8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、演説中だった自民党の安倍晋三元首相(67)が銃のようなもので撃たれ、心肺停止の状態で奈良県立医科大付属病院に搬送されたが午後5時3分死亡が確認された。
発砲した奈良市大宮町の職業不詳、山上徹也容疑者(41)は、母親が団体と金銭トラブルになった影響で家庭が崩壊したと説明。この団体を国内に広めたのが安倍氏だとする持論を展開し、「安倍氏を恨んで狙っていた」と説明しているという。「安倍氏の政治信条に対する恨みではない」と供述している。
問題は2つある。一つは狙撃犯人を後ろ5メートルまで近づくのを許し、1発目では当たらなかったが2発目の致命傷を受けるのを傍観していたSPの無能さである。奈良県警をはじめとする警察庁の責任は免れず近々更迭は免れない。
奈良県警の鬼塚友章本部長は警護の不備を認め、「警察官人生で最大の悔恨、痛恨の極み」などと語った。「私自身、警護計画書に目を通し、承認した。警護上の問題があったことは否定できないが、態勢なのか配置なのか、個々の警護員の能力なのか、早急に確認し、見直しを行う必要がある」
SPの無能さは下の一枚の写真がすべてを物語っている。
犯人は銃を持って近づいているのに、SP(後方黒っぽい服にマスクの人物)は犯人の銃を目撃しながら、「近づかないでよ」くらいの程度で、拳銃を引き抜くなどの対応は何もしていない。このあとも犯人は第一発目を発砲するのだが、白い煙が出た瞬間、間髪を入れず犯人を押さえ込むのがSPの仕事なのに何もする様子がなく、第二発目が安倍総理に命中してからようやくSPが動いている。
もう一つの問題点は、警察発表でも陰にある宗教団体の名前が伏せられている問題だ。何を斟酌する必要があろうか。「母親が宗教団体と金銭トラブルになって破産、その幹部を襲うつもりだったが難しいので安倍にターゲットを変えて(前の遊説先の)岡山から付け狙っていた」というから今回の暗殺の大きな要因である。何も警察が庇う必要などない。巷間、創価学会、日本会議、立正佼成会・・・の名が取り沙汰されていて伏せるのはかえって迷惑だろう。
一般にはまだその宗教団体名は伏せられているが、統一教会のようだ。
韓国発祥の新興宗教で集団結婚式で有名なところである。ひところ日本でも有名歌手が信者になって一切を投げ売って、いまも結婚相手と北陸で暮らしているようだが、文鮮明により韓国で生まれたこの宗教団体は日本で注目を浴びたのは、「霊感商法」が社会問題になったときである。「世界基督教統一神霊協会」(統一教会)といったがその後「世界平和統一家庭連合」に名称を変更、現在はさらに名称変更して「天の父母様聖会」というらしい。「協会」と称したり「教会」と呼ばれたりまちまちであるがここでは「統一教会」としておく。
韓国では財閥の1つとみなされ、系列企業は「統一教グループ」と呼ばれ、宗教としてより統一系企業の方が有名で、文鮮明は事業家としてのイメージが強い。
この統一教会が日本の政治と関わったのは、1968年に、文鮮明が岸信介の協力を得て反共産主義政治団体「国際勝共連合」を日本に設立させて以来のことで、「国際勝共連合」の名誉会長が笹川良一だったので日本では右翼とみなされることが多い。
自民党、特に安倍晋三が会長になり党内最大派閥になった「清和会」が統一教会と関係があったとしても政治の世界では当たり前である。現に統一教会が開いた大規模集会に安倍晋三前首相がビデオメッセージを送り「敬意を表します」などと演説していたことが昨年報じられたりしている。
文鮮明率いるこの団体と岸信介や安倍晋太郎が親しかったとしても当時は当然のことだったし、教祖はニクソン大統領やゴルバチョフ大統領にも招かれ国連総会でまで演説していたくらいだ。安倍晋三氏が多くの宗教団体の一つとしてその関連事業に関連を持っていたとしても特別の関係とはいえないし、世界の多くの政治家が普通に関与している。
統一教会や勝共連合の運動方針上げてみる。
「TIME]紙は次号表紙を安倍晋三に決めた
・ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止
・「選択的」夫婦別姓に潜む共産主義の索道を阻止
・憲法改正
・スパイ防止法の制定
・日本版NSC(国家安全保障会議)の設置
・集団的自衛権の行使容認
・非核三原則の改廃
・武器輸出三原則の改廃
・防衛産業を成長戦略に盛込む
・宇宙の軍事利用を促進
統一教会は嫌いでも保守派の多くは賛同するのではないか。
最後にブログ子はささやかながら「安倍幹事長」時代から付き合いがあった。後に「魔の三回生」と呼ばれる大量の新人議員が当選したとき以来である。彼らは物知らずだった。ブログ子は新聞社で紙面をデジタル化してネットで流すシステムを構築したことがあり、それを評価されて自民党本部に呼ばれた。
自民党にサーバーを置き、大量当選した新人議員を教育する仕事を安倍幹事長から仰せつかった。新聞社時代の政治部長と安倍幹事長の対談で自民党の考え方を広めたり、北方領土からみで終戦時に、当時のソ連が日ソ不可侵条約を一方的に破って満州と樺太から攻め入り武装解除した日本兵を殺し、婦女子を凌辱、ために樺太電話局の女性全員が「みなさんさようなら」と電話して青酸カリを飲んで果てた事件、北朝鮮への帰還事業の嘘と朝鮮総連の資金源になっている日本のパチンコ屋の実態、北朝鮮による拉致事件(横田めぐみさんの拉致などはまだそれほど知られていtなかった)、日本の軍備特に日本は潜水艦隊の優位でかろうじてロシアと中国に相対していること・・・などを自民党本部から配信した事がある。議員一人あたり1,2万円(月)もらったが、多くは幹事長が持っているカバンから出された。
その後の「魔の三回生」の事件を見ると、ブログ子の「新議員教育」はあまり成果を挙げたとはいえないが、当時はまだネットの威力などに気づく政治家など少なかっただけに、その先見の明は驚くほどであった。
最大の功績の一つが2016年に提唱した「自由で開かれたインド太平洋」であることは言うまでもない。中国を念頭に一方的な現状変更を否定し、インド太平洋地域の平和と安定を目指す構想の重要性はかすます高まり、民主主義国の共通理念として広範な支持を得ている。ほかにもG7での活躍、スカッドの創設、憲法改正へ舵を切った総理・・・当時はこれほどの「名君」になるとは思わなかったが、ずば抜けた功績をあげた人だけにこんなことで失うとは返す返すも無念の思いである。