斎藤兵庫県知事とPR会社の女社長は公選法違反である

兵庫県知事選でまさかの再選を果たした斎藤元彦知事(47)と、この選挙戦で広報・PRに関わった株式会社merchu(メルチュ)の折田楓社長(33)の行動が公選法違反にあたるのではないか、と問題視されている。

ブログ子は当初から個人的関心をもって見ていた。というのも、同じような知事選で同じような広報・PRに携わったことがあるからだ。

関係者は亡くなったり引退したりしていて、迷惑が及ぶこともないので実名で書くが、ブログ子は静岡県知事を4期務めた石川嘉延知事の選挙で影の指揮をとった。1993年7月の知事選の数か月前だったが、新聞社で4,5年後輩が辞めて起こしたPR会社に呼び出された。引き合わされた人物が出した名刺には「自治省総務部長・石川嘉延」とあった。今度の知事選に出ようと思うので力を貸してほしい、という。

ブログ子はそれ以前に静岡支局長をしていた。斉藤滋与史知事や林省吾総務部長(のちに大阪府副知事、総務省事務次官)と親しく、ゴルフや呑み屋を一緒にしていたのを聞き知って、人脈の面から一助を乞いたいと呼び出された。この時は東京に戻っていたが、2人とは年に一度は県主催の宴席で一緒になるし、斉藤知事が3期目を目指していることを知っていたので、裏切るようなことはしない、と断わった。

ところが運命と言うのはわからないもので、斉藤知事は選挙直前に体調不良で突然3期目を断念した。そこでブログ子に再度声がかかったのだ。選挙まであと4か月ほどだったが、シンボルカラーを「黄色」にしたり(石川知事はこれが気に入って4期すべて黄色のネクタイで通した)、県での人脈をたどったり、公約をつくったりと、今回のmerchu社長と同じようなことをしたものである。

ただ、違うのは公職選挙法と言うものをmerchu社長よりよく読んでいたことだろう。

公職選挙法では資金力を持つ一部の金持ちだけが有利にならないよう多くの規制がある。選挙カーの台数、ポスターやビラ、ハガキなどの枚数、看板のサイズなど、驚くほど細かい。

「買収」に関しては、有権者に対し、①金品や財産上の利益、②職務の供与、③食事などの接待・供応を禁じている。運動員に対して報酬を渡せばもちろん、その約束や申込みがあっただけで成立するという厳しいものだ。
さらに「選挙が行われる自治体と特別の利益を伴う契約の当事者は、選挙に関して寄附をしてはならない」という「特定寄附の禁止」項目もある。犯せば、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、および公民権停止だ。

ブログ子は、静岡県知事戦が始まると同時に一切表には出なかった。たいていのことは公選法に抵触するからだ。しかるに、PR会社merchuの折田楓社長はSNSのnoteで、斎藤氏に任されて広報活動全般を担当したと主張。選挙期間中は四六時中、SNSの管理や発信を行い、街頭演説の中継なども行ったなどと選挙戦の裏側をことこまかに書き込んだものである。

公選法と言うものを知っていたら絶対にしないことだが、自己顕示欲が強い人なのだろう、のちのち証拠となるような内実をすべてバラすという過ちを犯した。公になるや本人は雲隠れしたままだ。

代わって、斎藤氏の代理人(弁護士)はPR会社から送られた請求書に基づき、ポスターや公約スライドの制作など5項目に計71万5千円を支払ったと説明。「(ポスター代などは)政治活動や立候補の準備行為として対価の支払いは法で認められている」とし、5項目以外の代表の活動は「個人による無償ボランティアだ」と強調した。

だがこれは珍妙な話である。例えばそのポスターだが、選挙運動用ポスター(個人演説会告知用ポスターを含む)のデザインは公費負担で済むのだ。公費負担で済むところを、斎藤陣営はわざわざ「自腹」を切ったことになる。現にこれまで選挙でポスター代をの自腹を切った候補など1人もいない。斎藤陣営が公職選挙法をまったく理解していないのではないか、と疑いの目を向けられても仕方ない。(元静岡新聞編集幹部の小林 一哉氏)の指摘)

3日県選挙管理委員会は、斎藤氏側の選挙運動費用の収支報告書を公開した。支出の中で選挙運動費用として、PR会社が請求した5項目のうちメインビジュアル企画・制作(10万円)やチラシデザイン制作(15万円)などの4項目については税込みでの記載があり、支払先はいずれも「さいとう元彦後援会」と記されていた。件の「公約スライド制作」は記載がなかった。

日本大法学部の安野修右専任講師は「報告書に記載しないのであれば、その費用が選挙運動と切り離されていることを明確に説明すべきだ。支出先が後援会となっている点も不可解で、選挙に関連してなされた支出は実際の請負業者の名義を記載しなければ選挙費用の公明性は確保できない」と指摘している。

一連の問題では、大学教授と弁護士が斎藤氏と経営者の女性の行為は公選法違反(買収、被買収)に当たるとして、神戸地検、兵庫県警に告発状を出している。

上述のような、ブログ子の体験的選挙運動を顧みての感想だが、立件されるであろう。

コメントは受け付けていません。