劣勢にさらされているロシア軍が首都キーフから撤退、東南部のマリウポリへ戦力を振り向けた。そのあとにウクライナ軍とメディアが入ったが目にしたのはロシア軍の虐殺の惨状だった。
首都キーウ近郊ブチャに入った記者の報道の一部を抜き出しただけでもーーーーー・
「道のあらゆる場所に、遺体が横たわっていた。建物の地下室では体の一部が切断され、拷問されたとみられる子供の遺体も」」
「解放のうれしさは感じない。あるのは犠牲者への悲しみだけだ」
「ある人は自転車に乗ったまま横倒れに、またある人は買い物袋を握りしめ路上で息絶えていた。橋には対戦車用の地雷が散らばり、舗装道には不発弾が突き刺さる。別の村では1日の捜索で1500超の爆発物が見つかった」
英紙サンデー・タイムズによると、領土防衛隊としてキーウ近郊の警備に当たる庭師のトロビクさん(53)は、「ここは地雷だらけだ。家の中も、庭も、道も。別荘地の地下室で18人の遺体を目にした。(ロシア軍は)拷問していたんだ。一部は耳が切り取られ、ほかは歯が抜かれていた。14歳くらいの子供の遺体もあった」
ブチャに入ったAFP通信の記者は、「静かな並木道に、見渡す限り遺体が散乱していた」と表現した。記者が確認した約20人の遺体は、いずれもジーンズやスニーカーなどを身に着けており、軍人には見えない服装だったという。
犠牲者の多くは18~60歳の男性だとの情報もある。撤退決定を受けて露軍が組織的に住民を殺害したとも考えられる。露軍部隊が遺体や民家に地雷を仕掛けているとされ、民間人被害の全容把握には時間がかかりそうだ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、米CBSニュースのインタビューで、「ジェノサイド(集団殺害)だ。ウクライナの国と国民全体を抹殺しようとしている」と強く非難した。
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報道の多くは虐殺の明白な証拠写真だというのに、画像にモザイクを掛けたり、遺体に毛布をかけたあとの画像にしたり、手を加えている。特に日本のメディアはこうした写真をいっさい使わない。
ブログ子はこれは人道に名を借りた「報道犯罪」だと断言する。新人記者で地方支局にいた時、一日に一度は死体を見た。多くは遺体の写真を撮った。交通事故、殺人事件、変死、鉄道自殺‥吐き気をもよおしたこともある。だが、そのうち情けないことに慣れて素手で触ることもあった。当時から紙面に遺体の写真を載せることはあまりなかったが、いまは、例え残酷に見えても載せるべきだと思っている。なぜなら、遺体写真は多くのことを伝えているからだ。
後ろ手に縛られて射殺された遺体。明らかに虐殺のあとだ。
犬を連れて散歩中だったのだろう。道端に横たわる人。犬がロープで繋がられたままそばにいるところを見ると、ロシア軍はブチャ撤退の直前に民間人を射殺したものと思われる。
「こども」とロシア語で書かれた車も蜂の巣にされ中にいたこどもが複数殺害されていた。
この女性はロシア軍が撤退する時いきなり射殺された、と目撃者は語る。
目撃者によるとこの人は自転車で側道を通っていていきなり射殺された。