石原慎太郎氏の言い分はもっともだ

shintaro東京都の築地市場(中央区)から豊洲市場(江東区)への移転問題を巡り、移転決定時に都知事だった石原慎太郎氏(84)の記者会見が3日、都内で開かれた。「最高責任者として裁可した責任は認めるが、安全性については科学者も『「何の危険もない」としている。やるべきことをやらずにことを看過して、豊洲への移転を混迷、迷走させた責任は小池(百合子)都知事にある。科学が風評に負けるのは国辱だ」と述べた。

その後の質疑応答で、2001年1月に豊洲市場用地の土壌から環境基準の1500倍のベンゼンが検出されたにもかかわらず、土地を所有する東京ガスと契約を結んだ理由を「結論を上申してきた知事本局長に『大丈夫か』と聞いたら『大丈夫です』というので、裁可した」と説明。「裁可した責任は認める」としつつ「都庁全体の結論。議会も含めてみんなで決めたことだ」と強調した。

都は11年3月に東京ガスと土地売買の契約を締結した。交渉にあたった担当者として、側近の浜渦武生・元副知事と、知事本局長だった前川燿男あきお・練馬区長の名前を挙げ、「浜渦(元副知事)に依頼し、前川君にバトンタッチして、実際の契約までもっていったと聞いている」と述べた。

契約書では後から土壌汚染が見つかっても東京ガス側に追加費用を請求しない「瑕疵かし担保責任の免責」が盛り込まれたが、石原氏は「報告も相談も受けていない」と語った。昨年10月に都から質問書を受けて初めてこの規定を知ったという。

また、小池知事の対応を「安全と安心を混同している。専門家が安全だと言っているのに信用せず、無為無策で放置した」と批判し、早期移転を求めた。移転延期で、市場関係者への損失補償費などが生じているとして、「余計なお金を使っている。その責任は彼女にある」と指摘した。

 一方、小池知事は都庁からの退庁時、報道陣に「人の責任と言うのは簡単だ。こういう状況を作ったことを客観的に見つめていただきたい。都民のみなさまからすれば石原さんらしくないなあという印象だけが残ったのではないか。色々と新しいことおっしゃるのかと思っていましたが、せっかくの記者会見だったのに残念だ。明確におっしゃったほうが石原さんらしかったんじゃないか」と語った。(新聞各紙)

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ブログ子は石原氏の言い分は至極もっともなことだと思う。この問題を巡ってはどうもメディアのミスリードが目立つ。このブログで昨年11月4日付けで「豊洲市場問題で『群盲象を撫でる』者たち」(http://h-h-a.org/miyazaki/?p=2104)というのを書いた。

そこで言い尽くしたが、豊洲はもともと埋め立て地で戦後も米軍の工場があった。地下深くをほればベンゼンも出ようし化学物資も出てくるところだ。業者は海近くで都心に近いことを絶対条件で要求していたからほかに適地がなかったのだろう。だから、埋め立ててその上に市場を建てた。一部の建屋が埋め立てられてなかったと騒いでいるが、コンクリートでかなり深く囲っているから大丈夫と建築関係者が判断した。それでいいではないか。

「瑕疵担保」責任とか聞きなれない言葉に石原氏が「知らなかった」と言っていることをとがめるメディアがあるが、もともと東京ガスは売りたくなかった。それを買うのだから、あとから出てくる出費に責任がないことを契約条件にするのは当たり前だろう。

どこのメディアか聞き取れなかったが、「それを調べてからここに来るのがスジだろう」と食い下がっているのがいた。まるで検事気取りである。トップが部下に任せるのはこれまた当たり前で、全部知事が前面に出てくるなどどこの企業でもあるまい。「それぞれの長(おさ)に任せて」、結果責任を負うのがトップのありようである。

小池都知事は近頃、ちょっと気持ち悪い物の言いようが多い。上述の石原氏へのコメントもそうだが、「都民ファースト」なる「気持ち悪い言葉を振り回して、都民はみな自分の味方で、次々「敵」を作っては叩く手法だ。しかし五輪会場問題でもあちこちの県をぬか喜びさせて結局は全部IOCと取り決めた都内の会場に舞い戻った。地方開催費分担問題でも結局、都が負担することになった。五輪招致は各国の主催都市が行うもので、費用はその開催都市が負担することは最初からの取り決めなのだ。

「票になるもの」「耳目を集めそうなことのみ」に、さも自分が先頭に立って決断しているようにふるまっているが、最初から落としどころがわかっていることがある。今回の豊洲もその一例だ。

オシャカにした場合を考えればわかる。数千億円を無駄にして、開業までの業者の費用を全額支払い続けていればどうなるか。小池知事のクビだけではすまない。

さっさと安全宣言を出して、さっさと豊洲に移転すべきなのだ。

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P/S 3月5日記
国際政治学者、三浦瑠璃氏のブログ「山猫日記」、「石原慎太郎元都知事の会見を受けて」を読んだ。
ブログ子の駄文より理路整然とメディアのお粗末さと世間のいう「良識」のピントのずれを指摘されているので、
ぜひお読みになることを勧める。
「山猫日記」http://lullymiura.hatenadiary.jp/

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