何用あって宇宙へ

「宇宙に行きたい」という日本人が57%だという。これを聞いてたちどころに山本夏彦の名エッセー「何用あって月世界へ」という一文を思い出した人も多かろう。

なんでも宇宙旅行の時代はすぐそこまで来ていて、米ヴァージンギャラクティック社が世界初の宇宙旅行を近く実現するのだそうだ。写真右下uchuusenのような宇宙船もすでに設計されていて、計画では、高度110キロまで上昇した船内で宇宙遊泳を楽しむこと約2時間。料金は25万ドル(約2550万円)。予約客は世界で約600人に上り、うち18人が日本人だという。その日本での販売に当たるクラブツーリズム・スペースツアーズ(東京)がアンケートを実施したところ57%が「宇宙旅行に行きたい」と回答し、その理由に「青い地球を眺めたいから」を挙げた。一方、費用の高さや安全面で不安を訴える声が目立ったという。

13億人の巨大な胃袋を満たすため、世界中で紛争を繰り広げている中国や、歴史認識なる面妖な理屈を並べる隣国を見ると、宇宙へ逃れたいという人間が出てくるのも理解できる。ブログ子が高校で習った「地学」を少し延長した程度の浅学で恐縮だが、空気がない、水がない、みずみずしい野菜も果物もない。「青い地球を眺める」程度なら若田光一さんが撮影した高感度ビデオでよかろうと思うのだが。

山本夏彦はこう書いている。「アポロは月に着陸したという。勝手に着陸し、次いで他の星へも行くがいい。神々のすることを人間がすれば、必ずばちがあたると言っても、分りたくないものは分るまいが、わずかに望みをつないで、かさねて言う。何用あって月世界へ。月はながめるものである 」

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