安倍国葬に反対する者ども

先週、2ヶ月間どっぷり山暮らしして八ケ岳から下山しました。山に上る前に予想と言うか予言と言うか、下山する晩秋にはこうなればいい、こうするべきだと考えていたことが二つありました。ウクライナが反攻に出てうまく行けば9月中にクリミア半島まで進出する。もう一つはリベラル左翼が狂奔する安倍国葬は粛々と盛大に行えば、彼らの吠え声は雲散霧消するということでした。直近に迫った安倍国葬の方から書きます。

安倍国葬に罵声を上げているのは、朝日新聞と毎日新聞、多くのブロック紙と地方紙である。政党では共産党を中心に立憲民主などの野党である。

 「安倍元首相の業績には賛否両論がある。極めて異例の『国葬』という 形式が、かえって社会の溝を広げ、政治指導者に対する冷静な評価を妨げ はしないか」(7月20日の社説「『国葬』に疑問と疑 念」)

 “社会の溝”を広げているのは朝日新聞である。いまや「三流紙」に堕ちたこの新聞は、安倍晋三元総理の業績の中か ら、モリカケ桜等々を抜き出して如何 にも故安倍元総理が極悪人であったかの如くに吹聴している。事実は逆である。
諸外国の首脳、日本研究を物してきた人々は安倍氏の理念や政策を高く評価している。その中で、戦略論を研究するエドワード・ルトワック氏が月刊「Hanada」の9月特大号に寄せたコメントが一番的を得ているので紹介する。

「安倍氏は『日本政府の政策』を打ち出した戦後初めての政治家だ。それ以前は外務省は米国のカウンターパートである国務省と、陸上自衛隊は米陸軍と、海上自衛隊は米海軍と、内閣情報調査室は中央情報局(CIA)とだけ対話していた。しかも日本国内ではこれらの人々は互いに意思疎通も情報交換もなく、ひたすら米国の政策に追随するだけだった。安倍政権になって初めて、日本の各機関が日本国という有機体の一部となって互いに支え合うようになった」

安倍氏以前の民主党政権はルピー鳩山由紀夫にみられるように、米中の真ん中に日本を置き、日米同盟とは別個の形で東アジア共同体構想に熱中した。これは元々、中国が米国のアジアにおける存在感を薄め、アジアから排除することを狙って、日中韓+ASEAN諸国で結束しようと提唱したものだ。中国は、米国さえ背後にいなければ、日本を中国の支配下に入れて屈服させるのは容易だと考えた。これにどっぷりはまった鳩山由紀夫のお陰で民主党政権下で日米同盟が漂流し、オバマ政権は日本に深い猜疑心を抱いた。

12年12月、政権を取り戻した安倍首相が日米関係の修復を急いだのは、地球全体を見渡したパワーバランスの中で考えることができたからだ。対中抑止力の要となるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を表明したのは年明けの3月だった。TPPはトランプ氏が政権に就いた途端に米国が脱けたが、それでも安倍首相はこれをまとめ上げた。TPPの持つ戦略的重要性を十分に認識していたからこそできたことだ。

日本の長い歴史の中で育まれた価値観に人間重視の思想がある。一人一人が各々その志を遂げることができる公正な社会を目指す思想がある。個々人の生き方を許容する自由と、誰もが法の下では平等であり、国家同士も国際法の下では平等だという思想は、日本においてはるか遠い7世紀初頭から実践されてきた価値観である。

この思想が「自由で開かれたインド太平洋戦略」(FOIP)に反映された。主軸国の日米豪印の絆は深まり、オーストラリアとはいまや準同盟国と言ってよい関係を構築した。同じくイギリス、フランスも安倍氏のFOIPを受け入れた。両国と日本は「2+2」(外務・防衛閣僚会合)も実現した。また安倍氏は07年に日本の首相として初めてNATO本部を訪問し、価値観を共有することの重要性を説いている。

こうした安倍元首相の功績のどこをとっての「国葬反対」か。少しは政治史を勉強したら良い。この反対運動の中で自民党内からも唾棄すべき「本性」をあらわした輩がいる。

昨年10月の衆院選で立憲民主党の辻元清美候補(現在は参院議員)を応援し、1年間の党員資格停止処分を受けた自民党の山崎拓元副総裁である。週刊ポスト(9月9日号)で、こんな異論を唱えていた。

「果たして安倍さんに国葬に値する政治的功績があるのか」

「(岸田首相の)その判断はあまりに拙速だった」

呆れた男である。彼は第1次安倍内閣時の平成19年1月、北朝鮮に圧力をかけ続けるという内閣や拉致被害者を救う会、家族会の方針を無視して訪朝し、マツタケ料理の供応を受けた。この時の訪朝は目ぼしい成果などなかった。

山崎氏は小泉純一郎内閣の首相補佐官時代、中国の政府機関であり、中央政府・地方政府の政策立案に携わる中国第2のシンクタンク、上海社会科学院の客員研究員にも就任した。また、韓国の国立慶尚大学校の客員教授も務めるなど、北朝鮮だけでなく中韓両国にも融和的でいわば自民党内の「獅子身中の虫」である。

もう一人いる。自民党の村上誠一郎元行政改革担当相である。20日、村上氏が党本部で開かれた総務会後に、安倍氏の政権運営が「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した。国賊だ」と発言した。

安倍元首相が生きていたらこんなこと言えるはずがない。死者にむち打つ良識を疑う言葉だが、これを報じた記事に立憲民主党の逢坂誠二代表代行がツイッターで「良く言った」とコメントするのだから、呆れた連中である。まあこういう唾棄すべき人間が現れるのも、日本人が劣化していることの証左であろう。

こういう連中は国葬当日どれだけの人が国技館や献花台で手を合わせるか見るが良い。ブログ子は彼らが赤面する(少しの良心があればの話だが)ほど多くの国民が手を合わせると信じている。

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