ロシアの”虎の子”戦車が配備直後に破壊さる

ロシアの「T-90シリーズ」最新作である「T-90M」は、ロシア軍の兵器で技術的に最も進んだ戦闘車両とされるが、配備数日後にウクライナ軍により破壊され、しかもその映像がツイッターで流された。

ロシア軍は5月2日、ハルキウ奪還を試みたものの、ウクライナ軍が善戦して5月4日、ロシア軍を押し戻した。その際ツイッター上にドローンが「T-90M」に照準を合わせ撃破する映像がアップされた。

https://twitter.com/i/status/1523979659544834057

ウクライナ国防省は5月5日の声明で、「T-90M」の破壊を確認したことを明かし、「世界の多くの人が恐れていたロシア軍のイメージは、この2ヶ月の間に想像もつかないほど弱まっている」と強調した。

T-90M「プロルイヴ3」と呼ばれる最新鋭戦車はロシア国内外に2000台あるT-90戦車を高度に最新化したもの。砲塔は、敵の軽装甲車や歩兵を殲滅するための遠隔操作式大口径(12.7 mm)機関銃「コルドMT」を搭載している。 また、劣化ウランの芯を持つ装弾筒付徹甲弾「ヴァクーム1」を搭載、秒速1980メートルまで加速し1メートルの戦車用装甲板を簡単に貫通する能力がある。このほか誘導ロケット弾「スプリンテル」で、飛翔中に軌道を修正して敵目標に正確に命中させる能力もある。さらにこの戦車は赤外線カメラにほとんど写らない。50トンの戦車は、起伏の激しい土地でも時速70キロメートルで疾走することができ、乗員は、いくつものレバーの代わりに操縦桿を使って楽に運転ができる。

まさに「無敵の戦車」と言われてきた。しかし高価で1両9億円ほど。ウクライナ戦線にはわずか20両しか配備されていない。その20両は2月半ばにロシアのクルスク州郊外で鉄道によって運搬される20輌以上が確認され、4月25日にウクライナ東部で実戦配備が報告されていた。

今回の戦争は電子戦でロシア側の劣勢が目立つ。今回もアメリカの情報提供があったのだろうが、「T-90M」の真上に攻撃用ドローンがあり、そこからロケット弾が発射される様子や、赤い炎が上がるまで捉えられている。戦車はどんなに装甲を誇っても真上からの攻撃には弱いという欠点がある。そこを突かれたことがよく分かる。

4月に、ロシア黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「モスクワ」が撃沈されたのに続き、今回「無敵の戦車」まであっという間に潰されたのではロシア軍の面目丸つぶれである。

ロシアには「T-90M」を凌ぐ、「T-14アルマータ」という戦車がある。攻撃力、防御力、電子システムにおいて他国の主力戦車より優れた最強の戦車と言われる。偵察ドローンを搭載し、対空機関銃は最大1.5 km離れた空中の高速移動物体に命中させる能力を持つ。敵のレーダーに映らないようにするステルス技術も備えている。そして車内にトイレも設置され、戦車の弱点とされてきた問題もクリアしている。

とはいえ、いまだにウクライナで「T-14アルマータ」の姿は確認されていない。ロシアは資金不足のために「T-14アルマータ」は戦線での戦闘準備ができないようだ。そいえば戦争初期に撃墜されたロシア軍のドローンの映像ではカメラはキャノン、部品や電子機器はこれまた日本製だった。度重なる自由主義世界からの経済制裁によって分品などの入手が難しくなり製造できていないと見られる。

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