「墓穴を掘る」とは、死後に入るための墓穴を自分で掘る行為から来ている。立憲民主党はブーメラン政党という別称を持っているとおり、舌鋒鋭く突撃するものの最後には自分自身で破滅に向かうのを常としてきた。
同党の小西洋之参院議員は「総務省の最高幹部に共有された超一級の行政文書」との触れ込みで、安倍政権当時、テレビ番組に圧力をかける目的で放送法の解釈を変更すべく、官邸側と総務省が協議した文書を振りかざしたときからマユツバとの声が多かった。高市早苗・経済安全保障担当相に辞職を迫る”越権行為”を支持したのは朝日、毎日などいつものメディアくらいだった。
高市早苗大臣に「捏造」と断定され、風向きが変わった焦りからだろう。問題のサル発言が飛び出した。
29日、週1回の開催が定着している衆院憲法審査会について「毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ。何も考えていない人たち、蛮族の行為だ。野蛮だ」と公言した。
小西洋之は参院憲法審の野党筆頭幹事を務めている。それなのに憲法審について「憲法を真面目に議論しようとしたら毎週開催なんてできるわけがない。私は憲法学者だが、毎週議論などできない。いつ最高裁判決や外国の事例を研究するのか。衆院なんて誰かに書いてもらった原稿を読んでいるだけだ」と言ったものである。
自民党安倍派の塩谷立会長代理は「とんでもない発言だ。.衆院がだいぶ怒って『なんとかしろ』と言っているようだが、淡々とやるしかない」と述べ、別の安倍派幹部は「小西氏を参院憲法審の野党筆頭幹事から差し替えるぐらいしないと、衆院側は納得しないのではないか」と語った。
野党も同じで「衆院憲法審に対する侮辱だ。謝罪を求めるべきだ。私たちは真剣に議論を積み重ねてきている。それをサルだの蛮族だのといわれると我慢ができない」(維新の三木圭恵議員)
国民民主党の玉木雄一郎代表は、SF映画「猿の惑星」を引き合いに「小西氏だけ別の星にいるのか。われわれがサルなら、われわれは『猿の惑星』にいるような気がする。猿の惑星はサルの方が知能が高く、人間を奴隷化したりする。発言の撤回と謝罪を求める」と語った。
立憲民主党の長妻昭政調会長はまずいと思ったようだがかと言って支持もできず「党の考え方ではない事実関係を確認し、どういう意図でか確認したい」」と逃げるばかり。「私は憲法学者だ」と言ったことへの真偽を確かめろという声も上がっている。
本人はこの期に及んでも意気軒昂で、「サル」発言を報じた報道機関に関して「放送法に違反し偏向報道を続けるNHKとフジテレビに対し、放送法などあらゆる手段を講じて、その報道姿勢の改善を求めたい。当然、産経とフジテレビについては今後一切の取材を拒否します」とツイッターに投稿して火に油を注いでいる。
この人物、郵政・総務官僚出身だが、奇矯な言動で物議を醸してきた。2014年3月にはNHK経営委員の顔ぶれについて、東北地方の代表者がおらず、全国各地方の公平性の考慮を規定している放送法に違反するとして長谷川三千子、百田尚樹両経営委員の罷免を要求したり、2014年7月の憲法解釈変更の閣議決定について、「安倍晋三首相が行ったことは法令解釈ではない。日本の法秩序を根底から覆すクーデターだ。憲法を何も分からない首相とそれを支える外務官僚を中心とした狂信的な官僚集団」と発言した。
本場オーストラリアでは、ブーメランは強力な刃物で、戻るや人間の首を刎ねるほど強力だという。