「トランプ2.0」で良いこともあるぞ

ドナルド・トランプ氏が迎える2度目の米大統領就任式が目前だ。内外の報道は「関税の掛けあいで世界は経済混乱」とか「グリーンランドとパナマまで領土拡張欲の暴挙」とか「さあ、大変だ」と慄き、身構える論調が溢れている。はたしてそうだろうか。ブログ子は逆に「トランプ2.0に」期待するところ大である。

ここ何年か、LGBT、移民・女性・黒人などの権利擁護、夫婦別姓・・・気持ちの悪い一部の人間の声高の叫びが堂々とまかり通ってきた。

中世以降の我が国の伝統は夫婦が同じ苗字で暮らすということだった。何の不都合もなかった。それなのに立憲民主党はじめ自民党の一部が「夫婦別姓」を導入しようとしている。夫婦別姓では子供は必ず、父母のどちらかと苗字が違うことになる。結果、戸籍にはありとあらゆる苗字が飛び交い、最終的に戸籍は破壊される。「国籍証明」も「出産、死亡、婚姻」などの証明も困難になる。結果、外国から来る「なりすまし日本人」を判別できなくなる。

なのに石破首相は「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」と鈍感を通り越して愚鈍な反応を繰り返してる。やってみよ。即座に自民党は壊滅することだろう。

調子に乗って、国連の女性差別撤廃委員会は昨年10月29日、わが国も締結している女性差別撤廃条約に基づいて、皇位継承資格を男系男子だけに限定する日本の皇室典範を改正して男女平等を保障するよう、日本政府に勧告する無礼を働く始末だ。

裁判所までこの流れに棹(さお)さす。「同性の伴侶を法的に認めろ」という同性婚訴訟に、憲法違反だとする高裁判決を3つも出している。同性同士の婚姻を認めていない民法や戸籍法の規定は憲法違反だとして、同性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟では、幸福追求権を保障した憲法13条と法の下の平等を定めた憲法に違反するとの判断だ。

おかしいではないか。古来日本では、神様も時には過ちを犯すものだ、と同性愛には寛恕だった。民俗学者、折口信夫は相手を「養子」にして同性婚をはたして今も同じ墓に入っている。周りもこれを受け入れて何も問題なく過ごしている。わざわざ憲法など持ちださなくても日本では法的に何ら問題なく扱われているのである。土台、憲法作成時に「結婚は両性の同意に基づき」とあるごとく、同性婚など想定していないのは明白だ。裁判などにはなじまないことだ。

なぜこんなことになったか。上記の諸問題はすべてアメリカ民主党が左傾化した挙句持ち出してきた「グローバリズム」とか「多様性」とかから始まっている。アメリカの主要メディアはほとんど民主党一辺倒だから、こうした発信を受け取る世界各国のメディアも国際機関も、その影響を受けて「リベラル左派」に染まるからである。

一般的に「多様性」というのは、さまざまな種類や傾向があることの意であるが、リベラル左派から「人種や国籍、性別、年齢、宗教、性的指向、価値観などの違いを認め、尊重し、受け入れ、共存しよう」と言われれば、多くの人は、なるほどその通りだと頷くほかないだろう

「あらゆる価値観を認め、尊重し、受け入れ、共存しよう」というなら、攻撃的だったり、排他的、暴力的、破滅的だったりする価値観も多様性の一環として認めねばならないことを、彼らは言わない。卑近な例でいえば、10日に広島地裁で開かれた中核派活動家5人の裁判である

罪状は令和5年の平和記念式典で彼らのデモへの対応をした広島市職員に集団で暴行したとして、暴力行為法違反罪に問われたのだが、5人は裁判長に向かって「軍事法廷じゃないか!」「違法なのはお前だ!」と叫んで法廷は収拾がつかないほど混乱した。こんな連中にも「多様性」を認めろという方がおかしかろう。

「トランプ2・0」はこうしたまやかしの「多様性」を是正してくれるのではないかと言う期待がある。早くもその動きが顕在化した。

6日米マクドナルドが多様性確保に向けた目標を廃止することを明らかにした。同社はこれまで少数派の権利向上を目指す取り組み「多様性・公平性・包括性(DEI)」の目標達成を求める誓約を従業員に求めてきたが、これを廃止することにした。

また管理職に占める女性比率を45%、人種・性的少数者の比率を35%に引き上げることなどを掲げていたが、取りやめる。

米社会で多様性推進に向けた企業の取り組みに関する受け止めは変わり始めており、これまでの行き過ぎた配慮への反発が広がっている。米証券取引所ナスダックや小売り最大手ウォルマート、航空宇宙大手ボーイングなども多様性への取り組みを見直すことを決定した。

トランプはまた、グリーンランドとパナマ運河の獲得をぶち上げた。これに対しても、「アメリカ一極主義と帝国主義」とブーイングが出ているが、ブログ子は違うと思っている。

地球温暖化により北極圏航路の重要性は高まっている。1958年(昭和33年)8月8日、アメリカの世界最初の原子力潜水艦「ノーチラス」が北極点に到達した。北極航路を最初に切り開いたのはアメリカだが、現在、ロシアと中国の船舶(軍用船を含む)が北極圏を経由して、ヨーロッパとアジアを行き来するケースが激増している。

この航路上にあるのがグリーンランドで、中国はさらに、グリーンランドに3つの空港を新設または整備することをもくろみ、2019年に米国防総省に阻止されている。それでもレアアース(希土類)を採掘するための、中国の積極的な投資は続いている。

中国が狙うグリーンランドはデンマークの自治領で、防衛はデンマーク軍の統合北極圏司令部に頼っている。その構成は兵士130人、犬ぞりチーム6つ、航空機1機、ヘリコプター2機、哨戒艇7隻という簡素なもの。日本の6倍の面積を持ち、赤道の長さにも匹敵する複雑な海岸線を持つ島と周辺海域を守るには、あまりにも貧弱である。

パナマ運河は、アメリカにとって直接的な重要性がはるかに高い。なにしろアメリカ発着の貨物船の40%が利用するほか、大西洋と太平洋の間で「配置換え」をする米海軍艇のほぼ100%が通過する。

20世紀初めにアメリカの資本で建設されたパナマ運河は、長らくアメリカの管理下にあり、両岸にはいくつもの軍事施設が建設された。ところが1977年、良心的なジミー・カーター大統領が米議会の反対を押し切り、わずか1ドルの対価でパナマ政府に運河の主権を返還した。

だが今は、中国がアメリカに次ぐ運河の利用国となっている。それを反映して、パナマ政府は2017年、それまで承認していた台湾との外交関係を断絶して、中国との国交を樹立した。現在、香港の海運最大手ハチソン・ワンポアが、運河のカリブ海側玄関と太平洋側玄関に位置する港の独占的管理権を保有する。中国は米国にあてつけるように2018年12月、習近平夫妻がパナマを訪問して大統領夫妻との蜜月写真(写真右)をばらまいている。

つまり、トランプがグリーンランドとパナマ運河でやっていることは、中国が手を広げている利権獲得の触手の最先端にアメリカが関与することを宣言する安全保障策なのだ。トランプは領土拡張主義者などではなく、着々と中国への対抗策を打ち出している先見の明の持ち主なのである。

大方のメディア、識者と見解は違うが、「トランプ2・0」に期待する所以である。

コメントは受け付けていません。