原子力規制委員会は13日の定例会合で、日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原子力発電所2号機(福井県)について、原発の安全対策を定めた「新規制基準」に適合していないとする審査書を正式決定した。新規制基準を満たさない原発は運転が認められず、敦賀2号機は2012年の規制委発足後初めて「不合格」の原発となった。
審査では、原子炉建屋の北側約300メートルにある「K断層」が問題になった。原電は掘削調査の結果などから「K断層は活断層ではなく、原子炉建屋直下にも延びていない」と主張したが、規制委の審査チームは「活動性、連続性とも否定できない」と強弁して、反対意見を押し切って最終決定した。
「産業のコメ」である日本の電力は危機的な状況にある。クリーンな原子力発電に頼るべきなのだが、福島原発事故以降、核アレルギー論者の跋扈で原発はみな止まっている。脱炭素時代に逆らって石炭や石油を燃やし、家庭は毎年跳ね上がる電気代に悲鳴を上げている。国家の危機に瀕しているとき、愚かな地震学者どもの偏った学説で原発が止まるのは、もはや犯罪である。
今回も「不合格」の根拠になったのは「活断層」である。世界のトップクラスと自称する日本の地震学の権威がいうのだから信用する人もいるだろうが、内実はあほらしいほどいい加減なのである。
「活断層」の悪夢はあの 「悪夢の民主党政権」 に始まった。3・11の東電福島事故で菅直人は日本のエネルギーの3割を担う 原発 を即座に止めた。次に動かすには、 「原発施設の下に 5万年前まで活動した断層がないこと」 を 設置許可基準 とした。それを審査するために 原子力規制委を新設したが、実態は再稼働させないための菅直人の直轄組織で、基準はいつしか 「13万年まで」 に改められ、菅直人がさらに、少しでも不明があれば 「40万年前までの疎明も必要とする」 に変えた。
ブログ子は高校時代に地学をとった。何万年間、噴火がない富士山は「休火山」、それ以上ない八ケ岳などは「死火山」、いま動いている浅間山などは「活火山」と教えられた。40億年を超える地球の歴史の中では「5万年」も「13万年」も一瞬である。現在では、死火山、休火山とも使われない。
現在、地震学者の主流になっているのにプレートテクトニクス理論がある。地球の表面はいくつものプレートに覆われており、対流しているマントルに乗って水平に動いているとする。日本は太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレートの4つがせめぎあっているというものだが、当時の授業では「最近、こういう理論が出ている」と教わったものである。
まして地震学などさらに「浅い」ものだが、東大地震研究所を中心とする地震学者はこれを「金蔓(かねづる」に変えた。地震は予知できると称して国から予算を何百億円も取った。さらに規制委に東大地震研の島崎邦彦教授らが入って牛耳ってきた。東電福島事故の原因は津波により浸水して冷却用電源が切れたことによるのだが、彼らは「東電福島事故は津波ではなく地震のせいだ」 と言い張って、今回の敦賀原発同様、「原発の下に活断層があればすべてアウト」にしてきた。
まともな学説ならまだしも、その研究たるや、笑い種である。立川断層の調査で東大地震研の佐藤比呂志教授が 「白く長い活断層 」を発見して大騒ぎになったが、掘ってみたら実は埋まったコンクリート電柱 だった。
彼ら東大地震研を中心とする「地震屋」の暗躍ぶりは櫻井よしこが、週刊新潮9月12日号「『南海トラフ70%』の嘘と島崎邦彦氏」として書いている。
(要約)
今年の新潮ドキュメント賞受賞作『南海トラフ地震の真実』(小沢慧一著、東京新聞)には驚いた。読み進む内に、わが国に巣食う無責任な学者・研究者たちへの猛烈な憤りが湧いてきた。彼らが専門性の壁のうしろに隠れて、根拠のない非科学的な論理を展開し、危機へのわが国の対応を歪め、日本社会と多くの国民に害をなしているからである。
政府の地震調査委員会が「30年以内、確率70%」と公表し、度々警告している中で過日「南海トラフ地震臨時情報」が発出されたのは記憶に新しい。だが、真実は、70%説は「水増しがされ」た数字で、多くの地震学者は「『信頼できない』と考えて」いるというのだ。
