった。衛星経由でオンライン制御されていた上、高度なカメラとAIを使用していたと見られる。
「敵基地攻撃能力」を持つのは憲法上「是か非か」愚にもつかぬことにうつつを抜かす日本と違い、周囲皆敵に囲まれているイスラエルだけにすごいものだと、並外れた軍事力に感嘆した次第。