「握手会」イベントはそろそろ卒業だ

「AKB48」の握手会会場に「のこぎり男」というのだからおどろおどろしい事件だ。切られたアイドル2人はそれぞれ指の骨折と裂傷で盛岡市内の病院で深夜まで手術を受けたという。刃物がのこぎりではさぞかし縫合手術も大変だったのだろう。現行犯逮捕された容疑者(24)の母親が「なんと言って謝罪したらいいのか・・・」とオロオロしているのも痛ましい。

AKB48

AKB48

「AKB48」は「会いに行けるアイドル」をコンセプトに活動し、メンバーは全国で握手会を実施している。ファンはCDに付いている券を持って握手会に行くと、好きなメンバーと握手や会話ができる。AKB48の公式サイトによると、この日の握手会にはメンバー約50人が参加していたがいずれも大きなショックを受けているという。

握手会は、劇場公演と並ぶ目玉のイベントで、グループの躍進を支えてきた。握手の際には、通常7~8秒という所定時間より長く居続けたりする輩が出るので、「はがし」と呼ばれる警備スタッフが近くに待機している。だが、これまでもトラブルなどが相次ぎ、2011年5月の札幌市の握手会では、少年が自作の腕章などを使ってテレビ局員になりすまして会場に侵入し、無断でビデオを撮影。12年8月には、大阪府の高校生がインターネットの掲示板に握手券を持っているように装った書き込みをし、現金をだましとった疑いで逮捕されている。

一般紙にはいないがスポーツ紙には芸能担当記者がいる。そこの編集責任者をしたことがあるので芸能界を少し覗いたことがあり、グループ会議などで同席したこともあるのだが、「AKB48」の秋元康プロデューサー、「劇団四季」の浅利慶太・プロデューサー、ジャニーズ事務所のメリー喜多川さんの辣腕ぶりは有名だった。
 

秋元康氏

秋元康氏

asari「劇団四季」の切符は広告のバーターなどですべて事前に大企業に完売済みで、大量の劇団員を育てては地方ごとに「四季」をつくってブロックごとに営業を競わせる。ジャニーズは少々歌など下手でもタレントの個性を活かしてバラエティー番組から料理番組にいたるまでテレビ局に売り込んでいく。秋元康は本来、美空ひばりの『川の流れのように』の作詞家として出たのだが、いまでは、「AKB48」を売りだした男としてこれだけで年収100億になろうかという。3人に共通するのはいずれも「営業」の達人だという点だろう。

握手会というのはうまいことを思いついたもので、握手したいがために一人で何枚も同じCDを買いまくる。これでベストテンの上位に4つも5つも入ってくる。ただ先の事件にも見られるように経済力が伴わない若い世代から金を吸い上げるわけだから、どうしても無理が出るし犯罪とも関わってくる。

「のこぎり男」が何を思っての犯行かまだ分からないが、握手会戦術は台湾、中国などアジアにむけてすでに数多くの亜流「AKB48」ができていて、いずれも同じ方法で売上を見込んでいる。ということはこの種の犯罪が東南アジアに広く再発すると見るべきだろう。不必要なものを購入させる手口は公正取引委員会が消費者センターの監視対象という見方もできる。アイデアは褒めるから、そろそろあこぎな商売はやめにしたらどうか。

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