デヴィ夫人(83)がツイッターでロシア寄りの発言をする森喜朗元首相(85)と鈴木宗男(74)を「老害」と批判した。
曰く「森元首相と鈴木宗男は老害以外の何者でもない。プーチンと写真を撮ったから“トモダチの国”を非難するな、自分が日露の外交を拓いたから、と馬鹿を言う。」(デヴィ夫人のツイッターより)
これに対し猛反発した鈴木宗男が「デヴィさんにね、あなたが老害じゃないですか。ケンカには元々何が原因かという、その元があるのではないでしょうか。歴史の勉強はあなたよりも私がしている。外交に立ち会っていない人とは訳が違うということを、私はきちっと説明したいと思います」
デヴィ夫人は日本政府が退避勧告を出しているウクライナの首都キーウ虐殺があったブチャの病院などを訪問、防寒着やオムツなどの支援物資を届けて、官房長官にすみやかに帰国を、と釘をさされたばかり。
彼女はさらに反論して「プーチンさんの理由は本当のこじつけですし、正当化できないですよ。本当に歴史を勉強しているんだったらば、プーチンさんの方がおかしいということに気がつかないと。ブチャでは車ごと焼かれた人たちがたくさんいるわけですよね。その車の横腹に、ひまわりの絵がいっぱい描いてあったんですね。ウクライナが負けるようなことがあったら、それはもう民主主義の墓場になってしまう。ドイツも戦車を送る、フランスもする、英国もするというなかで、森元首相と鈴木宗男氏は何を思っているのかしらと思います。もう老害ですね。(宗男氏らは)恥を知れですね。」
ブログ子はこのやり取りを聞いてたちまち表題の言葉を思い浮かべた。この二人についてはそれぞれ世間に登場したときから裏事情を知っている。
デヴィ夫人は19歳で高級クラブ「コパカバーナ」のホステスとして働いていたとき遊びに来たインドネシアのスカルノ大統領に見初められたことになっている。
それはちょっと違っている。スカルノは日本に戦時賠償金を要求、これを呑んで今の金で290億円を12年間支払うことで合意した。巨額の賠償金を巡って政治家や商社が暗躍した。
政治家では川島正次郎。今も「政界、一寸先は闇」と使われるが、これは彼の言葉である。他にも 「寝業師」「江戸前フーシェ」「おとぼけの正次郎」「カミソリの正次郎」「道中師」{軍師}・・・数々の仇名で呼ばれた、稀代の策士であった。総理の席は狙わず、田中角栄を総理にするなどもっぱらウラで動いた人物で、資金はインドネシアからのキックバックで賄った。
商社では「東日貿易」。色好みのスカルノが要求したようだが、白羽の矢が立ったのが「コパカバーナ」で美貌をかわれていた根本七保子(デヴィ夫人の本名)だった。中堅商社の東日貿易の久保正雄社長が仲介して丸紅から「東日貿易の秘書」としてスカルノ大統領の元へ送り込まれた。
口説いたのは川島か久保社長かわからないが、彼女持ち前の愛国心に訴えて、「お国の事情でインドネシアの大統領の愛人になってほしい」と伝えたのではないか。
気性が激しく、アメリカでフィリピン大統領の孫娘をシャンパングラスで殴りつけ37針縫う大怪我をさせた傷害罪で60日の禁錮刑に処せられたり、日本のテレビで女性を平手打ちしたり、右翼と渡り合ったり、近いところでは内妻に毒殺された「和歌山のドンファン」事件でドンファンとの親密交際が表に出たり、しょっちゅう週刊誌を賑わせている「目立ちたが屋」である。
鈴木宗男の名は、総裁選直後自殺した中川一郎の取材過程で知った。1983年(昭和58年)1月9日、札幌パークホテル10階バスルームで自殺したのだが、お屠蘇気分も抜けきらない新聞社の編集局でブログ子が動転した出来事だった。
死因については、自民党内でしゃにむに自分の派閥を作り上げて総裁候補にまでのし上がったが、その過程で、人間関係や政治資金などで相当の無理をしており、その心身の疲労と大酒飲みがあいまって自殺という形で爆発したというのが定説だ。
しかし、ソ連の対日工作員レフチェンコから中川一郎が巨額な政治献金を受け取っていたのを、中曽根・後藤田ラインに知られ、暴露するぞと脅されたとか、総裁選で膨大な金を使いすぎ借金返済に困窮していた、ソ連のKGBに謀殺された・・など他殺説がぞくぞく出てきた。その中に、当時第一秘書だった鈴木宗男が裏切って親分の地盤から出ると言い出したのに悩んでいた、というものがあった。「鈴木宗男はCIAと結託して中川を収賄疑惑に引き込んだ」というのもあった。
今もって分からないが、当時はウラを取るべく鈴木宗男の周辺を洗ったものである。その過程で、ロシアと近い話が沢山出ていた。彼は中川の死後、中川の息子、中川昭一と同じ地盤の北海道5区で骨肉の争いを演じ、ここで議席を得た。
ここは北方領土にもっとも近いところで、漁業をめぐってロシアとは年間4回も漁業交渉を行っている(サケ・マス漁業、コンブ漁、安全操業、地先沖合漁業)。つまりロシア通を売りにしての利権が多い選挙区でもある。2000年プーチンが大統領になって真っ先に会った外国政治家、ということをたびたび選挙で訴えてもいる。
前述の北方領土周辺水域での日本漁船の安全操業を定めた日本とロシアの間の漁業協定に関し、ロシア側は1月21日、今年の操業条件を決める政府間交渉に応じない方針を日本政府側に伝えてきた。ウクライナ侵攻に伴う日本の制裁への意趣返しである。
さしあたり例年1~3月が漁期となるスケトウダラ刺し網漁などの操業に影響が必至。日本は苦しい立場に立たされているが、向こうも苦しい。ロシアはウクライナでの戦費が枯渇していて、北方領土周辺海域での安全保障との引き換えに日本から入る現金が欲しい。早晩、交渉を打診してくるだろう。
その時、ダミーとして親露派の鈴木宗男を使うのではないか。それこそ彼が最も得意にしている分野である。ロシア側からは日本での政治力が、漁民側からは献金という資金が入るからである。
これまで彼が多くの利権を漁っていたことは裁判でも明らかになっている。国後島に建設したいわゆる「ムネオハウス」建設を巡っては「懲役2年」の判決が確定(2010年)、議員を失職して一年間服役している。
しかしその後しぶとく復帰、地域政党「大地」をつくったり、鳩山由紀夫政権に近づいたり、絶えず所属を変えて、今は日本維新の会に席を置いているのはご承知のとおりだ。
以上のようにブログ子が知るデヴィ夫人と鈴木宗男は「胡散臭い」。どうしても、ウクライナを利用して目立ちたい人物と、ロシアとの親密ぶりで利権を得たい人物としか見えない。どちらが目糞で鼻糞かは特定しないが、ともに「老害」であることは確かである。