小沢氏の取材のきっかけは、名古屋大学教授(地殻変動学)の鷺谷威(さぎやたけし)氏から以下のような驚くべきことを告げられた。
▽南海トラフだけ、他の地震とは別の手法で数値を予測している。あれを科学と言ってはいけない。▽他の地域と同じ方法で計算すれば地震発生率は20%程度にまで落ちる。
何ということだ。70%説は科学とは呼べない手法で割り出されたというのだ。そんな信用できない説がなぜ政府見解となったのか。
地震調査委員会では他の地域同様、全国統一の計算方法から算出した「20%程度」という確率を発表する案も検討されたそうだ。しかし委員会の上層部に伝えると、大反対が巻き起こったという。「80%という数字を出せば、防災対策もそこに焦点が絞られ」、政府予算も確保される。だが、確率が下げられると予算が取りにくくなる、というのが主な理由だった。
こうして鷺谷氏が「科学者の良心に照らして言えば、危機感をあおるだけ」と語った「30年以内」「70%の発生確率」が最終結論となった。
読み進む内に私の目は島崎邦彦という地震学者の名前に吸い寄せられた。2012年、民主党政権の菅直人首相が設置した原子力規制委員会の委員長代理に就任した人物だ。規制委は島崎氏らの非科学の極致を行く思考によってまともな原子力行政を代々、不可能にしているのが現状だと言ってよい。
氏は政府の地震調査研究推進本部(地震本部)で2012年まで17年間にわたって長期評価部会の部会長も務めており、そのキャリアは氏が日本における地震学の権威として認められていることを示している。だがこの島崎氏が、少なからぬ地震学者から「信用できない」と批判されている学説を打ち出した。巨大地震発生の確率を予測する「時間予測モデル」である。内容を著書から抜粋する。
「地震は海側のプレートが沈み込むことによってひずみが溜まり、限界点に達すると陸側のプレートが跳ね上がり、激しい揺れを起こす。地震後も、海側のプレートは変わらず沈み込み運動を続け、ひずみを溜めて限界に達するとまた跳ね上がる。このサイクルに要する時間を割り出せるとして提案されたのが時間予測モデルだ」
つまり、プレートの跳ね上がりで大きなひずみが解放されて、大地震が発生したあと、その分のひずみを蓄積する時間によって次の地震発生の時期が予想できるという説だ。
同モデルの根拠の一つとなったのが江戸時代に起きた安政地震直後の土佐室津港(現在の高知県室戸市)の水位の変化である。古文書には「1854年11月4日、海面が荒れ、翌5日、海水面の高さが1.2メートルほど低くなった」との旨、書かれている。
だが、計測の手法についての詳細はない。海底の岩盤を基準にして計ったと思われること、江戸時代なので縄に重りをつけたり、竹の棒を使ったりしたと思われることなどから、かなり大雑把な数字だと京大防災研究所所長の橋本学氏は述べている。
「元々古文書の数値なんて、誰も確度が高いとは思っていませんよ。だから、誤差の補正をしてから使う。島崎論文ではそういうことをせず、現代の技術で測量した数値のように使っているんです。要するに当てにならないということです」
政府の防災対策は、島崎氏の好い加減な論文に基づいて南海トラフ地震が30年の内に70%の確率で発生するという前提でなされているのだ。
小沢氏は島崎氏に取材を申し込んだ。だが島崎氏は応じない。島崎氏は時間予測モデルを提唱した当事者で、それを基に「30年、70%」の確率を採用した責任者の一人だ。説明する責任があると、小沢氏が詰め寄った時、こう答えた。
「いやいや、論文を書いたら、それはもう僕のものではないですよ。それをどう料理しようとみなさん次第です」
こうして最後まで島崎氏は「ノーコメント」を貫いたそうだ。島崎氏の非科学的な論文から現在の南海トラフの発生確率が決定された。それが他の学者から全く非科学的だと指摘されているのである。国の防災、国民の命にかかわることだ。島崎氏に学者の良心があるなら説明も修正もするだろう。けれど、氏は非科学的であるだけでなく、説明責任も果たさない。無責任学者なのだ。
島崎氏が委員長代理を務めた原子力規制委員会は、当初から現在まで非科学の極致を行き、活断層を巡る議論で福井県の敦賀原発2号機の再稼働を認めない判断を下したばかりだ。その他の原発においても規制委の非科学的判断が再稼働を遅らせ、災害対策と同様にわが国のエネルギー政策を歪め続けている。